企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。
今日は「株式会社トンボ楽器製作所」のヒミツに迫ります。
「株式会社トンボ楽器製作所」は、
明治35年(1902年)に創業されました。
大正6年(1917年)、当時流行し始めたハーモニカの生産を開始。
昭和6年には日本最初のアコーディオンを製造販売。
以来、リード楽器専門メーカーとして、
同時に「音楽を愛する楽器メーカー」として愛好者に喜ばれる
品質の提供に努力を重ねています。
お話を伺ったのは、株式会社トンボ楽器製作所
マーケティング部課長代理の長井大輔さんです。
Q1「トンボ楽器製作所」という社名の由来を教えてください。
当時、昆虫の名前を取り入れた社名が多くありました。
ヤマハさんの商標にはバタフライが使用されていました。
その中でも昆虫の王様と言われるトンボを採用したという事です。
前にしか進まず退かないという精神を表しているとも言えます。
ヤンマーさんもオニヤンマから採用したようです。
Q2「トンボ楽器製作所」は、最初から楽器制作を行っていたのですか?
初代社長、真野清次郎(清八・明治5年生)は新潟・高田より
単身上京。修行の後、東京・上野で玩具問屋「高陽堂、真野商会」を
設立する。自社にてオリジナル玩具としてリードを数枚利用した
小型の手風琴を開発・製作、ヒット商品となる。大正6年(1917年)
当時流行し始めたハーモニカの生産を開始。
これが現在のトンボ楽器の始まりである。
Q3現在では、楽器の輸出や輸入もされているそうですね。
海外でも品質の良さが認められ、多くのトップアーティストが
「LeeOskar」モデルや「folkblues」モデルなどを使用。
現在、40ヶ国以上に輸出を行なっている。
アコーディオンについては奏者の要望に応えるべく、
自社製品の他にイタリア製アコーディオン「バロンブリーニ」、
「ヴィクトリア」の日本総代理店として輸入販売を行う。
Q4「トンボ楽器製作所」は、どんなイメージの会社を目指しているのですか?
初代社長の人生訓「信用之資本」とはやはり品質を
維持しつづける事だと思います。
微妙な事で変化する演奏感、音色などの調整を積み重ねていく事が大切です。
1本1本を最高の品質で届ける職人魂がお客様の安心感に
つながっていると思います。
楽器というものの設計は大きくは変わらないと思います。
トンボ楽器では製品の企画を行うにあたり、
外観など見た目だけの変更などは行いません。
音に変化のある事や演奏生、耐久性が向上する事が前提です。
使い方を含めてお客様に楽しみを提案できる事が重要だと考えています。
良い楽器を作る事は技術的な事はもちろんですが、
音楽を愛する気持ちが大切だと考えます。
トンボ楽器は音楽好きの集団、そんなイメージでしょうか。
古くはウクレレや電気ウクレレ(ウクレット)など
多くの楽器を作っていた事もありますが
リード楽器にこだわる理由は戦後の音楽教育で培ったリードの
耐久性などが当社の最大の魅力になっているからだと思います。
Q5「トンボ楽器製作所」の歴史の中で一番のヒット商品は何ですか?
その商品はいつごろ、どんなきっかけで開発されたものですか?
1980年代初旬から現在までロングセラーのメジャーボーイでしょうか
10ホールハーモニカという種類のハーモニカです。
ブルースハープと一般的には呼ばれる事が多いのですが、
ブルースハープはドイツ・ホーナー社の商標なのです。
メジャーボーイは吹きやすさ、音量、リードのコントール性を
向上させる事が目的でした。
それまでの10ホールハーモニカはリードの付いたプレートで
本体をサンドイッチし、カバーを
取り付けるという形状でしたが、空気漏れなどの問題もありました。
メジャーボーイは樹脂本体の中にプレートを落とし込み、
密閉率を上げています。これは息がダイレクトにリードに伝わり、
ベンドという音を下げる奏法を習得しやすくなります。
また吹き口の穴、チャンバーと呼んでいますが
この容積を大きくする事、間仕切りを狭くする事で
ボリューム感や演奏生を格段に進化させました。
もちろん耐久性に関しては今現在でも常に進化させています。
他に複音ハーモニカの代名詞とも言える「特製トンボバンド」が
ありますが、この商品は1927年から製造していますので、
当時の開発状況は不明な点も多いですが、やはり現在でも
販売が続いているのは当社の音色と耐久性が理由だと考えます。
長渕剛、ゆず、などに愛用されています。
Q6上記商品の開発ポイントがあれば教えてください。
メジャーボーイのような樹脂成形にプレートを落とし込んだ
形状は今では他メーカーでも主流となっていますが、
当時は画期的なアイディアでした。
この商品の魅力はやはり吹きやすさと耐久性。
ステージでアーティストが安心して使える品質です。
長渕剛さん、ゆず、いきものががりなど多くのミュージシャンが
使用する理由です。このメジャーボーイがLeeOskarさんの目に止まり、
輸出モデルとしてLeeOskarモデルが誕生。
ミックジャガーさんなどが使用している姿が映像などでも確認できます。
Q7この春から楽器をはじめたいという
初心者におススメのモデルなどあればご紹介ください。
バンドでカッコよく決めたいのであればメジャーボーイ。
とりあえず最初の1本はC調がオススメです。
複音ハーモニカをこれから始めたい方には、
取り扱いが容易なプレミアム21。
教室などではC調を基本として揃えますが、
独学で演奏するならキーを下げてA調が吹きやすいと思います。
最近はクロマチックハーモニカも演奏する方が増えています。
ユニクロマチックは初心者から演奏しやすい
クロマチックハーモニカですので教室に通おうと
思っている方には最初の1本にオススメです。
Q8「トンボ楽器製作所」の歴史の中でもっとも印象的な出来事は何ですか?
印象的という事ではないのですが....
戦前、日本で発達した独自のハーモニカ文化が生まれ、
複音ハーモニカの日本的奏法が確立。
また、多くのハーモニカ合奏団が存在し、
趣味の分野でハーモニカは広まりました。
当社の大きな変化は戦後に訪れました。
GHQのお達しで、音楽教育に器楽を取り入れる事になったのです。
それがハーモニカでした。
当時子供の数も増えており、学校教育でハーモニカを使うことは
生産数に大きく影響します。
衛生面から個人持ちの楽器となるため、200万本、
多い時で350万本の生産が必要でした。
個人で購入できる価格、お子様が乱暴に扱っても壊れない耐久性、
合奏の為の正確なピッチ。
全てを満たさなければなりません。戦後、工場や機械は焼け、
材料も不足している中での事です。
品質のために徹夜で焼鈍の時間計測、
リードの耐久テストを行う日々だったようです。
この当時の蓄積されたノウハウが現在のハーモニカ製作に
生かされている訳です。
あと2年で当社は100周年を迎える訳ですが、
その中でも大きな変化だったと思います。
Q9そのほか「トンボ楽器製作所」に関する
面白いエピソードなどあればお願いします。
当社の製品にはトンボバンドという製品名があります。
この名前は製品だけではなく、
実際に存在する社内バンドの名前でもあります。
会長、社長、部長、私も含め都内近郊のハーモニカコンサートに
年何回かは出演しています。
ハーモニカ、アコーディオン、ギター、ベース、ピアノなど
様々な形態で演奏しています。
トンボ楽器は音楽好きの集団という社風もご理解いただけると思います。
Q10そのほか、オススメの商品、サービス、
キャンペーンなどPRしたい案件があればお願いします。
7月上旬に新製品の発売を控えています。
新機構を採用したスライド式クロマチックハーモニカ、「μ-01」です。
スライド式クロマチックはレバーを操作する事で半音を出せる
ハーモニカなのですが、この「μ-01」は従来のスライドを
押し込む距離が半分で行える設計になっています。
素早いアクションで演奏できる新しいクロマチックです。
詳しくはwebでご確認いただけます。
早期予約特典として、期間限定で
「クロマチック・メンテナンスキット」がもれなくもらえる
キャンペーンを実施中です。ご検討中の方は期間限定ですので
お早めにご注文下さい。
キャンペーンの詳しい内容はwebまたはお近くの楽器店にてご確認下さい。
また、48種のコードを持ったコンパクトなコードハーモニカも発売致します。
こちらも予約特典がございますので、ご確認下さい。
トンボ楽器製作所 オフィシャルサイト
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
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