今日は、津奈木町の「つなぎ美術館」の”森の家”について、
学芸員の楠本智郎さんにお越し頂き、お話を伺いました。
つなぎ美術館の概要、歴史を教えてください。
津奈木町は昭和59年から「緑と彫刻のあるまちづくり」に取り組んでいて、
町内の要所には15体の野外彫刻が設置されています。
その集大成として平成13年4月に開館したのがつなぎ美術館です。
熊本の近現代美術において指導的役割を果たした
第二次海老原美術研究所(1957~66)の所長を務めた
境野一之(1900~89)を中心に
熊本ゆかりの作家の作品やタイ山岳民族の衣装など
450点を収蔵しています。毎年、企画展を開催するほか、
昨年度からは住民参画型現代美術プロジェクトにも取り組むなど、
地域に根ざした美術館を目指して活動しています。
現在、行われている住民参加型現代美術プロジェクト
「TSUNAGI光と風の回廊」について、プロジェクトの概要を教えてください。
津奈木町を取り囲む山々に降り注ぐ光とそこを吹き抜ける風をテーマに、
地域おこし団体、婦人会、森林組合など地域を拠点に活動する団体の
所属メンバー10人による実行委員会が一般参加者を交えながら
和水町在住の現代美術家・上妻利弘さんとの協働により地域資源を用いて
アートを体感するプロジェクトです。
日常生活に潜むアートの素材を見つけ、
美術という表現活動を通じて古里の良さを再発見してもらい、
地域の活性化につなげるのが目的です。
5月の初めには《森の家》を制作し、現在は《風の彫刻》を制作中です。
その「森の家」という作品について具体的に教えてください。
美術館背後の山中で周囲の雑木をドーム型に組み上げてつくったもので、
時間の経過により周囲の環境とともに表情を変え、
やがては土へと返っていきます。
また、《森の家》の横には上妻利弘氏が長年取り組んできている
「生命」をテーマにした木彫も設置され、
鑑賞者が自然環境についてさまざまな思いをめぐらせることができる
作品となっています。
今後行われる「TSUNAGI光と風の回廊」について教えてください。
現在進行中の《風の彫刻》の制作は8月頃まで続きます。
現在は6月20日と21日に行われる《風の彫刻》共同制作の
参加者(小学生以上)を募集中です。
このほか、クリスマスツリーをテーマにした共同制作も予定しています。
9月にはフランス人の造形作家アンヌ=マリー・デネス=フルモンさんが来日し、
ワークショップなどを通じて住民と交流を図りながら
上妻さんと二人展を開催します。
また、夏休みには佐賀県在住の造形作家の角孝政さんによる
津奈木町の山中に棲む空想上の怪獣をつくるワークショップも開催します。
今後、「つなぎ美術館」で予定されている展示などあれば、教えてください。
7月20日まで「田代晃三展」を開催しています。
その後は、収蔵品の中から熊本の現代美術作家の作品を紹介する
展覧会や「TSUNAGI光と風の回廊」の二人展などを予定しています。
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つなぎ美術館
電話 0966-61-2222
営業時間 午前10:00~午後5:00(入館は4:30まで)
(休館日)毎週水曜(水曜日が祝日の場合はその翌日)
津奈木町のHP ⇒ http://portal.kumamoto-net.ne.jp/town_tsunagi/