6月18日(木)の名盤は…
今週はケニー・ランキンを紹介しました。
先週、また悲しい知らせが届きましたね。
ベテラン・シンガー・ソングライター、「ケニー・ランキン」が
肺がんのため亡くなりました。大ヒット曲があるわけでもなく、
特に日本では全盛期の作品が入手困難な時代が長かったので
“知る人ぞ知る”存在でしたから、一般紙に訃報が載っていたのが
不思議な感じがしましたが、でも今や日本のファンが実は
一番彼の偉大さを理解しているのかもしれません。
1970年代に活躍したイメージが強いので、
享年69才と聞いてびっくりしましたが、デビューは1957年(!)とのことなので、
プレスリー等とほとんど変わらない人だったんですね。
もっともこの時はまだ若すぎた(10代!)ためか全くヒットせず失敗に終わります。
再デビューは1967年まで待たなければならなかったのですが、
この間にボブ・ディランのセッションに参加したりして腕を磨きます。
そして決定的だったのが、ブラジル音楽ボサ・ノヴァとの出会いでした。
すっかりこれに魅せられた彼はボサ・ノヴァ独特のノリとフィーリング、
そしてギター奏法を完璧に自分のものにしたのです。
再デビュー以降の彼の音楽は、これにジャズの要素ともともと自分が
得意だったポップスを掛け合せたような独自のフォーク・ロックと
いったものです。今ならAORと呼ばれるものに近いのですが、
時代的にはAORが誕生するよりずっと早く、
当時としてはどう扱っていいのか、ファンもメディアも戸惑ったようです。
内容の充実に比べると、商業的には恵まれませんでした。
ただ、同業者からは高く評価され、多くの曲がカヴァーされています。
そんな彼を1990年代に見出し再評価したのが、実は日本なんです。
しかも意外なところから。
クラブDJ達が彼の音楽の気持ちよさに気付き、
ちょっとした人気になったんです。
全てのCDが再発され、今や日本が一番音源を入手しやすいようです。
後追いの若い世代から指示されていたケニー・ランキン本当に残念ですね。
お届けしたのは、
1972年リリース、ケニー・ランキンで「ライク・ア・シード」でした。