「R.E.M.」
今週はR.E.M.を紹介しましょう。
今でこそ”世界で最も重要なロック・バンド”と呼ばれる大御所となりましたが、
出発点はアメリカ地方都市のインディ・バンド。
初来日公演は学園祭ツアー(!)で、まばらな観客の前で演奏していたのです。
まあ、これは本国でもやっていたことで、そのおかげでカレッジ・チャートで人気に火が付き、
やがてインディのまま100万枚を売るという、80年代を代表する存在に成長していきます。
そしてついに破格の契約金でメジャーへ移籍。
名実ともに世界のトップへとのし上がることになります。
こういった長らくインディで活動したバンドがメジャーになると、古くからのファンから
”裏切った”などと理不尽な批判を受けることも多いのですが、
彼らについてはそういう話をほとんど耳にしません。
いまだに”隣の兄ちゃん”風の佇まいを残していることもありますが、
彼ら自身が大成功に対して、戸惑っていたり、懐疑的である感じが伝わってくるからでしょう。
1991年、メジャー第2弾アルバムからのシングル「ルージング・マイ・レリジョン」は、全米4位と彼らの最もヒットした曲です。
つまり大スターになった彼らを超大スターに押し上げた曲と言えますが、
これが彼らの胸の内を告白したような深い歌詞が感じられます。
本当のことはよくわかりませんが、彼らは歌詞を公にしていないのです。
しかし「ルージング・マイ・レリジョン、つまり”自分の宗教を失う”=生活規範、信ずるものを失う」というショッキングなタイトルや、日本盤CDに載っている非公式な聴き取りによる歌詞を拾ってみると、一般的には喪失感を歌ったものと解釈されています。
でもよく読むとラヴ・ソングのようでもあり、反偶像崇拝のようでもあり、戸惑いのようでもあり、希望の歌のようでもあります。
曲として聴くと、言葉の壁を越えて心の中に入ってきて、わかったように思うのは私だけではないと思います。
何か伝わる。
そして絶対に彼らは裏切っていない、僕らのバンドのままなんだと確信するんです。
掛け値なしの名盤だと思います。
ライブでは必ず大観衆全員で大合唱になります。
そんな”僕らの歌”がこれなのです。
お送りした曲はR.E.M.で「ルージング・マイ・レリジョン」でした。