企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。
今日は、「日本テトラパック株式会社」のヒミツに迫ります。
1951年にスウェーデンで誕生したテトラパックグループの
日本法人である日本テトラパックは、1962年に設立されました。
容器に充填する前の液体・食品の加工処理から、
紙パックへの充填に至るまで、製造、充填、包装という
すべての工程において技術サービスを含め、
一貫したサービスを、日本の多くの飲料、
乳業、食品メーカー向けに提供しています。
食品包装分野のパイオニアと言える会社です。
お話を伺ったのは、日本テトラパック株式会社
コミュニケーション本部 桑田美佐さんです。
Q「日本テトラパック」という社名の由来を教えて下さい。
テトラパックという社名は、テトラパックが世界で初めて開発した
紙を素材にした、正四面体の容器「テトラ・クラシック」、
リスナーの皆様の中には学校給食の三角パックの牛乳で
おなじみかと存じますが、その製品名に由来しています。
テトラはギリシャ語で四面体という意味です。
テトラ・クラシックは、1950年代にヨーロッパを中心に普及し、
日本には1956年に初めて紹介され、
牛乳の流通方法に革命を起こした画期的な紙パックとして、
大きな注目を浴びました。
当時、牛乳は瓶が主流でしたが、紙パックの採用により
重量が軽くなったために、大変持ち運びが便利になり、
学校給食に採用されたり、食料品店での販売が拡大しました。
日本の乳業界と流通の発展に寄与することができました。
Q「日本テトラパック」は、
どんなイメージの会社を目指しているのですか?
日本テトラパックでは、安全かつ革新的で、環境に配慮した
製品を提供することを目指しています。
「大切なものを包んでいます」というモットーに基づいて
事業を展開しており、食品の安全を支え、
より良い暮らしの実現をサポートしています。
常に新しい時代のニーズに合わせた容器や
機器を提案しています。
また、テトラパックでは、包むことは、守ることと考えています。
それは大切な製品を守り、お客様や消費者の皆様と
その社会を守り、未来を大切に守り続けていくとという
テトラパックの想いをあらわしています。
持続可能な社会の実現に向けて、原材料の調達から
使用済み容器のリサイクルに至るまで、
環境負荷を最小限にする取り組みを積極的に展開しています。
原材料調達に関してお話しますと、テトラパックの紙パックの
約75%は紙でできています。紙は木材チップから作られます。
木は植えて育てて使えば枯渇することのない、
再生可能な資源です。その再生可能性をきちんと確保するよう、
テトラパックでは適切な森林管理がされた森林より
資材を調達しています。
使用済みの紙容器のリサイクルに関しては、
弊社の紙パックはアルミが内側に貼ってあるものが主流です。
よくアルミ付きの紙容器はリサイクルできないと
思われていますが、技術が発達し、
今ではきちんとリサイクルできます。
ですので、テトラパックでは使用済みの紙パックが
リサイクルされるよう、全国にネットワークを構築しています。
2011年からはベルマーク運動に参加し、
テトラパックのベルマーク運動を開始しました。
テトラパックの紙容器には必ずテトラパックのロゴマークが
入っています。このロゴマークがついている紙パックは
すべてベルマークポイントの対象になっています。
紙パックを開いて洗って乾かして、送付すると、
リサイクルができて環境にいいことができますし、
ベルマークのポイントもつくので学校の設備補強にも
役立ちます。現在は4757団体が参加し、
今年前半の回収率は前年比30%以上の増加となりました。
また、CSR活動として家族のクオリティオブライフの向上を
応援する活動も行っています。全国でNPO法人の
全国女性会館協議会と「働く母親を支援する、
パパと子どものi-cooking」という料理講座を支援しています。
九州エリアでは佐賀と福岡にて12月に開催予定です。
これは労働人口が減少する中で、母親への負担が
重くなってきていることから、父親や子どもが積極的に
家事に参加し、生活自立を促す第一歩としての講座です。
お父さまといお子さんが料理をしている間、
お母さまには自由時間ができます。参加されたお父様がた、
お子さんがた、そしてお母さまがたから、
家族の時間をより有効にできると大変好評いただいております。
Q「日本テトラパック」は、業界シェア何パーセントですか?
また、何種ぐらいの製品を作っているのでしょうか?
2013年は、容器包装事業においては日本市場において
約59億個の飲料用紙容器を販売し、約35種類の形状、
サイズの容器を提供しています。
例えば、常温保存が可能なレンガ型の
「テトラ・ブリック・アセプティック(TBA)」や、
容器の上面と底面は四角形、胴体部は八角形という
ユニークな形状の「テトラ・プリズマ・アセプティック(TPA)」、
テトラ・プリズマ・アセプティックにスクリューキャップがついた
利便性の高いタイプも昨年より多くのお客様にご採用いただき、
消費者の皆さまからもご好評いただいております。
そして、要冷蔵製品用の容器には、容器の肩から
上の部分と開け口がプラスチック製で、
胴体部分は紙製で丸みをおびたボトル型の
「テトラ・トップ」がございます。こちらも昨年より
ファミリーサイズが相次いで乳業メーカー様に採用されております。
このように市場のニーズに対応した新しい形状と機能をもった
容器を市場に次々投入しています。
さらに技術サービスにおいてはお客様の機械・機器の
安定稼働を支え、さらには製造工程の効率化を
お手伝いするコンサルティングサービスなども提供しております。
プロセッシング事業においては「牛乳・乳飲料」「飲料」
「アイスクリーム」「調理加工食品」「チーズ」といった
食品の製造ラインで使用される機器装置を提供するほか、
プラントエンジニアリング、オートメーションエンジニアリングも
含めたトータルソリューションを提供しています。
お客様は九州の乳業、飲料メーカー様をはじめ、
全国の乳業・飲料メーカー様とお取引きをさせて頂いています。
Q「日本テトラパック」の歴史の中で
もっとも印象的な出来事は何ですか?
牛乳など腐りやすい飲料を、保存料などを使用せずに、
長期にわたって冷蔵庫に入れないでも品質を保って
保存できるようにしたことです。
その秘密は紙パックと充填技術にあります。
まず、紙パックには2種類あって、主に牛乳などが
入っている屋根型の容器は紙とポリエチレンでできていて、
4層構造です。テトラパックが得意とする常温保存ができる
タイプの紙パックは紙の内側にうすい
アルミ箔が貼られていて、6層構造であるため、
飲み物を劣化させるもとになる光や酸素を通しにくいのです。
このアルミ箔がついた紙パックに充填する前に
高温で2秒ほど滅菌した飲料を、充填機の中で滅菌した包装材に
無菌状態のエリアで飲料を充填するため、
保存料を使わなくても長期常温保存が可能になるのです。
この充填技術を無菌充填技術といいます。
また、高温で短時間で滅菌するため、
飲み物の風味や栄養を保つことができます。
そのため、輸送に日にちがかかる遠隔地にも
商品を届けることが可能になり、また、食品廃棄物の
削減にも貢献しています。また、
普段からご使用いただくことで
なにかあった時の災害時にも備えられます。
Q「日本テトラパック」の製品でこれまで
最も多く生産された製品は何ですか?
その商品が誕生したのは、いつごろですか?
また、どんなきっかけで生まれたのか詳しく教えてください。
日本テトラパックで、最も多く出荷されている容器は、
「テトラ・ブリック・アセプティック」という、レンガ型の容器です。
コンビニや自動販売機で売られている
200ml~250mlの小型飲料や、スーパーで売られている
1リットルの飲料などに広く利用されています。
熊本のメーカー様の商品ですと、らくのうマザーズ様の
カフェオレや大阿蘇牛乳、JA熊本果実連さまの
ジューシーシリーズなどがあります。
テトラパックの容器の開発には2つの特徴があります。
一つはロール紙から容器が成形されるのと同時に
中身が充填され、製品が出来上がるまでが
連続行程で行われること。
もう一つは製品の充填とシールが液面下で行われることです。
この包装原理は四面体のテトラ・クラシックから
レンガ型のテトラ・ブリック・アセプティックの
すべてに共通しています。
四面体の「テトラ・クラシック」は世界中に普及しましたが、
1963年に、さらに輸送効率が良く、
店頭での陳列もしやすいレンガ型の紙容器を
世界で初めて開発しました。
この紙容器にアセプティック技術を組み合わせ、
常温保存も可能となりました。この容器は、
1970年代に日本市場に導入され、
誕生から40年以上を経た今でもベストセラーとなっています。
Qその商品がヒットした理由は?
開発のポイントやエピソードなどあれば教えてください
当時、合理的な包装容器を作ることはもちろんのこと、
液体食品の流通の合理化を念頭において
研究・開発を進めていくという経営方針がありました。
その方針がじか積みのできる長期保存が可能な
テトラ・ブリック・アセプティックの開発へとつながりました。
そのような考えのもと開発された容器であったため、
倉庫での保管や、販売時の棚への陳列、
輸送時の積載といった面での効率性や、
長期の常温保存が可能という利便性と環境負荷の
低さが高く評価されたのだといえます。
また、消費者の皆様にとっては、冷蔵庫で保管しなくて良いため、
空きスペースを気にせず買い置きができますし、
飲み切りサイズで、ストロー付きのものなど、
様々なサイズがそろっているのも魅力の一つです。
食品・飲料メーカー、流通・小売会社、
そして消費者のすべてにメリットを提供できるよう開発されました。
Q最近、なつかしい三角パックを再リリースしたそうですが、
その理由などあれば教えてください
日本では、輸送効率や棚効率の理由から、
2004年以降、四面体の「テトラ・クラシック」の販売は
一時休止していましたが、その形のユニークなところから
差別化を求めるお客様の声にお応えし、
長期常温保存可能な新型三角パックの提供を
本年開始いたしました。
Qそのほか「日本テトラパック」に関する
なにか面白いエピソードなどあればお願いします。
日本テトラパックでは、紙製品を扱う企業として、
昨年11月に「FSC®CoC」認証を取得したのですが、
今年7月より、当社が提供する紙容器に順次
「FSCCoC認証ラベルが記載されるようになりました。
「FSC森林認証システム」は、森林の環境保全に配慮し、
地域社会の利益にかない、経済的にも持続可能な
森林経営が適切に行なわれているかどうかを
第三者認証機関が審査・認証する制度です。
消費者は認証ラベル付きの製品を購入することで、
世界の森林保全を間接的に支援することができます。
日本におけるFSC認証に関する認知度は5%と、
スイスの79%、オランダの71%といった欧州諸国と
比べ非常に低いのが実情です。
当社ホームページで、テトラパックの紙パックと
環境への取り組みを紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
また、日本テトラパックではFSC認証ラベルの認知度向上を
支援するため、動画を今月発表する予定です。
是非、当社のFacebookをチェックして頂き、
公開予定の動画をシェアをして
日本のFSC認知度の向上にご協力ください。