企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。
今日は「株式会社シューズセレクション」のヒミツに迫ります。
「株式会社シューズセレクション」は、1986年(昭和61年)設立。
洋傘の製造・卸(一部小売)を手掛けている会社です。
お話を伺ったのは、
株式会社シューズセレクション
営業部 セクションリーダーの奥村哲久さんです。
Q1「シューズセレクション」という社名の由来を教えてください。
創業者である社長の名前(林秀信)が由来です。
秀さんが厳選した傘という意味で、秀‘s(シューズ)セレクションです。
Q2「シューズセレクション」は、なぜ傘に特化した会社となったのですか?
創業者がそれまでのビジネスを完結させて新たに取り組んだのが「傘」でした。
社長にとって傘は、幼少の頃より思い入れのある商材でもあったため、
まずは工房を作り、職人さんを雇って傘のイロハを
教わるところからのスタートでした。
その後、傘にのめり込み現在に至りますが、傘の素人であったことが、
従来にない画期的な傘の開発につながっています。
目指す傘に至るにはまだ数年かかるとのことで、
これからも傘一筋の会社であると思われます。
Q3「シューズセレクション」は、
傘業界の風雲児と呼ばれる躍進ぶりだそうですが、
現在の業界シェアは何パーセントですか?年間販売本数は?
数量シェア17%。年間販売本数2010万本(2014年実績)
Q4「シューズセレクション」は、いくつかのブランドを
展開されているそうですが、おのおのの
ブランド・コンセプトについて教えてください。
創業の頃より、メインブランドとしてwaterfrontを展開しておりますが、
2000年に同ブランドで販売を始めた500円シリーズの影響が強く、
リーズナブルな傘としての印象が強くなってしまったことから、
新たなブランドSHU’Sを2013年末に導入しました。
このSHU’Sでは、低価格という自社に課した命題を超えて、
コストのかかる新素材や機能を投入して新たな商品開発を進めています。
しかし実際のところ、それは一部の思い込みに過ぎず、
とくに海外ではwaterfrontが良質な傘のブランドとして
周知されていることが最近判明いたしました。
このため今一度waterfrontブランドに集約して展開していくこととなります。
例外は学童に使われているcandydrop程度の予定です。
Q5「シューズ・セレクション」の総アイテム数は現在いくつですか?
その中で、もっともヒットした商品は、何ですか?
累計でどのくらい売れた商品ですか?
常時約500アイテムの傘を生産しています。
(累計アイテム数は不明)
もっともヒットしている商品は、厚さが最大で2.5㎝の
薄型折りたたみ傘の「ポケフラット」で、累計販売本数は、
昨年末で2150万本を突破しています。
Q6この商品は、いつごろ、どんなきっかけで作られたものですか?
発売は2004年の11月です。商品開発は発売の数年前から始まりますが、
すべて社長が行っています。
社長はその当時から傘をコンパクトにすること(身に着ける感覚で持てる傘)を
目指して日夜開発に努めていました。
そのような折、商談相手が手にした扇子にヒントを得て、
薄く折りたためる傘の開発が始まりました。
Q7上記の商品の開発ポイントがあれば教えてください。
傘を薄く収納するための構造は当社オリジナルのもので、
国内外で特許を取得しています。
傘の構造が丸から扁平になったことがポイントです。
ただ薄くするだけでなく、従来の折り畳み傘以上に快適な操作性と
強度も備えていることが特長です。
厚さが最大で2.5㎝ですから、背広の内ポケットや
バッグのわずかな隙間にもすっぽり収まります。
また、傘のサイズによりますが重さが約170gですので、
常時バッグに入れていても苦になりません。突然の雨にも安心です。
また、UV加工が施された商品は晴れ・雨兼用で便利です。
Q8「こんな珍しい商品も扱っている」という
特色ある商品などあれば、いくつかご紹介ください。
通常傘の中心にある心棒が約15cmずれた傘があります。
普通にさすだけで、自分が傘の中心にくるため、
例えば背中に背負ったリュックなどが自然にカバーされ
濡れにくくなります。その名も「バッグに優しい傘」です。
また、ご当地傘として、鹿児島の火山灰避けの傘があります。
「桜島ファイヤー」といって、大きなヘルメットのような形をしています。
通常の傘より深くカバーされるため、肩より上がすっぽり覆われて、
火山灰から守られます。
ビニール素材で出来ているので見通しもよく、安全です。
その他の地域では風避けとして利用されることもあるようです。
ご年配の方向けに「ステッキ傘」を用意しています。
通常の傘はステッキとしての強度はありませんが、
この傘は体重をかけても大丈夫なほど丈夫にできています。
また、従来のステッキ傘は、雨が降った際に、ステッキ傘を傘として
使用してしまうため、ステッキがなくなってしまいましたが、
この傘はステッキがもう1本内臓されていますので、
雨が降ってきたら傘からステッキを取り出して
使用することができるという、1本2役の優れモノです。
Q9「シューズ・セレクション」では、
世界最大級の傘専門店をオープンしたそうですね。
詳細を教えて下さい。
昨年4月12日に、東京の自由が丘に世界最大級の傘専門店
「クール・マジック・シューズ」をオープンしました。
1棟まるごと傘のお店で、1階から4階まで、
約500種類10000本の傘が揃っています。
本棚のようなディスプレイに色とりどりの折り畳み傘が並ぶ
「図書館」をイメージした1階をはじめ、コンセプトの異なる
売り場がスキップフロアで重なる独創的な空間です。
2階は男性向けのラインナップを中心としたフロア。
強風や大雪に耐える「富山サンダー」や、火山灰対策として開発された
「桜島ファイヤー」などのご当地傘もここにあります。
3階では、約100gの超軽量傘など女性向けのアイテムを販売しています。
(4階は商談スペースとなっておりますので、一般のお客様は入れません)
Q10そのほか「シューズ・セレクション」の商品に関する
なにか面白いエピソードなどあればお願いします。
約13年前に発売した商品に、「銀行員の日傘」という商品があります。
これらの製品はそのほとんどを社長が開発しているのですが、
当時社長のもとに通っていた大手都市銀行の営業マンに
とても汗かきな男性がいました。
そこで、この人を涼しくしようと開発されたのが、この傘です。
まず、涼しくする方法として、アルミを主成分としたコーティングを
生地の表面に施しました。このことにより遮熱効果が生まれ、
通常のかさと比較して3~4℃涼しい(環境により異なります)傘ができました。
しかも、紫外線も99%カット、耐水度も通常の傘の3~4倍という、
晴れでも雨でも使える高機能な傘が誕生しました。
しかも強風にも耐える構造をしており、万一傘がひっくり返っても
壊れないという優れものです。
当初より、男性をターゲットとして開発した商品ですが、
まだまだ男性の日傘は市民権を得ず、
専ら女性に人気の傘となり、現在に至ります。
Q11「シューズ・セレクション」の歴史の中で
もっとも印象的な出来事は何ですか?
ブランドのOEM生産からスタートした当社ですが、
海外に製造の拠点を移したことで製造コストが格段に低く
抑えられるようになりました。そもそも、傘は生活必需品であり、
それほど高価である必要もありません。
そこで、「よいもの安くお届けしたい」という考えのもとに、
スーパーバリュー500シリーズという500アイテム、
500円の傘を展開し始めました。2000年のことです。
これが爆発的にヒットし、気づくと当社は業界トップの数量を
扱うようになっていました。
Q12そのほか、オススメの商品、サービス、
キャンペーンなどPRしたい案件があればお願いします。
今年の2月に発売した新商品では、帝人フロンティアさんと
共同開発した画期的な生地を使用しています。
それは高撥水が特長の「ウォーターバリア」という生地です。
生地表面が蓮の葉構造をしているため、水滴がコロコロと転がり、
さっと一振りで水滴が落ちます。
しかも、この生地は特別な加工を施さなくても
紫外線を95%カットするうえ、遮熱効果もあります。
また耐水度も基準の2倍の数値がありますので、
晴れの日も雨の日も活躍します。
また、今回の新商品は、富山サンダーというご当地傘に
このウォーターバリアを使用しています。
●ガールズ富山サンダー
富山は日本海から吹く強い風と湿った重い雪にも
耐える強度が求められるため、
強化骨を使用するなど丈夫な骨組が特長の傘です。
つまり、雨にも風にも太陽にも負けない、全天候型の最強傘なのです。
詳しくはここ↓