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「パイロット」

人というのは何かと相手がかつて何者であったのか、気にしがちです。

確かに初対面に近い相手であれば、その人が以前どこに帰属していたかを知ることは、

性格や思想信条を予想するための重要な手がかりになるのは間違いありません。

音楽ビジネスの世界では、それを利用してプロモーションすることが少なくありません。

結果として、有名バンドにごく短期間在籍しただけで、

しかも音楽的にはほとんど貢献していない人でも

”あのグループの元メンバー、待望のソロ・デビュー!”なんてコピーが多数飛び交うことになるのです。

逆に、現在やっていることと、以前やっていたことが大きく異なる場合は黙殺されることもあります。

元アイドルで今はアーティスト、なんて人は、昔の話はNG、ということは珍しくないのです。

さて、今日紹介するバンドは”パイロット”なんですが、

この人たちの2人の主要メンバーが、実はブレイクする前のベイ・シティ・ローラーズのメンバーだったのです。

別に声高に売りにしたわけでもなければ、特に隠すこともなく、

普通に経歴として公言しただけなのですが、これは微妙でした。

ベイ・シティ・ローラーズのファンが飛びつくにはルックスが今ひとつで、

音楽的にも本格派的過ぎ、マニアックな音楽ファンからすると

”どうせ元アイドルでしょ?”とハナっから選択肢の中に入れようともせず、

結局誰にとってもメリットのない情報でしかなかったのです。

言わないほうがよかったのかもしれませんね。

しかし、それでもイギリス、アメリカともにそれなりのヒットを残しているのは、

楽曲そのものに力があったからに他なりません。

1974年の大ヒット曲「マジック」をはじめ、

ポップなロックン・ロール/パワー・ポップ好きなら誰もが夢中になること間違いなしの、

ビートルズ直径のイギリスポップスばかりです。

今日お送りした曲はパイロットの「マジック」でした。