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2014年8月

「her/世界でひとつの彼女」

 
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、
現在公開中の「her/世界でひとつの彼女」です。
 
この映画は、「マルコヴィッチの穴」や
「かいじゅうたちのいるところ」などの作品で
知られる鬼才スパイク・ジョーンズ監督の、
4年ぶりとなる最新作。
スパイク・ジョーンズが監督と脚本を手がけ、
「第86回アカデミー賞」では、脚本賞を受賞した作品です。
 
数多くのミュージック・ビデオを監督し、
独自の世界観で映像を作り上げるスパイク・ジョーンズ監督。
2001年のファットボーイ・スリムのミュージック・ビデオ
「ウエポン・オブ・チョイス」では、
MTVミュージック・ビデオ・アワードを受賞しています。
クリストファー・ウォーケンが躍りまくる
ご機嫌なミュージック・ビデオです。
映画監督としても、毎回斬新な切り口の作品で
世界を驚かせている監督です。
 
その独創的な世界観で映画ファンを魅了している彼が
今回選んだテーマは、「人間と人工知能との恋」。
 
舞台は、近未来のロサンゼルス。
他人の代わりに思いを伝える手紙を書く代筆ライターの
セオドアは、妻と離婚し、傷心の日々を送っていました。
ある日彼は、コンピュータの最新式OS
「OS-1」を手に入れます。
使用者と話をすることで学習していく最新型のOSは、
自分のことを「サマンサ」と名乗ります。
「サマンサ」は個性も意識もあって、
魅力的な女性の声をしていました。
明るくセクシーなサマンサの声に惹かれたセオドアは、
彼女と過ごす時間に幸せを感じるようになります。
そしてついに、“恋人”としてサマンサと向き合うことを
決意するのですが・・・。
 
人間とコンピュータとの恋愛というと、
奇想天外な感じがしますが、
男性と女性が出会って、会話をしながら
関係を深めていくのは普通の恋愛と同じ。
しかもこのサマンサ、話しているうちにだんだん
人間らしくなってきて、コンピュータなのに
やきもちを焼いたりするんです。
 
サマンサを演じているのは、
人気女優のスカーレット・ヨハンソン。
彼女の声が本当に魅力的で、
声だけしか出演していないのに存在感があります。
声の出演だけで「ローマ映画祭」では主演女優賞を
獲得しています。主人公のセオドアには、
「ザ・マスター」のホアキン・フェニックス。
彼の同僚を、演技派女優のエイミー・アダムスが演じています。
 
近未来を舞台にしてはいますが、人が恋に落ちるまでの
微妙な心の動きを見事に描いてあって、
一流の恋愛映画と言っていいと思います。
 
実は、この作品の成立には、ちょっとした裏話がありまして、
主人公セオドアと「サマンサ」の関係には、
スパイク・ジョーンズ監督の
個人的思い出がかなり反映されているようです。
 
スパイク・ジョーンズ監督は、1999年から2003年まで
同じく映画監督のソフィア・コッポラ監督と結婚していました。
あの「ゴッドファーザー」のフランシス・フォード・コッポラ監督の娘です。
その結婚していた頃の思い出を、ソフィア監督は
「ロスト・イン・トランスレーション」という映画にして発表しています。
忙しい夫との擦れ違いで、日本で孤独に過ごす
アメリカ人女性の物語だったのですが、
その主演女優がなんとスカーレット・ヨハンソンなんです。
今回「her」では、同じ女優さんをあえて
キャスティングしていると思われます。
映画のテーマも、孤独と恋愛ですから、「her」は、
ソフィアから送られたメッセージにスパイク監督が
自分なりの表現で答えたものと言えそうです。
 
この映画を観た人は、是非「ロスト・イン・トランスレーション」も
比較して観てみると面白いと思います。
 
センスの塊のような監督として有名なスパイク・ジョーンズ監督。
この「her」の中にも数多くの心憎い演出が隠されています。
例えば、登場人物の服装。現代のファッションと大幅には
違っていなんですが、パンツがハイウエストだったり、
襟がちょっと小さかったり・・・・とちょっとした違いで
「近未来」を表現しているんですね。
群衆シーンもいくつか登場しますが、
ジーパンやキャップをかぶった人物を一人も
登場させないように演出しているそうです。
一見してすぐに分かる演出ではありませんが、
どことなく現代とは違った感覚の風景に見える・・・・・
そんな細部にまでこだわった演出がいくつも登場してきます。
 
もしかしたら、近い将来本当にこんなことが起こるかも・・・と
思ってしまう作品。
上質な恋愛映画としても、SF映画としてもおすすめですよ。
 
今日ご紹介した映画「her/世界でひとつの彼女」は、
■Denkikan
で、現在公開中です。
 
「her/世界でひとつの彼女」オフィシャルサイト

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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
詳しくはここ↓
 
 

8月4日(月)の魔法のことば

今日はラジオネーム : 蜜さんが出会った、
ソローの魔法のことば。

「すべての不幸は未来への踏み台にすぎない。」

NPO法人HITOプロジェクト

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
NPO法人HITOプロジェクト事務局前原栄輔さんがゲストです。

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Q① ご出演の方のお名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:前原栄輔
(ふりがな)まえはらえいすけ
所属:NPO法人HITOプロジェクト事務局
 
プロフィール:以前は営業職に就いていたが、
2009年秋にHITOプロジェクト事務局を通じて
東京のNPO法人の活動を知り、社会活動に興味を持つ。
2010年よりHITOプロジェクトのセミナー企画、
ロボット教室に従事し、よりNPOの活動に関わる。
学生時に情報系学科でプログラミング等を学んだことを
活かし、2011年1月より同法人のロボット教室で
子どもたちの指導に当たりながら、
事務局としてロボット教室や競技会、セミナー企画、
異業種交流会等の企画・運営に携わり現在に至る。
 
ホームページ、ブログなど:
 
Q② 「NPO法人HITOプロジェクト」についての
基本情報を教えて下さい。
 
正式名称:NPO法人HITOプロジェクト
所在地:熊本県熊本市中央区白山1丁目3-2
TEL:096-364-6828
 
設立年月日:
平成19年3月16日熊本県知事認証、3月27日設立
 
活動目的:小学生、中学生、青少年、高齢者を対象に、
各種教育プログラム、体験学習、自己実現プログラムを通して、
「知、徳、体」のバランスの取れた人材育成、
将来情報社会で活躍できる人材の拡大を目的とします。
 
Q③ 「NPO法人HITOプロジェクト」がつくられた
「きっかけ」をお願いします。
 
設立のころは青少年の科学離れが進み、高等学校では
「物理」の選択者が少なくなり、さらに工業系大学入学者も
減少傾向にあります。国際的な学力テストにおいても
物理や数学の学力が低下するなどの憂うべき実態が
見られるような時代背景でありました。
青少年の生活環境も大きく変化し、「モノづくり」を
体験する機会は非常に少なくなり、工夫する力や
創造力が著しく低下してきているとも言われています。
そこで、自己実現プログラムを通して、青少年に
論理的に物事を考える力と問題解決能力を涵養し、
将来さまざまな分野で活躍できる人材育成を行う目的で
設立いたしました。
 
青少年を対象にロボット教室など「モノづくり」体験を
行うのは、大学や専門学校といった高等教育機関に
進むよりもっと前の段階で、小中学生が体験する場を提供し、
工学分野への興味関心を引かせるとともに達成感を得て
楽しく学べることを目的に実施しています。
 
Q④ HITOプロジェクトという団体名の由来はなんですか?
 
論理的に物事を考える力と問題解決能力を涵養し、
将来の情報社会で活躍できる人材を育成するという理念を
「Hearty(心)&Intelligence(知性)&
Technology(技術)Organization」の頭文字からとって表しました。
まずHeart(心)が頭にきているのがみそです。
 
Q⑤ 「NPO法人HITOプロジェクト」の活動を
具体的に説明お願いします。
 
メインで行っている活動に以下のものがあります。
 
◆ロボット・プログラミング体験教室
小学生高学年~中学生を対象にしたロボット制御を
体験するプログラミング教室。教材は高等教育機関でも
採用されており、子どもたちにもなじみがある
「レゴ」の「マインドストーム」を使用。
モーターやセンサーを搭載し、マイコンが内蔵された
ブロックに、ビジュアルで理解しやすい専用ソフトを
使用してプログラミングを行い、転送して自律的に
自ら組立てたロボットを自ら動かす「ものづくり」体験を
通して工学分野への興味関心を引くとともに、
創造性、論理的思考、問題解決能力の育成を図る。
 
◆ロボット競技会「WROJapan熊本大会」
世界44カ国の小中高校生が参加する自律型ロボットによる
制御技術を競う国際ロボットコンテストの
日本国内熊本地区予選会を熊本大学、
東海大学との共催で実施。様々な障害物やミッションが
用意された競技コースを走行し、得点やタイムを競う。
成績優秀チームは9月に行われる決勝大会に
熊本地区選抜チームとして参加し、全国の参加者と競い、
国際大会の出場を目指す。
大会参加者の育成も行っている。
 
◆くまもとシゴト人市
社会で活躍する大人たち(シゴト人)と、
「熊本を盛り上げたい」、「何かに挑戦したい」若者たちが
本音で語る座談会。これまで3回実施し、
スポーツ選手、起業家、デザイナー、国家公務員、
クリエイターなどの方々にご登壇いただいた。
 
Q⑥ 活動をしていく上で
苦労している点などあればお願いします。
 
現在主に行っているロボット教室および競技会だが、
指導やサポートできるスタッフが限られていること、
ロボット教材が安価でないためあまり購入できないことなどで
開催できる規模や回数が限られており、
定期的な開催や年間通して学べる場を提供することが
困難であることです。
また、実施の際も会場の校区外の子どもは保護者の
協力なしでは参加が難しいこともあるため、
学ぶ意欲があっても参加できない子どももおり、
今後どうやって多くの子どもたちに求められる場を
提供できるかも課題の1つです。
 
Q⑦ これまでの活動の中で、
最も印象深いエピソードをお願いします。
 
体験教室でアンケートをとると、参加した理由に
「ロボットに興味があるから」、「レゴが好きだから」、
「なんとなく楽しそうだから」という回答も目立つが、
もっと学びたいと意欲的になった子どもが本気に
なって取り組んでくれたことで、印象深いものがあります。
ロボット競技会に参加する子どもが、冬休みや
夏休みをかけて研究、練習し、大会に臨んだが、
練習でうまくいってもどうしても本番で失敗することがあり、
成果を発揮できなかったことで落胆したり
「もっとこうしていれば良かった」と悔しさから
涙を流しました。
そこに子どもたちの取り組んできた姿勢や本気、
熱意がこちらにも伝わります。自分の考えている
理想まで研究・練習して持っていくことの難しさ、
他者と競うことによりかかるプレッシャー、
外部環境や様々な要因によって結果が変わるという
自分の思い通りにいかないことなどを感じて
くれたことと思います。
また、逆に成功したチーム、勝ち抜いたチームは
喜びを表情とジェスチャーで表現し、
そこで得た自信も見せてくれます。
体験教室では「楽しかった」と笑顔になる子どもが多いが、
勝ち負けがはっきりする競技会では
その姿が対照的であることが印象的でした。
 
Q⑧ 今後の夢、目標などあればお願いします。
 
今後の目標として以下のものがあります。
ロボット体験教室を開催すると毎回必ず
「これまで知らなかった」という方がいらっしゃるので、
より多くの子どもたちに機会を提供できるよう規模を
拡大することと、裾野を広げることで頂点を押し上げ、
競技会などでの上位入賞など熊本から全国で
活躍できる人材を輩出することです。
また、IT分野や情報教育といっても多岐にわたり、
個人によって興味や特性も様々なので、もっと広く、
そして深く、継続して学べる環境をつくることも
重要だと考えています。
 
当法人の理事長は、専門学校2校
(熊本電子ビジネス専門学校、熊本デザイン専門学校)の
理事長であり、また7月にはデジタルハリウッドスタジオ熊本
というWEBデザイナー養成のオンラインスクールも開講しました。
 
これらの団体がそれぞれ様々な世代や職域に対しての
人材育成を通じて、熊本県の発展、熊本に生まれ育った人たちが、
活き活きと働ける環境作りのお手伝いを
していきたいと考えております。
 
Q⑨ 熊本県民にPRしたいこと、
今後の活動予定、お知らせなどあれば教えてください。
 
8月24日(日)13:00から熊本の小中学生が全国を
目指して自動制御技術を競う自律型ロボット競技会
「WROJapan2014熊本大会」を実施します。
大会に出場するチームは現在指導中ですが、
見学は自由なので、小中学生が作ったロボットと
それを動かすプログラミングをご覧いただければ幸いです。
秋以降もロボット・プログラミング体験教室を実施予定なので、
HITOプロジェクトホームページやフェイスブックページを
今後チェックしてください。
また、教材数やスタッフ数に制限がありますが、
この地域で開催してほしいという要望があればご相談ください。
 
今日はNPO法人HITOプロジェクト事務局の
前原栄輔さんにお話を伺いました。
前原さん、ありがとうございました。
 
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
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