7月30日(木)の名盤は…
今日は、3回にわたってお送りしてきたニューミュージック特集、
最終回をお届けしました。
前回、ニューミュージックは古い日本の歌謡曲から、
より洋楽的な音楽へ移行するまでの橋渡しとして
音楽史における役目を終えた、というような話をしました。
しかし、本当に結局中継ぎだったのでしょうか。
実はそうでもないような気がします。
現在聴かれているJ-POPとかJ-ROCKと呼ばれる音楽、
その多くに非常に日本的な、
歌謡曲的な匂いを感じるのは私だけでしょうか。
数年前から「昭和歌謡」というキーワードが話題になったので、
世代が一回りして後追いで学習し、
意識的に採り入れている部分もあるかもしれませんが、
それにしてもあの時代のニューミュージックに
とても近い感触があるような気がするんです。
では90年代はどうだったのかと思い出すと、
例えば槇原敬之やドリカムあたりは今にして思えば、
もちろん10年分の進化はあるのでしょうが、
ほとんどニューミュージックと言ってもいいように感じるんです。
何のことはない、言葉が死語になっただけでニューミュージック的な音楽は
実はいつの時代も常に日本人のすぐ隣にあり続けているのかもしれませんね。
さて、ニューミュージックの名盤、最終回の今日は原田真二です。
彼については本当に素晴らしい才能の持ち主です、とだけ紹介して、
最後にひとつ、今回の特集を通じて感じたことを。
彼にしても先週の八神純子にしても作詞作曲能力が
優れているにもかかわらず、初期のシングル曲は詞に関しては
ほとんどプロの作詞家の手によるものなんです。
当時の音楽産業が子どもではなく大人を対象にしていた背景も
あると思うのですが、大人っぽく文学的に美しいです。
最近のヒット曲が確かに自分の言葉かもしれないけど、
あまりに稚拙な語彙しか持ってなかったり、
言いたいことを詰め込んで譜割りが変だったり、
韻を踏むために無理な言葉遣いになっているのを耳にするたびに、
ニューミュージックのこういった手法はヒントになるような気がします。
今日は、1978年の曲、原田真二で「タイム・トラベル」をお届けしました。