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2015年8月

8月20日(木)の魔法のことば

今日はラジオネーム : 鯛子さんが出会った、
秋山仁の魔法のことば。

「今日は何人の人を喜ばせることが出来るだろうかと考え、
朝起きよう。」

「Sプランニング」

企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。
今日は、文字を読むのが苦手な人でも
楽しく読むことができるように工夫された
「LLブック」という本などを出版している
「Sプランニング」のヒミツに迫ります。
 
「Sプランニング」は、東京都にある障害者福祉の本を
出版している会社です。
今日お話を伺ったのは、「Sプランニング」
取締役 鈴木伸佳さんです。
 
Q①まず「Sプランニング」について教えて下さい。
 
Sプランニングロゴ.png

2005年から、知的障害のある人の地域生活を進めたり、
権利を守る内容の本の出版を、一人で行っています。
この10年で、25点の本の出版をしました。

Sプランニングロゴ_マック.png
 
オフィシャルサイト:http://www.s-pla.jp/
 
Q②「Sプランニング」という社名の由来を教えてください。
 
私の名前が鈴木なので、鈴木書店でもいいかあな、と
思ったのですが、あまりにもありふれているのでやめました。
Sは鈴木のSで、プランニングは、出版だけではなく、
なんでもできるように、とつけたのですが、
結局、いまのところ出版しかできていません。
 
Q③「Sプランニング」は、
どんなイメージの会社を目指しているのですか?
 
知的障害のある人が、地域で、障害のない人と同じように、
自由で、豊かな暮らしが送れるようになることを
応援できるような本の出版を目指しています。
というのは、10万人近くの知的障害のある人が、
入所施設で暮らしているという現実があるからです。
 
Q④「Sプランニング」では、
「LLブック」という新しい形態の本を出していると
いうことですが、どんなきっかけで出来た本ですか?
 
1995年に、フィンランドのオーランド島というところで、
知的障害のある人のための4年に1度の大会「北欧会議」と
いうのがありました。
そこに日本からも知的障害のある本人の方を含め
25人が参加しました。その北欧会議には、
スウェーデンからも参加されていて、
その会場に知的障害のある人向けの、わかりやすい本が
たくさん展示されていたんです。
そのとき私は、障害のある子をもつ親の団体で働いていて、
親向けの機関誌の編集などをしていたのですが、
知的障害のある本人向けの本がある、
ということでびっくりしたわけです。
そこで、それらの本を発行している「LL財団」の人に
話を伺ったりして、また、そこで展示してあった本を
たくさんもらって帰ってきました。
その数年前、1993年くらいだったと思いますが、
日本でも知的障害のある人の本人活動が少しずつ盛んになり、
障害のある人に対する情報提供の大切さが、
関係者の中でも意識されるようになってきました。
そこで、日本でも、同じように知的障害のある人向けの
本を出そう、ということで、初めて親の会でつくったのが、
「ひとりだちするあなたへ」という本でした。
それ以降、毎年1冊ずつ、本人向けの本を発行し、
親の会では15冊~16冊の本を発行しました。
また、スウェーデンのLL財団の活動にならって、
日本の親の会でも、「ステージ」という
本人向けの新聞も発行するようになりました。
そうした仕事をしていたのですが、10ほど前ですが、
私が50歳になったのを契機にその会を退職し、
自分でSプランニングという出版社をつくったわけです。
現在まで、4冊のLLブックを発行しています。
 
Q⑤「LLブック」の具体的仕様を教えて下さい。
どんな点が優れているのですか?
 
読者の対象が主に知的障害のある人なので、
難しいことばの表現などは使わず、イラストや写真を
多く取り入れて、わかりやすく内容を伝えるということを
心がけました。「わかりやすい」といっても、
子ども向けの本ではありません。
あくまで、大人向けの本です。福祉系の本は、
それまで、レイアウトなどにも凝ったものは少なく、
とかく、ダサい本が多かったのですが、
持ち歩いていてもオシャレな本、を目指していました。
といっても、そこがなかなか、むずかしいです。
 
スウェーデンのLLブックは、とてもたくさんの、
いろんな種類の本が出版されていました。
日本では、出版できる点数も限られていたので、
内容の優先順位から言って、
とにかく教育的なものしか出版できませんでした。
 
Q⑥現在、「「LLブック」は、どんな種類がありますか?
いくつかご紹介ください。
 
Sプランニングの発行ということに限らなければ、
これまで出版されたLLブックの内容は、
制度の解説、健康について、
料理、性、
障害の自己認識、などなど。

こわいこともあるけれど.jpg
 
グループホームで暮らす.jpg
 
病院へ行こう.jpg
 
らクック.jpg
 
Q⑦「LLブック」を作るうえで苦労したポイントは何ですか?
苦労話などのエピソードなどあればご紹介ください。
 
つくるうえ、というより、
なかなか販売につながらないという苦労があります。
スウェーデンのLL財団の本は、政府の補助金によって
つくられていました。日本でも、景気がよかった時期は、
助成団体が、年1冊程度が出版できるほどの
お金の補助が出ていたのですが、
景気がわるくなってくると、それも削られてしましました。
 
知的障害のある人は、本を買うという習慣もあまりなく、
また、経済的に厳しい人が多いため生活に余裕がない方が
ほとんどです。なので、うちのような民間の零細な会社が
LLブックを出版したとしても、売れなければ、
いずれ行き詰ってしまいます。
LLブックの必要性はあるのでしょうが、
売れないので、なかなか発行自体ができません。
 
スウェーデンの「LL財団」には、多くの職員がいて、
国も本を出版する予算をつけてくれています。
日本のように、教育的な本ばかりではなく、
余暇の本や娯楽的なものまで、幅広い内容のものが
出されていて、最初に聞いた時にも
年間50点近くもの本を出している、と言っていました。
 
Q⑧「LLブック」はどうやったら手に入りますか?
 
Sプランニングの本は、ホームページからお申込みいただけます。
「病院へいこう」
「グループホームで暮らす」
「こわいこともあるけれど」
「ら.クック」
 
Q⑨「Sプランニング」の歴史の中で
もっとも印象的な出来事は何ですか?
 
今回のように、新聞紙上でLLブックのことを
取り上げてくださったり、エフエム熊本で、
そのことについて取材いただいたり、ということは、
LLブックのことだけではなく、知的障害のある人の
おかれている現状を、少しでも多くの方に知って
いただけるきっかけになるので、とてもありがたく、
うれしい出来事です。こうした話題に反応して、
響いてくださる方が一人でも増えてくださることを願っています。
 
「Sプランニング」 オフィシャルサイト
 
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Global Beat ミサ・ミードさん

世界の話題をリアルタイムにお届けする「Global Beat」
今日は、一時帰国中のイギリスのミサ・ミードさんが
スタジオにお越くださいました。

150820 Global Beat ミサ・ミードさん.jpg

◆ミサ・ミードさん オフィシャルサイト
http://euphoniumisa.wix.com/euphoniumisa
 
◆ミサ・ミードさん オフィシャルBlog
http://yaplog.jp/euphoniumisa/
 
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8月19日(水)の魔法のことば

今日はラジオネーム : レイコーさんが出会った、
植村直己の魔法のことば。

「私は意思が弱い。
その弱さを克服するには、
自分を引き下がれない状況に追い込むことだ。」

「蒸しナスの特製ピリ辛ゴマソース」

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「やさしいごはん」
おいしい食べ物は人を元気にします。
おいしいものをおいしい季節に食べたいですね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
このコーナー『やさしいごはん』では、
毎回、季節にぴったりの食に関する話題をお届けしています。
 
毎月第3水曜日に登場するのは、
『中国りょうり亭 一里河来』船津直剛さんです。

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夏休み中なので今日はお子さんも一緒でした☆
 
Q① 船津さんの近況は?
 
お陰さまでお盆もご家族での集まり、
鉢盛りの注文等々、忙しく過ごせました。感謝です。
夏休みもあと少し、頑張ります。
子ども達とも時間があれば思い出作りしたいです。
 
Q② 今日のオススメの食材、(料理)を教えてください。
 
「蒸しナスの特製ピリ辛ゴマソース」 ~絶対ビールに!!~
 
◆材料 (4人分)
ナス 2本
 
●ソースの材料 (多めに作ります)
砂糖 大さじ3
酢 大さじ1
醤油 大さじ8
生姜のみじん切り 大さじ1
ニンニクのみじん切り 少々
ねりごま 大さじ5
ごま油 大さじ2
ラー油 大さじ2
豆板醤 少々
 
◆作り方
 
① ソースの材料をすべて混ぜ合わせる。

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② ナスは皮をむいて細長く切り、蒸し器で7分~8分蒸す。

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③ ②が冷めたら器に盛り、①のソースをかける。

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※簡単だけど、想像以上の美味しさで、おつまみになります。
 
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8月18日(火)の魔法のことば

今日はラジオネーム : ミニーさんが出会った、
ドリー・パートンの魔法のことば。

「虹を見たければ、雨を我慢しなければいけない。」

「アリエル王子と監視人」 稲葉雄介 監督

毎週、わたくし松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています
「キネマのススメ」。
今日ご紹介するのは、8月22日(土)Denkikanで公開となる
「アリエル王子と監視人」です。
全編が熊本でロケされた、日本とタイの合作映画という
とても新鮮なアプローチの作品です。
今日は、キャンペーンのため熊本にいらっしゃった
稲葉雄介監督をスタジオにお招きしました。

IMG_0619.JPG
 
プロフィール:
1986年生まれ。神奈川県出身。東京造形大学卒。
在学中は映画監督の諏訪敦彦氏に師事。
初監督作『君とママとカウボーイ』(2010)は
シネマデジタルソウル国際映画祭など、国内外の映画祭で上映され、
アピチャッポン•ウィーラセタクン監督などから高い評価を受けている。
ドキュメンタリー映画『ちいさな、あかり』
(2013、大野隆介監督)では撮影・助監督を担当した。
俳優として、ロカルノ国際映画祭に出品された
「息を殺して」(2014、五十嵐耕平監督)などに出演している。
 
 
Q 映画「アリエル王子と監視人」についての基本情報を教えて下さい。
 
監督:稲葉雄介
出演:チャーノン・リクンスラガーン、伊澤恵美子、忍成修吾、
セリーナ・ウィスマン/石田えり/北本祟人、榎木智一、
大西礼芳/篠井英介
 
オフィシャルサイト
http://handintheglove.jp/
 
Q 映画「アリエル王子と監視人」について
簡単なストーリーを紹介してください。
 
この映画の主人公は
お忍びで休暇を過ごすため日本にやってきた王子です。
日々、王位継承者というプレッシャーと戦っている彼は、
この休暇にかこつけて『自由』を体験したいと思っています。
彼は街中で地元の一般女性リサと出会い、
彼女の案内のもと3日間の休暇を過ごすことになります。
しかしリサは王子とは逆に、
自由を持て余し日常に流されている女性でした。
 
Q 「アリエル王子と監視人」を熊本で全編ロケすることに
なったのは、なぜですか?
映画化の「きっかけ」のようなものがあればお願いします。
 
熊本で撮影させていただきたいと思ったきっかけは
いろいろとあるのですが、ひとつは景観です。
例えばチラシにも使っている通町筋。
普通日本の都市は駅を中心に形成されていますが、
熊本の場合お城が中心ですね。フォトジェニックですし、
王子が主人公の映画を作る上でも、
この配置はとても面白いと思いました。
あとは人です。ずっと熊本に住んでいらっしゃる方は
ピンとこないかもしれませんが、
熊本には文化的感度の高い方が多いと感じました。
街を歩いていても、オシャレな人をよく見かけます。
なるべくかっこいい人たちと映画を作りたいと思っていたのです。
それは映画の空気感に色濃く反映されます。
 
Q 映画「アリエル王子と監視人」には、
熊本のどんな場所が登場していますか?
その場所を選んだ理由などあればお願いします。
 
市の動植物園で撮影をさせていただきました。
特に好きなロケーションの一つです。景色が開けていて
のどかなムードなのが良いですね。それでいて動物園というのは、
動物たちが野生にいるときほど自由に動くことの出来ない場所です。
その不思議なギャップが魅力的だと感じました。
主人公のアリエル王子はいつも笑顔でいるのですが、
王位継承者という立場上、自由の許されない存在です。
そんな彼の在り方とのどかな動物園という場所とは
呼応しているように感じました。
あと、登場人物の感情が動くシーンでは、
市電の床が木製の車両を使わせていただきました。
人工物では描けない繊細さがシーンに加わったと思います。
 
Q 映画「アリエル王子と監視人」は、登場する俳優さんが
皆、魅力的です。主要なキャストについてご紹介ください。
 
主演のノンとはタイ・バンコクのオーディションで出会いました。
彼の笑顔はとてもチャーミングで上品で、あと言葉は悪いのですが、
軽薄に感じられました。なんだかよくわからないままに、
その軽薄さに惹き付けられて、"何か深刻なことを覆い隠す為に
笑顔で軽さを装っている人物"をイメージしました。
そしてそのイメージは、現代社会を生きている自分自身の気分と
やけにマッチしました。
恐らくそれがこの作品の初期衝動だったのではないかと思います。
もう一人の主演、伊澤恵美子さんとは今回の企画が始まる前から
知り合いで、とても真面目な方という印象をもっていました。
その極端なまでの実直さによって、
リサという人物はとても個性的に立ち上がったと感じています。
 
Q 映画「アリエル王子と監視人」の撮影は昨年行われたそうですが、
撮影時のエピソードなどあればお願いします。
 
今回はカメラ周りのクルー(撮影部)に全員タイ人を起用しました。
彼らの映画作りにかける想いを強く感じた出来事がありました。
下通りの人混みの中で撮影していた時、主演のノンの演技をみて
私はOKを出しました。しかし撮影助手は、画面の隅に映り込んだ人影が
どうしても気に入らないと言い、もうワンテイク要求してきました。
ついにはモニターの前に座り込み、動かなくなってしまいました。
その時は少々対立しましたが、あとから考えれば、
監督としてこんなに幸せなことはないですね。
映画スタッフの中には
「監督がいいならいいんじゃない?」という人も多いので。
 
Q これまでの活動の中で、最も印象深いエピソードをお願いします。
 
初めて作った自主制作の長編映画が、韓国の映画祭で
上映された時のことが印象に残っています。
その映画は大学卒業時に制作したもので、
もちろん人に観ていただくことを想定して作りましたが、
自分の興味だけを追求し過ぎたような気がしていました。
自分や周辺の仲間以外の世界と繋がっていける映画なのかどうか、
不安に感じていました。しかし映画の上映後、面白いと言っ
てくださった方がいたのです。
自分は人と違っていないという実感を得ましたし、
自分が映画を作る時に考えていることや感じることを
ある程度信じられるようになりました。
 
Q 監督は、これからどんな映画を撮りたいですか?
今後の夢、目標などあればお願いします。
 
夢や目標という言葉で未来を考えることはあまりしないのですが、
これからのことで言えば、ひとつ撮りたくて自分の中で
大切にしている企画があります。
今はそれを、肩の力を抜いて楽に育てていきたいです。
また熊本で映画が撮れるのならぜひ撮りたいです。
今回の『アリエル…』は観光者の王子が主人公だったので、
熊本の観光地や中心の市街地が主な舞台になっていますが、
実は準備期間中にそれとは違う熊本の顔もたくさん見ています。
もし再び熊本で撮るのなら、
今回とは違う熊本を取り入れた映画が良いですね。
 
Q 最後に熊本の映画ファンにメッセージをお願いします。
 
見慣れた風景、
そしてそこから少し浮いて存在しているかのような王子。
熊本の皆さんにとって、『アリエル…』はそんな映画に
なっているのではないかと思います。
私は神奈川県横浜市の出身ですが、鑑賞者の側に
まわった時、自分の生活圏で撮影された映画は
やはり他とは見方が変わってきます。
画面に映っているものとの距離は、その映画の感じ方に
とても大きく作用します。
だから横浜で撮影されているが故に
思い入れの強い作品もあれば、
残念に感じてしまう作品もあります。
熊本の皆さんにとって、『アリエル…』が、
熊本で撮影されているが故に特別な作品となれば
とても嬉しいです。
どうか熊本に住んでいる皆さん独特の見方で、
この映画を楽しんで下さい。
 
この映画「アリエル王子と監視人」は、
Denkikan
で、今度の土曜日8月22日(土)公開です。
 
当日は、舞台挨拶も予定されています。
詳しい情報は、Denkikan
電話096-352-2121まで、
お問い合わせください。
 
以上、キネマのススメでした。
 
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8月17日(月)の魔法のことば

今日はラジオネーム : よっしーさんが出会った、
ピタゴラスの魔法のことば。

「万事に先立ち、汝自身を尊敬せよ」

「NPO法人HITOプロジェクト」

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする
「ヒューマン・ラボ」。
NPO法人HITOプロジェクト前原栄輔さんがゲストです。
子どもたちを対象としたロボット・プログラミング教室について
詳しく伺いました。

IMG_0597.JPG
 
◆前原さんのプロフィールを教えて下さい。
 
1984年生まれ。中学校卒業後、
熊本県立小川工業高等学校情報電子科へ進学。
まだ小中学校ではPCを使った授業がほとんど行われて
いなかった時期に、高校で初めてPCアプリケーションの
扱い方やコンピュータの基礎的な知識、
教育用言語を用いたプログラミング実習等を通して
情報技術関連を学ぶ。その後、工業系短大に進学するが中退。
2011年よりHITOプロジェクトの事務局として活動している。
幼少・少年のころにコンピューターゲームの普及が
進んでいったこともあり、小さな画面を通した仮想空間で
1つの世界や物語が作られるという不思議さと面白さを感じた。
それが高じてコンピュータやプログラミングに
興味を持ったことが工業系へ進学し、
プログラミングを学び、後に子どもたちに
教えていくきかっけとなった。
 
◆昨年に引き続いてのご出演となりますが、
改めて「NPO法人HITOプロジェクト」の概要を教えて下さい。
 
平成19年3月16日に熊本県知事認証を受け、
3月27日設立しました。設立当時は青少年の
理科・科学離れが進み、工業系への進学が
減少傾向にあったので、自己実現プログラムを通して、
青少年に論理的に物事を考える力と問題解決能力を涵養し、
将来さまざまな分野で活躍できる人材育成を行う目的で
設立いたしました。
現在は小中学生を対象に、ロボット教材を使った
ロボット・プログラミング教室や競技会を実施しています。
このような「モノづくり」体験を、高等教育機関に
進学を決める時期よりもっと前の段階で体験できる場を提供し、
工学分野への興味関心を引かせるとともに達成感を得て
楽しく学べることを目的に実施しています。
 
 
◆前原さんはロボット・プログラミング体験教室で
子どもたちに指導されているということですが、
概要を教えて下さい。
 
現在のロボット・プログラミング体験教室では、
小学4年生~中学生を対象にしています。
ロボットの組立てには立体的にモノを見る力が、
プログラミングにはモーターを細かく調整するのに
小数を使うことや、センサーを使うときに光の反射や
状況によって判断して処理を変えることを
理解する必要があるので、小学4年生以上になると
比較的理解しやすくなります。
短期の体験教室は1回の単発講座から2~4回程度の
連続講座を行っており、1回あたりは
2時間~4時間程でその教室の到達目標によって
回数や時間を変えています。
ロボット教材はLEGO社の「マインドストーム」を
使用しており、ロボットを動かすための
専用プログラミングソフトは第一世代から最新版まで
その時に用意できる環境によって使い分けています。
男女比はまだまだ8~9割が男子ですが、
少数ながら女子も参加しています。
女子の参加者も歓迎していますので、
男子ならでは女子ならではの感覚でつくっていき、
互いに刺激があるような教室にしていきたいと思っています。
実施内容は、部品からサンプルロボットの
組み立てから始め、次に簡単な命令を組み合わせながら
プログラミングソフトの操作方法を覚えます。
モーターを回す方向や強さ、量などのパラメーターを
設定するというロボットを動かす一番基本的なことを
行いながら、まずは動かすことを楽しみます。
その命令を組み合わせて数手順連続でロボットを
動かしたり、2日目以降にはタッチセンサーや
光センサーを使って、外の状態をロボットに入力して
判断するプログラムなどを行います。
課題のコースを用意して、学んだことを活かして
チャレンジします。
全10回で行っている連続講座では、もっと1つ1つを
じっくり学んでいき、くり返し処理と分岐処理という
プログラミング構造や、よく使う部分をまとめる
モジュール化についても学びます。
もっと先に進んで大会出場を目指すレベルになると、
変数を使ってデータを格納したり、
そのデータで単純な計算を行うなどや、
中学生では複数のセンサーを扱って少し複雑な
状況判断をしたり真偽というロジックを扱う
プログラミングを学び、競技コースにチャレンジします。
 
◆使用している教材について、詳しく教えて下さい。
 
名前からも分かる通り、子どもたちにもなじみ深い
「LEGO」のロボット教材です。

IMG_0598.JPG
 
教材としてLEGO社の教育部門がマサチューセッツ工科大学と
共同開発し、1998年に第一世代が発売されました。
現在は第三世代が登場しています。
パーツはLEGOを使用するので、組み合わせは無限大であり、
タイヤやクローラーを付けた走行体から動物を模したもの、
人型など様々なものを組み立てることができます。
この教材の特徴はモーターやセンサーを搭載することで、
プログラミングによりモーターを動作させて
ロボットを動かすことができ、センサーから
周囲の状況を入力することで、複雑な制御をさせることが
できるようになっています。
プログラミングはPCを使って行います。
ビジュアルプログラミングという目で見て
分かりやすいようアイコン(命令)をマウス操作で
並べてプログラミングしていきます。
思った通りに動かすにはその順番通りにプログラムを
組む必要がありますが、専門知識等がなくても
楽しみながらロボットを動かして学ぶことができます。
 
◆自分でプログラミングしてロボットが動くというのは、
とても楽しいと思いますが、
教室に通う子どもたちの反応はいかがですか?
 
子どもたちは段階によって違う反応を見せます。
初めて体験した際は「自らが作ったものを自らで動かす」ことに
対する喜びや驚きといった楽しさを感じ、
少し学んでいくと今度は思った通りに動かないもどかしさや
難しさ、簡単にはイメージ通りに作れないという
奥深さなどを理解します。
そしてその先には設定した課題をロボットや
プログラミングという「ツール」を使ってどのように
解決していくかを真剣に考えて試行錯誤し、
一つの作品を作り上げる努力をし、
できたときの達成感を味わうなど「ものづくり」への
学びにつながっていきます。
初めは自分で動かせたことの喜び、次に思い通りに
いかないもどかしさ、更に進むと学びの姿勢と
達成感という段階によって違う表情を見せてくれます。
そして大会へ参加して成果物を見てもらい、
本番で成功したり入賞したりすると、
子どもたちの自信にもつながっていきます。
 
◆最近、都市圏ではプログラミング教室に
通う子どもが増えているとの報道もありましたが、
熊本ではいかがでしょうか?
昨年までとの違いなど、実感はありますか?
 
急激な変化はまだ感じていませんが、
これから変わってくるという感じがします。
昨年から習いごととしてのものづくりやプログラミング教室が
出てきていますが、私どもの教室も含め九州にも元々あったので、
急なブームという感じはまだありません。
ただ、学習塾や教材を扱う企業が教室展開に
乗り出していることや、以前は中学生がメインだった
参加希望者が年々低年齢化してきたので、
これから変化していく下地ができてきているのでは
ないかと思います。
初めは子どもたちの興味や楽しそうだからということで
参加される場合が多いので、ただ作る・遊ぶというだけでなく、
プログラミング教育についての理解を得られるかにも
関わってくると思います。
 
◆生徒さんたちが教室に通い始めたきっかけや
動機はどんなものでしょうか?
 
初めは楽しいからとか、ロボットやプログラミングに
興味があったり、保護者の方が子どもに
工学系の体験もさせておきたいという理由も多いですが、
大会に参加して成功体験を積んだことで自信につながったり、
反対に失敗したり負けたことの悔しさが学ぶ動機に
なっている場合もある一方で、まだ残念ながら
プログラミング教育の学習面から参加を希望されることは
多くありません。
また、継続して参加される場合は、ほぼ子どもだけでなく
保護者の方も参加することを希望されています。
子どもだけで通えない距離に住んでいたり、
費用がかかることなど保護者の理解とサポートが必要になるからです。
保護者の方は子どもたちに「好きな分野を伸ばしてほしい」、
「試行錯誤することやチームワークで取り組むことの
大事さを知ってほしい」、
「この時は集中して取り組んでいるので集中力を付けたい」、
「進学の選択肢として工学分野も体験して
自分に合うものを見つけてほしい」など様々なことを
期待されています。
 
◆前原さんが思うロボット・プログラミング教室の
面白さはどんなところでしょうか?
また指導する上で大事にしていることはどんな点でしょうか?
 
面白さはやはり「自分でつくったものを自分で動かす」ことにあります。
「つくる」だけでも「動かす」だけでもなく両方が
掛け算になることで、アイデアが広がることも面白さです。
また、ロボット・プログラミングは、
プログラムがロボットを介して現実世界で動くので、
目で見て分かりやすいため、プログラミングを
理解しやすくなると言われています。
実際に動かしたら様々な要因があってイメージと
ズレが生じるので、その原因と対策を考えることで
問題を解決する力を養います。
実際にそこにあって目に見えて動くものだからこそ、
解決したときの達成感も大きいのではないかと思います。
それだけでなく、センサーなどを扱いながら
身の回りのことと関連付けて考えることで、
何気ない普段の生活から好奇心を刺激したり、
実際に身近にどんなものがあるのかを知るきっかけにも
なってほしいと思っています。
指導に関しては、子どもたちがどれだけ気づきを
得るかを大事にしています。
子どもたちは大会にも出場しますが、勝つための指導と
子どもたちの成長のための指導は必ずしも
同じではないのも気を使うポイントです。
子どもたちが自ら考え、自発的に取り組んでどんどん
チャレンジし、新たな気付きを得ていけるように
なることが目標です。そのための物事の取り組み方を
学んでほしいと思っています。
 
◆8月23日(日)に「WROJapna2015熊本大会」という
イベントが開催されるそうですが、概要を教えて下さい。
 
子どもたちがロボットの制御技術を競う大会
「WROJapan2015熊本大会」を
8月23日(日)に熊本大学工学部キャンパス共用棟
黒髪1で開催します。13時15分開会予定です。
このWROは「WorldRobotOlympiad」と
いう名前の通り、世界約50カ国の子どもたちが参加する
国際ロボットコンテストです。
2004年にシンガポール国立サイエンスセンターの
発案で始まりました。
今度の熊本大会は2015年の熊本地区予選会で、
小中学生部門の競技を行います。選抜されたチームは、
9月に開催される日本国内決勝大会で
各予選会34カ所から勝ち上がってきたチームと競い、
国際大会への選抜を目指します。
競技にはロボット教材「マインドストーム」を使用し、
参加者が制作したロボット(縦横高さ250mm以内)に
あらかじめ制作し組み込んだプログラムで制御し、
障害物等が設置されたコースを走行して
様々なミッションをクリアしながら得たポイントや
時間で順位を決めます。
熊本では2008年から県内の未来を支える小中学生に、
理科離れ阻止とロボット制御や情報工学など
「ものづくり」に対する学ぶ意欲を引き出すこと、
創造力や論理的思考、問題解決能力の涵養に
資することを目的として、熊本大学工学部、
東海大学熊本キャンパスとの民学連携で開催してきました。
なお、大会は来場・観覧自由です。
どうぞご来場いただき、小中学生の競技をご覧ください。
 
◆最後にPRをお願いします。
 
前述のロボット大会「WRO」では、
決勝大会で2013年には小学生チームが審査員特別賞、
2014年には小学生チームが自チームの
ロボットやプログラムを審査員にアピールする
プレゼンにて最優秀賞を受賞するなど、少しずつ
熊本の子どもたちが全国で活躍できるようになってきました。
ただ、まだ残念ながら競技での入賞、国際大会への
選抜チームが出ていないので、今後は国際舞台で
チャレンジできる子どもたちの育成を目指して活動していきます。
ロボット競技やプログラミングを見ても
「ウチの子どもには難しい、できないだろう」と
遠慮している方々もいらっしゃいますが、現在活躍
している人も初めはみんなと同じゼロからのスタートです。
「楽しそうだからやってみたい」という方も
「頭を動かすことが好き」、
「夢中になれるものを見つけたい」、
「活躍できる場がほしい」という方もまずは
どうぞご体験ください。
楽しむことから初めていただければ嬉しいです。
そして、「夢中になれそう」、
「ロボット・プログラミングがあってる」など感じたら
全国を、更には世界を目指してチャレンジすることができます。
可能性を秘めた子どもたちが、未来で輝く
クリエイティブな人材になるための第一歩になるかもしれません。
体験教室や大会等の情報はHITOプロジェクトホームページや
Facebookページで発信していきます。
こちらをチェックいただければ幸いです。
これからの熊本の未来を担っていく
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
 
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
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8月13日(木)の魔法のことば

今日はラジオネーム : ますじさんが出会った、
樫尾忠雄の魔法のことば。

「世の中というものは努力した者が報われるのである。」

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