「FMK Morning Glory」
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
今日ご紹介するのは、今週土曜日・5月9日から公開される
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」です。
この映画は、今年のアカデミー賞で有力候補として注目されたもので、
作品賞や監督賞など8部門にノミネートされ、みごと脚色賞を受賞しました。
アカデミー賞は、原作を脚本化した場合の部門の「脚色賞」と
オリジナルな脚本に送られる「脚本賞」があり、
この作品は「脚色賞」を受賞しています。
原作の複雑な内容を見事に映像化した点が評価されたようです。
物語の舞台となるのは、第二次世界大戦中のイギリス。
ケンブリッジ大学の特別研究員で、27歳にして“天才数学者”と讃えられる
アラン・チューリングは、ドイツ軍の暗号「エニグマ」を解読する
政府の極秘任務に呼び出されます。
当時、「世界最強の暗号マシーン」と言われた「エニグマ」。
ドイツ軍は、「エニグマ」で作った暗号を使って、
作戦に関する情報をやり取りし、戦況を有利に進めていました。
暗号のパターン数は、159×10の18乗という途方もない数。
10人の人間が1日24時間働き続けても、
全組み合わせを調べ終わるまでに2000万年かかるという複雑さでした。
しかも、ドイツ軍は毎晩0時に暗号のパターンを変えてしまいます。
この「エニグマ」を解読しなければ、戦況を逆転することはできないということで、
イギリス軍は、各分野の精鋭によるチームを召集します。
暗号の専門家、チェスのチャンピオン、
クロスワードの専門家など多種多彩な分野の混成部隊です。
不器用なチューリングは、彼らとの協力を拒み、
ひとりで電子操作の解読マシーンを作り始めます。
仲間との溝が深まる中、新たにチームに加わった女性ジョーンが
チューリングの理解者となり、仲間との距離を縮めてくれるように。
暗号の解読をゲームと捉えていたチューリングも、次第に変化してゆくのですが・・・・
この映画の主人公、アラン・チューリングは、
実はつい最近まで国家機密のために、その人生はあまり明らかにされず、
業績も正統に評価されていませんでした。
しかし、この映画で描かれているように、彼は「エニグマ」を解読し、
そのおかげで戦争の終結を早めることができたと言われているほか、
現在のコンピュータの基礎を作ったり、人工知能や人工生命、ゲーム、電子音楽、
ネットワークやロボットなど、様々な分野の研究を行っていたといいます。
このアラン・チューリングを演じたのが、
今、最も注目を集める俳優の1人、ベネディクト・カンバーバッチ。
彼は、“誰よりもアランを理解している“とアラン・チューリングの遺族に
讃えられるほどの迫真に迫る演技で、
アカデミー主演男優賞にノミネートされました。
「天才的なキャラクター」という設定は、よくいろんな映画に登場してきますが、
このチューリングは実在の天才。リアリティのある演技で
見事に演じているカンバーバッチが見事です。
頭のいい人って紙一重で「変人」だったりするので、
演技のバランスが難しいんですよ。
その絶妙なバランスが素晴らしいですよ。
また、チューリングを支える女性ジョーンを演じたキーラ・ナイトレイも
アカデミー助演女優賞にノミネートされる素晴らしい演技を見せています。
現在公開中の映画「はじまりのうた」では、
デビューを夢見る新人女性シンガーソングライターの役を見事に演じていますが、
映画によってまったく違った表情を見せられるのが彼女の素晴らしいところです。
この映画でも、キーラ・ナイトレイのクライマックスの演技が評判になっています。
映画の中では、何度も同じセリフが登場します。
それは、「時に誰も想像しなかった人物が、
想像もできない偉業を成し遂げる」という言葉です。
台詞が話されるたびに、その意味が少しずつ変化するところを
見のがさないで下さい。もちろん、この台詞を話すキーラの表情にも注目です。
「時に誰も想像しなかった人物が、想像もできない偉業を成し遂げる」、
これ「魔法のことば」でも紹介したい名言ですね。
知られざる天才のたどった数奇な運命。ぜひスクリーンで体験してみてください。
今日ご紹介した「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」は、
■Denkikan
■TOHOシネマズ光の森
で、今週土曜日・5月9日から公開されます。
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」
オフィシャルサイト
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