「やさしいごはん」
おいしい食べ物は人を元気にします。
おいしいものをおいしい季節に食べたいですね。
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今日は、大晦日に欠かせない食べ物「蕎麦」について、
(社)日本麺類業団体連合会の会長で、
(社)日本蕎麦協会の副会長としてもご活躍中の
鵜飼良平さんにお話をうかがいました。
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蕎麦という食べ物の歴史について教えてください。
歴史をたどりますと、蕎麦は日本では縄文時代から各地にありました。
栽培されるようになった記録、文献として古いのは、奈良時代、
722年に当時の元正天皇が農民に栽培を勧めたことが
「続日本紀」に記されています。
蕎麦にはいろいろな食べ方がありますが、
麺として一般の方々まで広く普及したのは、
江戸時代の初め頃といわれています。
日本人は、何故大晦日に蕎麦を食べるようになったんでしょう?
これには色々な説があります。
一つには、お蕎麦のように細く長く生きる。
二つには、金銀の細工職人さんが、散らばった金粉を集めるときに、
蕎麦粉を団子にしてこれに吸い取らせたことから、
財産が集まる、縁起が良くなる。
三つには、お蕎麦が切れすいことから、
今年1年間の苦労や嫌なことをきれにさっぱり切り捨てる。
この他にも様々な由縁があるかもしれませんね。
九州の博多では、鎌倉時代に承天寺というお寺さんで、
大晦日に「世直し蕎麦」が町民に振る舞われたということです。
今では国民の7~8割の方が、年越し蕎麦を食べるようになりました。
蕎麦にはどんな成分が含まれているのでしょう?
今、話題になっている生活習慣病、メタボリックシンドロームの対策として、
健康に良い食事が大切だといわれています。
その点、お蕎麦は健康食品でございます。
ビタミンB1やミネラルの亜鉛などがお米や小麦よりも沢山含まれています。
タンパク質も卵に近い良質なものです。
食物繊維も多いですよ。
また、他の穀物には無い「ルチン」というポリフェノールの一種が含まれています。
「ルチン」には、血液の流れを良くする効果や、
抗酸化機能があるといわれています。
大晦日やお正月にはお節料理などが続いてお腹も疲れがちですが、
お蕎麦は健康食品ですし、消化しやすいことから、
お腹にもやさしいと思います。
このコーナーのテーマとなっている、
「おいしくて、人を元気にしてくれる」食べ物が、お蕎麦です。
全国各地の特色のある蕎麦などあれば教えてください。
東京では江戸時代に完成されて今も代表的な「江戸蕎麦」。
蕎麦粉が8割、麺のつなぎとして入れる小麦粉が2割。
これで味と喉越しの良さを、両立させます。
地方ですと、「田舎蕎麦」が各地にあります。
蕎麦の皮も粉に挽いているために、色がやや黒っぽいのですが、
甘みと香りが強くなります。「出雲蕎麦」などが、田舎蕎麦です。
変わったところでは、雪国の新潟県魚沼地方で、
つなぎの小麦粉の代わりとして、海藻を使った「へぎ蕎麦」があります。
この他にも、「水蕎麦」(福島県会津地方)、「わんこ蕎麦」(岩手県)、
「出石皿蕎麦」(兵庫県但馬地方)などがあります。
熊本ではいかがでしょうか?
年越し蕎麦で、熊本の皆さん、どうぞ良い年をお迎え下さい。