10月29日の名盤は…
今週は1980年代にイギリス、アメリカ、そして日本でも
ヒット曲をたくさん放ったユーリズミックスを紹介しました。
作曲とほとんどの音作りを担当するデイヴ・スチュワートと、
作詞とボーカルのアニー・レノックスによる男女デュオ・ユニット。
実はアルバムごとにサウンドは変化して、柔軟で幅の広い、
音楽性豊かな人たちなのにも関わらず、
一般にはエレクトロ・ポップのイメージが強いのは、
デビューがあまりにも衝撃的だったからでしょう。
2人しかいないことを逆手にとって
全編打ち込みのテクノ/エレクトロ・ポップ・サウンドは、
他にも先駆者はいましたが、かなり早いほうでしたし、
その完成度の高さや洗練の度合いはトップ・クラスの高水準でした。
さらに他のグループと大きく異なっていたのがアニーの歌でした。
だいたいこの手のテクノ・サウンドにはワザと加工してロボット声にしたり、
加工しないまでもクールで無機質・無表情な歌声を合わせるのが
常套手段でしたが、
彼女は実にソウルフルで肉感的な生々しい歌だったのです。
一見ミスマッチな組み合わせが、圧倒的に新しいパターンでした。
おそらくはイギリス白人からしか絶対出てこない発想でしょう。
でも面白いのが、この時代はどちらかというと
アメリカでのほうが人気が高かったんです。
イギリスならではの発想だからこそアメリカで珍しかったのでしょうか。
このグループは不思議なことにイギリスでヒットする曲と
アメリカでヒットする曲が分かれるんです。
一番有名な「ゼア・マスト・ビー・アン・エンジェル」、
イギリスでは1位ですが、アメリカでは22位。
不思議といえばこの二人、もとは恋仲にあったのですが、
お互い別の人と結婚してもコンビはずっと続いています。