« 7月1日(水)魔法のことば  |  「ファジアーノ岡山」のヒミツ >

7月2日(木)の名盤は…

今週はソウル・バラードの名曲、ラヴ・ソングの定番、

「男が女を愛する時」のお話です。

歌手はパーシー・スレッジ。彼は成人するまで黒人の歌手がいるなんて

知らなかったほどのアラバマの田舎町の病院で働いていました。

24歳の時、アラバマ州の中でも都会のマッスル・ショールズのレコード店へ行き、

偶然そこにいた友達から店主に紹介されます。

その店主はスタジオも経営していて、一獲千金を夢見て歌手を探していたのです。

言われるままに歌って聴かせたのがこの曲の原曲でした。

光るものを感じた店主は何ヶ月もかけて歌詞とメロディを手直しして、

プロのバンドを借りてきて録音しました。

後からダビングしたホーンの音程がズレていましたが、

歌も同じくらいはずれているからとOKします。

完成したこの曲をニューヨークのソウルの名門アトランティック・レーベルへ

売り込みたい店主ですが、コネがありません。

そこにプロのバンドを貸してくれた友達が現れ、

口から出まかせに「あそこの社長とはツーカーだからまかせろ」と

ニューヨークへテープを送り、「絶対1位になる曲だ」とハッタリをかまします。

それが効いたのか、まんまと契約が成立、一世一代の賭けに勝ったのです。

しかし「録音し直すべし」と条件が付きました。

店主たちは「やはり音程のズレがバレたな」と頭をかきながらも

費用は向こう持ちなので喜んで新しく吹き込み直し完成となりました。

レコードが発売され、期待通りにチャートを上昇し始めた頃にニューヨークから

電話がかかってきます。

「ほら、作り直して正解だっただろ?」

「いや、今ラジオから流れてるのは元のやつだよ」。

なんとアトランティックは間違って元の音程の悪いテイクを

プレスしてしまっていたのでした。けれども、そんな音程のズレなど

関係なく誰が聴いてもロマンティックは大傑作であることは

間違いありません。この曲は偶然の出会い、ハッタリ、手違いと

3つの魔法がかけられて、

名曲になるべくしてなった運命の1曲と言えるのかもしれませんね。

今日は1966年の曲「男が女を愛する時」を紹介しました。