3月19日(木)の名盤は…
今日は”スティクス”を紹介しました。
スティクスのもともとの中心人物は大半の曲を作り、
ボーカルも取っているデニス・デ・ヤングという人で、
デビュー以来、高い評価を得ながらも
セールス的にはなかなか成功しない状態が続きました。
ところが6作目のアルバムから変化が起こります。
彼と同様に曲が書け、歌もイケるうえに5歳も若く、
ルックスもイケメンのトミー・ショウが加入するんです。
それと同時にヒットも生まれ、この1970年代後期から80年代前半にかけて
彼らはアメリカを代表するスターへとのし上がります。
もちろん、100%トミーのおかげという訳ではありません。
彼の参加によってデニスが刺激を受け、お互い切磋琢磨した結果です。
最初のうちはまだ経験の差があった二人ですが、
だんだんと差が縮まってきて、ついには才能、
技量ともにほとんど同じレベルになってしまいました。
そうなるとデニスは面白くないでしょうし、トミーの先輩に対する
態度もちょっとどうかな、という感じで、
結局この確執が原因でバンドは空中分解してしまうんですね。
その後、1990年には、トミーが新バンドを結成したと耳にするや否や、
デニスは残りのメンバーとスティクスを再結成します。
トミーは激怒しますが、96年に和解し、彼も戻って全員で再々結成します。
丸く収まったかと思いきや、99年にデニスが体調を崩すと、
今度はトミーが彼を解雇。
するとデニスは「バンドの権利は自分にある」と訴訟を起こし、
報復合戦というか、もはや子どものけんかのようになってしまいます。
もし二人の実力にあきらかな差があったならば、
あるいはトミーが最初からメンバーだったならば、
そして年齢も同じくらいだったならば、
ここまで根が深くならなかったのでは?という気もします。
全盛期は純粋に音楽だけで火花を散らしたからこそ、
見られたのであろうバンドとしての輝きが、
再結成以降は薄れてしまっていることが残念でなりません。