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12月3日(木)の名盤は…

今週は1970年代後半から80年代にかけて大人気だったロック・バンド、

「フォリナー」を紹介しました。

結成はニューヨークですが、メンバーはそれぞれキャリアを持った

イギリス人とアメリカ人の混成であり、

どちらの国に行っても異邦人(フォリナー)が混じることから

バンド名がつけられました。

音楽的にも両方の国のロックが掛け合わさった感じで、

どちらの国でも異邦人であるというより、

どちらの国にも属する人であると言うべきかもしれません。

基本的にはハード・ロックですが、メロディがしっかりして親しみやすく、

FMラジオ向きの音作りがなされていたため、

すぐにイギリス、アメリカ両方でヒットを連発し、

ここ日本でも人気バンドとなります。

最初はメンバーの中で最も過去の実績が高かった

イアン・マクドナルド(元キング・クリムゾン)がリーダーと目されていましたが、

アルバム3枚で脱退し、

その後は同じくイギリス人で元スプーキー・トゥースのミック・ジョーンズと

最も実績のなかったアメリカ人シンガーのルー・グラムが主導権を握ります。

ミックはルーの声質にはバラードが合うことに気付き、

だんだんとバラード中心へとシフトしていき、そして1984年末、

究極の名曲が完成したのです。

ゴスペル・クワイアをバックにスピリチュアルに歌い上げる「アイ・ウォナ・ノウ」。

今や多数のカバー・バージョンが生まれているこの名バラードは

彼らにとって初の全米No.1を獲得しました。

“やっぱりルーの声にはバラードだ”とミックは自信を深めましたが、

これに反発したのが他でもないルーでした。

“何でバラードばかり持ってくるんだ。俺はハード・ロックがやりたいんだ”。

その後、ルーはソロに転じ、フォリナーの黄金期は急速に終わります。

ミックはメンバー交代を繰り返しながらフォリナーを支え続け、

ルーも一時戻ったものの2003年に再び脱退。

現在のフォリナーは史上最もハード・ロック度数の高い演奏を

やっているのにもかかわらず、

ハード・ロックをやりたがったルーはもうそこにはいないのです。