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2013年11月

「スティーブ・ジョブズ」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
11月に入って一気に新作映画が公開になり、
映画ファンはうれしい悲鳴をあげています。

みんな大好きデンゼル・ワシントン兄貴が、
訳ありの銀行強盗を演じる最新作「2ガンズ」、

この番組でも紹介したハリウッド注目の
新星チャニング・テイタムが、
男性ストリッパーを演じる「マジック・マイク」、

黒人初のメジャーリーガーの苦悩とサクセスを感動的に描いた
「42(フォーティ・ツー)~世界を変えた男~」などなど、
紹介したい作品が目白押しなんですが・・・・・・・
 
今日、このコーナーでは、あえてこの作品を選びました。
現在公開中の「スティーブ・ジョブズ」です。
 
昔から、歴史上の人物や有名人の生涯を描いた映画は
多いですが、このところ、記憶に新しい実在の人物の
映画化が目立っていますよね。
先日もこのコーナーで、ダイアナ元皇太子妃を描いた
作品を取り上げましたが、
今日ご紹介する映画の主人公は、2011年10月に急逝した
アップルコンピュータの創始者、スティーブ・ジョブズです。
 
アップルといえば、初期のホームコンピュータである
Apple1(ワン)、やマッキントッシュ、iMac、
最近では、iPodやiPhone、iPadなど、
これまでの常識にとらわれない、
革新的でユニークな商品を世に送り出しています。
ジョブズが亡くなった今でも、アップル=ジョブズという
イメージを持つ人も多いんじゃないでしょうか。
 
映画では、スティーブ・ジョブズが
この「アップル」という会社をどうやって作ったのか。
そして会社が大きくなっていく中で、ジョブズが
味わう数々の栄光と挫折が描かれていきます。
特に前半では、ジョブズが仏教や禅に深く影響を受けている
シーン、アップルという社名をどうやって
命名したのか・・というシーン。仲間たちとガレージで会社を作り、
自分たちでコンピュータのキットを組み立てるなどの
アップル創成期のエピソードが続々描かれ、
かなり興味深いです。
 
ジョブズを演じているのは、アシュトン・カッチャー。
最初に発表された写真があまりに似ていたのでびっくりしましたが、
外見だけでなく、しゃべり方や物腰なども徹底的に研究し、
ジョブズになりきる熱演ぶりを見せています。
特に注目してほしいのジョブズの歩き方です。
猫背で独特の歩き方をするジョブズの姿を完璧に再現。
伝説となったipod発表のプレゼンなどは、
記録映像のようなリアリティがあります。
 
先日紹介した「ダイアナ」もそうでしたが、
20世紀の著名人は、存命中の映像が数多く残されているため、
まったく似ていない人物が演じても、
観客がリアリティを感じられないんですね。
外見的も似せた上に、さらに人物の奥深い部分を演じるというのは、
役者にとって、大きなチャレンジでもあると同時に、
やりがいのある仕事だったでしょうねぇ・・・・。
 
この映画「スティーブ・ジョブズ」では、
主人公ジョブズだけでなく、脇役の登場人物まで
相当似ている人がキャスティングされています。
アップル・ファンならだれでも知る
人物スティーブ・ウォズニアック、
アップルのCEOをつとめたジョン・スカリーなど、
とにかくそっくりです。
映画のエンディングでは、実在の人物と演じた役者さんの
比較映像が出てきますので、お楽しみに!
 
個人的におススメのシーンは、アップルが
成功してから後のジョブズの孤独感を描いたシーンです。
会社は世界的に注目されていくのに、
創成期を戦った友人たちはどんどん彼のもとを去ってゆきます。
成功者の光と影を描いた名シーンです。
最近の作品ですが、フェイスブックを作った
マーク・ザッカ―バーグを描いた「ソーシャル・ネットワーク」
なんかと比較してみると面白いかもしれません。
成功者というのもたいへんなんですねぇ・・・・・。
 
天才的な頭脳とカリスマ性で、
コンピュータ社会に大きな革命をもたらしたジョブズの
人となりにせまった作品。
歴史の教科書には、まだ載っていないけれど、
間違いなく現代を代表する歴史的人物の映画。
アップルユーザーでなくても、ぜひご覧いただきたい1本です。
 
今日ご紹介した映画「スティーブ・ジョブズ」」は、
■TOHOシネマズ光の森
■TOHOシネマズはません
で、現在公開中です。
 
「スティーブ・ジョブズ」オフィシャルサイト
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
詳しくはここ↓
 

11月04日(月)の魔法のことば

今日はラジオネーム : みさきさんが出会った、
ヘレン・ケラーの魔法のことば。

「悲しみと苦しみは、
やがて思いやりの花を咲かせる。」

熊大ラジオ公開授業「知的冒険の旅」 山尾敏孝先生

あらゆるジャンルの注目の人にインタビューする
「ヒューマン・ラボ」。
 
今日から3ヶ月間にわたってスペシャル企画でお届けします。
題して「FMK Morning Glory  ヒューマン・ラボ
熊大ラジオ公開授業・知的冒険の旅」。
 
毎回、熊本大学の先生を講師に迎えて、
さまざまジャンルの研究テーマについてお話をうかがいます。
第1回の講師は山尾敏孝先生です。

IMG_2301.JPG
 
Q お名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:山尾敏孝
所属:大学院自然科学研究科・
大学教育機能開発総合研究センター長
 
プロフィール
学歴:熊本大学工学部土木工学科卒(昭和49年)
熊本大学大学院工学研究科土木工学専攻修了
 
職歴:工学部助手,助教授を経て平成7年に教授.
平成18年に大学院自然科学研究科の教授現在,
熊本大学教育機能開発総合研究センター長,工学博士
 
専門分野と研究:構造力学と耐震工学.
研究は主として,鋼構造物の座屈強度解析や
新形式橋梁の開発と実用化に関する研究,
鋼アーチ橋の耐震設計と実用化,
近代土木遺産の調査と評価及び保存活用の研究,
石橋の健全度評価と補修・補強に関する研究等.
所属学会と社会活動:土木学会,
九州橋梁・構造工学研究会,日本鋼構造協会,
国際橋梁構造工学研究会等に所属.
西日本高速道路(株)技術アドバイザー,
九地整橋梁保全検討委員会委員,
九地整TEC-DOCTOR,
熊本県文化財保護審議委員等。
 
Q 山尾先生の専門である「構造力学と耐震工学」とは、
どんな研究ですか、わかりやすく教えてください。
 
構造力学は連続体力学の一分野であり,
橋梁,建築物,船舶,航空宇宙機などの構造物が
荷重を受けたときに生じる応力や変形などを
解析するための力学である.一つの物体のときは
材料力学という.土木工学の分野では
根幹を成す学問分野です.
 
耐震工学は、地震による被害を防御・軽減するため,
安全・安心な人間社会を創出させるための
総合した学問分野.特に,鋼構造物が地震を受けた時の
変形挙動や応力状態を調べる耐震解析,
解析結果より耐震設計法の開発,
地震時の振動を抑える耐震・免震デバイスの開発などが
含まれます.構造力学の知識が根幹です.
 
Q 山尾先生がこの研究に取り組むことになった
「きっかけ」のようなものがあれば教えてください。
 
・大学院生の時に、上司の教授が実施した鋼アーチ模型
(長さが3m)の面外座屈強度や耐荷力及び終局挙動を
調べる載荷実験に関わったことが、
大きなきっかけとなった。
この後鋼アーチ橋の研究につながった。
 
・耐震工学は兵庫県南部地震による大震災の現場を
調査した後です.静的な解析や実験のみでは
不十分であり、地震波を受ける動的挙動の解明が
重要であると認識した。
 
・近代土木遺産の調査を実施する中で、
石橋の代表である石造アーチ橋が壊れず長持ちし、
かつ住民に愛着が持たれている要因を探ることと、
石造アーチ橋が損傷を受けて傷んでいるが
大丈夫ですかと問われた時に回答できなかったのが
研究のきっかけである。
 
Q 先生の研究対象で熊本に実際にある建築物
(石橋)などをご紹介ください。
 
1.二俣橋(二俣渡と二俣福良渡):美里町にあり,
1830年ごろ釈迦院川と津留川の合流地点に建設,
スパン16.35mと15.26m,その後この橋近くに
コンクリート橋など3橋の計アーチ5橋.
 
2.大窪橋:美里町にあり,石橋のアーチ形状の
支間中央部分がとがっている.
 
3.霊台橋:美里町,重要文化財,1847年建設,
スパン28.3mは単一アーチでは
日本最大級の規模を有する単一の石造アーチ橋
 
4.通潤橋:山都町,重要文化財,1854年建設,
3列の石管路を有する日本最大級の水路橋,
石橋本体はスパン28.1m.
石管路は縦90cm・横60cm・長さ40cm~50cm
の石材に30cmの四角形状の孔と独自の漆喰による接合.
鞘石垣によるアーチ基礎部補強,壁石(高石垣)
の積み方,壁石同士を鎖石で繋ぐことで
補強するなど工夫がある。
 
5.天草5橋:三角から天草島々を繋ぐ1号の天門橋
(鋼トラス形式、全長502m)、2号の大矢野橋
(鋼ランガートラス形式、全長249.1m)、
3,4号の中の橋、前島橋
(PCラーメン形式、全長361m、516m)、
5号の松島橋(鋼パイプアーチ形式、全長178m)
 
Q 熊本は「肥後の石工」と呼ばれるほど、
昔から石材建築に関しては有名なようですが、
その理由などあるのでしょうか?
 
「肥後の石工」と呼ばれるようになった理由として
以下のことが考えられます。
 
1.「種山石工」と呼ばれる八代・種山出身の
石工・橋本兄弟,熊本市付近の島崎石工,
玉名の月田石工や天草の下浦石工など
多くの石工が存在
 
2.石橋を架けるには多くの建設費用が必要.
経済力を有する手永(てなが,行政区分)の
惣庄屋が事業主となり,木橋に代わる
永久橋である石橋の建設が促進した.
 
3.石橋は江戸末期から架設が始まり,
天草や人吉は明治期から大正期に多く架設.
架設も街道や往還などの道路のほかに,
灌漑用水路や井手や樋門と併設して架設
 
4.石橋造りに適した石材が,
阿蘇の噴火でできた溶結凝灰岩,
安山岩や砂岩がたくさん採取
 
Q これまでの活動を通じて、
最も印象深いエピソードをお願いします。
 
・3mの長さの鋼アーチ橋の模型を使用しての
載荷実験において、実験は9割が準備であること、
試行錯誤ばかりで、失敗の中から学ぶことが
たくさんあったこと。
実験は新たな知見を得るのに
非常に重要な役目を果たすことなど学んだ。
 
・近代土木遺産調査では、
明治から昭和20年までにできた日本の近代化に
貢献した歴史的構造物
(橋梁や隧道、水門、樋門、堰堤(ダム)・
堤防、河川、港湾など)が現地にあるかどうか
確認するため、九州5県の山道を車で調査し、
素晴らしい石橋や堰堤などの土木遺産に出会ったこと。
 
Q 今後の活動予定やPRしたいことなど
あれば教えてください。
 
・実石橋の模型を製作しての載荷実験や
実際の石橋の振動特性を測定する実験や車両載荷
実験の実施
 
・今年度も学生と一緒に第4回目の
ブリッジ・コンペティション
(橋梁模型製作・架設コンテスト)に参加して
良い成績を納めたが、次年度新しい学生と
一緒に参加したいので、学生達に参加を呼びかけたい。
 
この時間は、熊本大学の山尾敏孝先生を
講師に迎えてお送りしました。
 
以上、「FMK Morning Glory ヒューマン・ラボ
熊大ラジオ公開授業・知的冒険の旅」でした。
 
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
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