« 2月18日(水)魔法のことば  |  「浜勝」のヒミツ >

2月19日(木)の名盤は…

今日は、ディック・セント・ニクラウスの「マジック」を紹介しました。

昔はいろいろな情報が少なく、特に海外事情を知る方法なんて

本当に限られていたので、例えばスポーツの世界などでは、

“まだ見ぬ強豪”というものが存在して、

ファンの想像を膨らませたものです。

実際に見てみると“とんだ一杯食わせもの”だったりすることも多いのですが、

それでも数少ない前情報をもとに「どんなすごいヤツが来るんだろう」と

ワクワクしたりしたものです。

音楽でもちょっと前までは日本盤の発売がアメリカ、イギリスより

半年から1年ぐらい遅れることが当たり前でしたし、

向こうでそこそこ話題になったものでも

日本での発売が見送られることも多かったので、

“知る人ぞ知る伝説のミュージシャン”だとか

“幻の名盤”なんてのがマニアの間で注目の的になることとなったのです。

さらに、そんな情報の乏しさを逆手に取ることもありました。

例えば海外ではまったくヒットしていないのに“話題の新人”として紹介され、

日本でだけヒットしたという曲がたくさんあります。

けれども、インターネットで地球の裏側のマイナーな曲まで

リアルタイムで聴くことができる現在よりも、ファンタジーがあって、

のどかな時代だったような気がします。

さて今日ご紹介するディック・セント・ニクラウスの「マジック」なんですが、

大阪で人気が出そうだ、と直感した担当者が、

関西限定という形でリリース。

大阪のラジオ局やレコード店が総出で仕掛けて見事にヒットしました。

すぐに全国発売され、全国区でもヒットとなりました。

ちなみに彼の本国では不発に終わり、

2ndアルバムはアメリカでは発売拒否され、

日本だけでしか売られませんでした。

アメリカでは1979年、日本では1980年の出来事ですから、

乏しい情報から夢や空想を膨らませてヒットが生まれることもある、

そんなことが通用した時代も終わろうとする頃の、

日本独自のヒットと言えると思います。