毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
今日ご紹介するのは、現在公開中の「ブルージャスミン」です。
この映画は、アメリカ映画の巨匠、ウディ・アレンの監督最新作。
主演をつとめたケイト・ブランシェットが、第86回アカデミー賞で
主演女優賞を獲得しています。
受賞のスピーチで「女性を主役した映画はヒットしないと
考えてる古い映画人が多いけど、そんなことありません。
観客はそういう作品を求めいています。」と
かっこいい発言をして、絶賛の拍手を浴びました。
2004年「アビエーター」で助演女優賞を受賞したケイトは、
今回で念願の主演女優賞を受賞。
女優として大輪の花を咲かせたと言えそうです。
このところ、ヨーロッパを舞台に、恋愛コメディを
中心に作ってきたウディ・アレンですが、
この作品は、アメリカが舞台。
ニューヨークとサンフランシスコという二つの都市を舞台に、
様々な人間模様を描いています。
さてそのストーリーですが・・・、
主人公は、ニューヨークで大富豪の夫と共に、
贅沢な暮らしを送っていたジャスミン。
しかし、セレブと思っていた夫は、実は、ねずみ講まがいの
イカサマビジナスで金を稼いでたことが判明し、
警察に捕まってしまいます。
ゴージャスな生活から一転して、無一文となったジャスミンは、
サンフランシスコに暮らす妹の家に転がり込みます。
しかし、境遇も考え方も全く違う妹とは、そりが合うはずもありません。
過去の栄光が忘れられないジャスミンは、
なんとかセレブな生活を取り戻そうとするのですが・・・。
この映画の見どころは、何といっても
オスカーを獲ったケイト・ブランシェットの演技です!
ケイト・ブランシェットといえば、
「エリザベス」や「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの
高貴な女王様イメージが強いですが、
この映画では、セレブとしてこの世の春を謳歌する
ニューヨーク・パートとセレブから転落して地味な生活を
強いられるサンフランシスコ・パートが交互に描かれてゆきます。
時間軸が、いったり来たりすることで、ジャスミンの人間性が
浮き彫りになる仕掛けになっていて、
さすがウディ・アレンと思わせる構成です・
セレブから転落して、仕事を探さないといけないのに、
カッコいい仕事しかしたくない、でもパソコンが使えないから、
まずパソコンスクールに通う・・・。
勉強しなければいけないのに、
セレブ生活を夢想してしまうジャスミン。
かなり回りくどくドタバタするそんなイタイ女性を、
ケイトが見事に体現しています。
全てを失ったのにその現実を直視できず、
一流ブランドを身にまとい続け、精神を病んでいく
ジャスミンの姿は、痛々しいけれど滑稽でもあるし、
共感できないけれどなんとなく気になるキャラクター。
ウディ・アレンは、女性を撮らせたらピカイチ!と
言われる監督で、これまで彼の作品に出演して
演技賞を受賞した女優がたくさんいます。
今回も、まさにそんな1本で、ケイト・ブランシェットの
美しさとセレブぶりの奥様からまったく反対のイタイ女性に
変貌してゆくという振り幅の大きな役をやらせることで、
女優としての力量をたっぷり発揮させる映画になっています。
実は、このジャスミンのキャラクターにはモデルがいるそうです。
2008年に4兆円を超える巨大詐欺事件で逮捕され、
「禁固150年」という途方もない判決をうけたバーニー・メイドフ。
裁判では、「自分は関係ない。まったく知らなかった」と
無実を訴え続けた妻・ルース・メイドフがその人。
全米が注目したこの事件をヒントに、
アメリカで古典となっている戯曲「欲望という名の電車」と
ミックスさせて映画化したのがこの「ブルージャスミン」という訳です。
実話をモデルにしているだけあって、シャネルに身をつつんで、
シャンパンを飲みながら、プライベートジェットを買う話をする・・・・
みたいな超リッチなセレブ生活も、
かなり丁寧に描いてあって見せ場になっています。
アメリカの大金持ちの隠された生活を覗き見る
野次馬的な面白さも、たっぷり用意されていますので、
ゴージャスな映画が見たい人にもおすすめの1本です。
そんなゴージャスな気分を観客にも味わってもらおうという
イベントが企画されています。5月16日(金)、
今週の金曜日です。
シネマ&ティーパーティ「ブルージャスミン」。
ジャスミン・ティーを飲みながら、アロマライセンスカレッジの
学院長・首藤美重子(しゅとう・みえこ)さんのトークショーを
楽しんで、その後に映画「ブルージャスミン」を観ようと
いうスペシャルなイベントです。
場所は、中央区新市街のDenkikanで5月16日
金曜午後7時開場、7時半開演です。
入場料金は、事前予約で1500円。
当日は1800円です。60人限定となっています。
あなたもジャスミンの気分が味わえるかもしれませんよ。
詳しくは、Denkikanまでお問い合わせください。
電話096-352-2121です。
ウディ・アレンが監督した映画は、
何度見ても発見がある深みがある作品なので、
イベントに参加した後に、友達やカップルで一緒に
観てみるのもいいかもしれません。
今日ご紹介した映画「ブルージャスミン」は、
■Denkikan
で、現在公開中です。
「ブルージャスミン」オフィシャルサイト
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