5月1日(木)の名盤は…
今日紹介したのは「ウィルソン・フィリップス」です。
とても偉大な有名人を親に持つ子どもが、
後を追うように同じ道に進む、ということがよくあります。
当然ながら親を超えた人、超えられない人がいて、
これはどちらにもドラマが存在する訳ですが、
最も興味深いのは、“最初から超えられないと分かっているのに、
同じ道に挑む子ども”ではないでしょうか?
例えばジュリアン・レノン。あるいはジェイコブ・ディラン。ジギー・マーリー。
実力で親を上回る成績、仮に全米No.1ヒットを100曲送り込もうが、
1億枚CDを売り上げようが、時代を象徴するヒーローとしての
ジョン・レノンやボブ・ディラン、オブ・マーリーを超えることは、
絶対に不可能だということを、周りも自分自身も分かっているであろうに、
なお、同じ道を歩んでいるのです。
この覚悟というか決意には、“血”とか“業”といった一言では語れない
人間ドラマを感じずにはいられません。
今日紹介するウィルソン・フィリップスですが、
ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの娘二人と、
ママス&パパスのフィリップス夫妻の娘によるトリオです。
フィリップスはともかく、ブライアン・ウィルソンという、
ある意味アメリカ最大の偉人を父に持つにも関わらず、
彼女らにはジュリアン・レノン達に共通するヘヴィな影や悲壮感が、
まったく感じられないのはなぜでしょう。性別が違うから?
3人に分散されて薄まったから?カリフォルニアの陽気な気候のせい?
おそらくは彼女らなりに人間ドラマはあったのでしょうが、
私達リスナー側が、彼女らのあまりの屈託のなさに、
親との比較という色眼鏡を通すことさえ忘れていたからではないでしょうか。
そのおかげか、彼女たちは全米No.1を3曲も放って、
親を超えたかどうかは別にして、大成功を収め、
たった3年で風のように屈託なく解散していきました。
(その後、2004年に復活しましたが・・・)
さて、ジュリアン・レノンやジェイコブ・ディランを
親との比較なしに見ることができる日がくるのでしょうか?