荒尾市「万田坑ステーション」
今日は、荒尾市の「旧万田坑」の保存にまつわる調査をされた
津村泰範さんにお話をうかがいました。
津村泰範さんは、株式会社 文化財保存計画協会 主任研究員
建築家(主に歴史のある建物やその周辺環境を
対象とした調査・研究・設計・工事監理をされています。
今回、「万田坑」の保存・修理にかかわる調査をされたそうですね?
そうですね、正しくは「万田坑」は、現役の炭坑ではないので、
「万田坑跡」もしくは「旧万田坑」となるんですが、
現場に入り、まずは測量から始まり、全体の錆を調べたり、
足場を組んでまたさらに一つ一つを細かく調査し、
実際にどう修理をしていくかという計画を立て行いました。
「万田坑」の建築物としての特色はどんなところですか?
残念ながら揚炭をしていた第一竪坑周辺のシステムは失われていますが、
部分的に残っている建物群は、日本の近代化に大きな役割を果たした
三池炭鉱に現存する明治・大正期における最大級の施設であり、
当時の優れた炭鉱の技術を伝えています。
当時最先端の技術の結晶を垣間見ることができます。
中でも、第二竪坑櫓は、地盤面から200mより深く掘られた
第二竪坑の真上に建てられた高さ約19mの鋼製の櫓で、
とてもシンボリックです。ケージと呼ばれる人が載るカゴを
大きな滑車で吊るして竪坑を昇降させる役割を持っています。
明治41(1908)年に建てられてから100年が過ぎ、
2年前からこの3月まで行っていた保存修理工事で、
錆ついた鉄骨の穴をふさいだり、切れているところを繋いだりして修理をし、
今後数十年錆つかないように、全面的に塗装を塗り直しました。
その姿は万田坑跡を視覚的に感じさせる力強さと
繊細な機能美を併せ持っていると思います。
まだまだ語りつくせない部分もありますので、
ぜひ実際にご覧頂きたいと思います。
「万田坑」が今後どのような存在になっていくでしょう?
そうですね、特に、地元の方に
「万田坑跡」は”誇り”だと思ってもらえるのが1番だと思います。
そして末永く継承してもらいたいですね。
「万田坑ステーション」HP http://www.city.arao.lg.jp/mandako/
見学などについての問い合わせは
万田坑ステーション 電話 0968-57-9155 まで。