10月23日(木)の名盤は…
今週も先週に引き続き、”究極の語りソング“をお送りしました。
ウーマン・トゥ・ウーマン / シャーリー・ブラウン
やはりブラック・ミュージックで、1974年にR&Bチャートで1位を獲得した
大ヒット曲、シャーリー・ブラウンの「ウーマン・トゥ・ウーマン」です。
この曲が、なぜ究極かというと、イントロの語りが単なる状況説明的な、
いわゆるナレーションではなく、
演劇的なセリフになっているのが画期的に新しかったのです。
でも、まぁ、それだけならば他の曲でもあったかもしれません。
この曲のすごいところは、聴けば最初の1行でわかるんですが、
この歌の主人公は電話をかけているんですね。
この曲は本編の歌の部分も全部、電話で話している内容になっていて、
それの導入として、「もしもし」から始まるセリフから始まり、
そのままスムーズに歌につながる、というよりも、
いつの間にかセリフが歌にすり替わっていくという構成が絶品な訳です。
さらに最重要ポイントは電話の相手。
誰としゃべっているのかと言うと、
タイトルに出ているように「ウーマン・トゥ・ウーマン」。
女性から女性へ。“語り”の部分はこんなセリフになっています。
「もしもし、バーバラさん?私はシャーリー。誰だかわからないと思うけど、
私にはあなたに電話する理由があるの。
今朝、主人のポケットから、あなたの名前と電話番号のメモを見つけたの。
女同士、ちょっと話さない?」という内容。
そうなんです、夫の愛人に奥さんが電話をかけているという設定なんです。
この驚きの人間関係の設定と、電話を使った小道具、
そして歌にすり替わる構成が、二重三重に絡み合って、
究極の語りモノに仕上がっていると言えるでしょう。