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1月15日の名盤は…

ある世代には懐かしく、またある世代には新鮮に響く

名盤の数々を紹介する「名盤iNaDAY」。

今日はキザイア・ジョーンズを紹介しました。

まず初めにロッド・スチュワートのある発言をご紹介したいと思うんですが、

「階級制度の残るイギリスで労働者階級の人間が成り上がるには、

サッカー選手かミュージシャンになるしかないんだ」と、

こんなことを言っているんですね。

そのハングリー精神が音楽に迫力を与え、リスナーの魂を打つ、というのは

確かに一つの真実なんでしょうけど、「もう後がない」という意味では、

言葉は悪いですが、“成り上がり”ならぬ、その逆の”成り下がり“の人生も

まったく同じかもしれません。

今日紹介したキザイア・ジョーンズはそんなミュージシャンです。

彼はナイジェリア人なんですが、なんと大きな部族の酋長の息子なんです。

ナイジェリアは近代国家で、彼の父親は事業に成功した

指折りの資産家でもあります。

日本で言うと、財閥の跡取りという感じです。

英才教育すべく、8歳からイギリスへ単身で留学に送り込まれた

キザイア少年でしたが、そこで音楽に目覚め、ドロップアウトしてしまいます。

アフリカでは家が厳しくて音楽を聴いたことも楽器を

触ったこともなかったとのことながら、

ピアノもギターもすぐに弾けたと言いますから、天才だったのでしょう。

クラブ回りやストリート・ライヴを続けながら、

国へ連れ戻そうとする一族の追っ手から逃げ続ける生活のすえ、

1992年にデビューを果たしました。

部族の固い絆を裏切る形になった訳ですから、

死にものぐるいだったのは間違いありません。

その後、彼が家族と和解できたのかどうかは分かりません。

一族からすれば地位も名誉も金もある生活を捨てた彼を

愚かだと思っているかもしれません。

けれども彼は今も音楽活動を続けています。

世界的な大ヒットこそありませんが、音楽性は高く評価されています。

富と名声は手放したかもしれませんが、

ギター1本で世界を旅する自由を勝ち取りましたし、

家族は失ったかもしれませんが、旅先には家族同然の

温かいファンが待っている、

そんな生活を手に入れることができたのではないでしょうか。

いや、ミュージシャンとして活動を続け、今後、父親の財産を超える富と

名声を手に入れる可能性だってまだまだ残されています。