3月18日(木)の名盤は…
1980年代にイギリスを中心に全世界で大流行したのが、
エレクトロ・ポップ/シンセ・ポップと呼ばれる音楽でした。
一言で言うと文字通りにシンセサイザーをメインに作られた
ポップ・ミュージックですが、
これには大きく分けると2つの流れがあったと思います。
ひとつは電子楽器が好きで好きでたまらないオタク層による、
まず最初にシンセありきという音楽。
そして一方は普通のバンド編成でも演奏可能なものに
時代性を加味するためシンセを導入したもの。
今日紹介するティアーズ・フォー・フィアーズは
後者の代表と言ってもいいでしょう。
もともとネオ・モッズ系ロックンロール・バンドをやっていた
ローランドとカートの2人が始めたユニットで、そもそも2人はギターとベース。
エレクトロニクスに特別な思い入れがあったわけではないようです。
あるとすれば、
それは”今の時代にフィットする音楽を作りたい”という意気込み。
そのためにはシンセを大胆に取り入れてもかまわないという
スタンスだったのでしょう。
だからこそシンセを前面に押し出してもヒューマンな温かみが感じられ、
決して無機質にはならない独特のサウンドが出来たのです。
それが頂点に達したのが1985年の2ndアルバム「シャウト」。
ここでのエレクトロニクスと生身の肉体性とのバランスは
絶妙と言うより他はありません。
ものすごく細かい音作りが施されているのに適度に遊びもある点も見事。
もう少し生音の割合が増え、ライブ感とスケール感のアップした
4年後の3rdアルバムも素晴らしいのですが、
世界で1000万枚ものヒットとなった実績と、
ある種の箱庭感が強烈に80年代を代表する気がするので、
今日は2ndアルバムからの全英・全米とも
No.1を記録したこの曲をお送りしましょう。
改めて聴くと曲の良さと歌の上手さもハンパじゃないですね。
一口にエレクトロ・ポップと言っても実は深いんです。