7/15「フーターズ」
今日は「フーターズ」を紹介しました。
例えば俳優には主役を張ってこそ光り輝くタイプと、脇役として全体をピリッと
引き締めてこそいぶし銀のように光を放つタイプが存在すると思うのですが、
まれにどちらでもイケるオールラウンダーがいます。
これを音楽に置き換えて考えてみましょう。
まずは、単独でもアメリカン・ロック史上最高のバンドのひとつと言われつつ、
ボブ・ディランのバックで主役を引き立てても天下一品の仕事ぶりを聴かせる、
ザ・バンドがいます。
そして、ザ・バンドほどスケールが大きくはありませんが、
今日紹介したザ・フーターズも、そんなオールラウンダーの代表です。
フィラデルフィアで1980年代初頭に結成された彼ら、
バンド名のフーターというのは日本では幼稚園や小学校の音楽の授業で習う、
ピアニカとかメロディオンと呼ばれる鍵盤ハーモニカのことで、
この楽器を効果的にロックン・ロールに活用している珍しいバンドです。
もちろん、楽器の珍しさだけで成功できるはずもなく、
ブルースやカントリーのアメリカルーツ音楽にしっかりと根ざしたうえで、
レゲエやアイルランド音楽まで幅広く取り入れた音楽性が素晴らしいからこそ
人気と実績を勝ちとることができたのです。ヒット曲もたくさんあります。
こうして自ら主役として脚光を浴びながら、
他のアーティストのバックに回った時にも見事なバイプレイヤーぶりを発揮します。
例を挙げようとするといっぱいあるのですが、特に有名なのは
1983年のシンディ・ローパーと、1995年のジョーン・オズボーンの
どちらも大ヒットしたデビュー作。
この2枚ともバックはほとんどフーターズが演奏。楽曲も多く提供しています。
彼らの活躍がなければ、この2枚の大ヒットはありえなかったかもしれません。
彼らの粋な点は、彼女らに提供した曲をヒットに便乗して
自分達で録音しないところ。
商売としては下手かもしれませんが、これがカッコいいですね。
しかし12~3年経った後、ベスト盤のおまけとして、ライブ音源でこっそりと
発表してくれた曲があります。
今日は、その曲「タイム・アフター・タイム」をお届けしました。