あらゆるジャンルの注目の人にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
「熊本・九州の輝いていたバス達」という本を出版された
中村弘之さんがゲストです。
中村さん、実は鉄道愛好クラブ「有明会」の会長さんとして去年出演していただきました。
実はバスも大好きということで、「日本バス友の会」会員でもいらっしゃいます。
9月20日の「バスの日」(日本で最初にバスが走った日を記念する記念日)を前に再び登場です。
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Q① まずは改めて、いつ頃から乗り物、中でも鉄道、
さらにはバスのファンになられたのでしょうか?
鉄道やバスに興味を持ったのは長崎に住んでいた3歳児のころから。
路面電車やバスを眺めるのが好きだった。
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Q② 他の乗り物と比較してバスはどんなところが魅力ですか?
自分の普段の暮らしのまわりで気軽に利用できる。
自分でハンドルを持つとよく見えない景色が高い位置で見えるし、
車内ではお客の表情、ドライバーの接客状況などが生で伝わってくるのがいい。
飛行機や高速の鉄道などでは味わえない人間的な魅力にあふれる。
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Q③ 今回本を出版された「ぽると出版」について簡単に教えて下さい。
乗り物専門の出版社のように見受けられますが、いかがでしょうか?
乗り物ファンには有名な出版社なのでしょうか?
ぽると出版とはバスラマインターナショナル」というバスの雑誌、
「ワーキングビークル」という働く車(主としてトラック)の雑誌を1か月おきに交互発刊。
年鑑という総集編も毎年発行する。
この種の雑誌が陥りがちな、あまりにもマニアックになるところを正面に出さず、
社会的なスタンスを常に持ち続けるところがいい。
最近では格安バスの抱える問題などに、関越道夜行バス重大事故の
発生以前から警鐘を鳴らしていた。
ぽるぷ出版オフィシャルサイト http://www.portepub.co.jp/
Q④ 今回本を出版されることになったきっかけを教えて下さい。
また出版までどれくらいの準備期間がありましたか?
20年来の知り合いである「バスラマ」編集長の和田由貴夫さんが、
私の昭和30年から40年半ばごろの写真を見て
「九州、特に熊本には地場のバスボディーメーカーが存在し、
九州以外の人間にとってはずいぶん珍しいもの揃い。
ぜひ全国の愛好家に紹介したい」と持ちかけられた。
3年ほど前の話。
少しずつ準備をし、編集作業を進めてもらっていたが、
昨年3月11日の東日本大震災で、救援や復興に活躍する
バス、トラックの取材で出版社の方が手が回らなくなり
出版作業は断状態になっていた。
1年ほど空白期間があったが、足かけ3年かけて、このほどやっと出版にこぎつけた。
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Q⑤ 本はどんな内容になっていますか?
昭和30年代から40年代にかけて、エンジンが前にあるボンネット型から
床下や後部に積んだ箱型バスに変わっていくが、
当時は未舗装の道路が各地で見られた。
そんなところを土埃を上げて走る姿、街中では今ではみられぬ
各家庭のコンクリート製ごみ収集箱、はためくかき氷の旗など、
当時の暮らしの一端がわかる写真、バックの建物などである程度、
時代を感じ取っていただけるよう配慮した。
特に熊本では地場としては比較的大きいバスメーカー
(松本ボディーや永田ボディー)が活躍していたし、
九州初のワンマンバス、東京五輪のころ、大量に廃車された
東京都営バスの中古車が熊本に第2の職場を求めて入ってきた。
半ば揶揄的に「東京新車」などとも呼ばれたが、排ガス規制で
関東や近畿地方で走れなくなったバスが地方に流れてくる
現在と重なるかのようにボンネットが箱型へ代替される時代が
あったことなども記録している。
人々の記憶から忘れられようとしている阿蘇火口周辺で運行された
マウントカーなども珍しいと思う。
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Q⑥ 暦の上では秋ということで、いい季節になってきました。
おすすめのバスの旅や車窓からの風景があれば教えて下さい。
各バス会社がツアーをいろいろ売り出していますから、
大がかりなのはそちらに任せ、少し視点を変えて私なりの
おすすめ路線を書いてみます。
鉄道と異なり、バス路線は狭い道をドライバーの巧みなハンドルさばきで
進むのこそ、お客にとってはぞくぞくさせられるという考えを常に抱いています。
そんな意味で、「ちょっと時間ができた。近場でバスに乗ってみるか」というような
際には交通センターから気軽に乗れる路線をご紹介。
「都市バスの島崎・荒尾橋線」
終点近くの林の中を進む車窓にいると、ここは熊本市内か、というような
静かな雰囲気が漂う。しかも、荒尾橋から市内に引き返す際に
一部の停留所の運賃が安くなるという不思議な現象も見られ、面白い。
「産交バスの池上・小島線」
谷尾崎の方へ寄り道するコースが面白い。
谷尾崎でのターンもドライバーさんの技術に感動する。
「電鉄バスの大鳥居・立石線」
住宅団地の中に温泉を名乗る停留場があったり、林の中を抜けたり、
センターから1時間弱の間にめまぐるしく風景が変わる。
「熊本バスの熊本ー砥用、矢部線」
砥用を過ぎ、緑川にかかる霊台橋が見えるあたりの風景。
そこからバスはどんどん坂を上り、矢部に向かう。
これは市内感覚ではないが、「旅をした」という感じになるかも。
熊本バスは1日乗車券が使えないのが難点だが。
海の景色なら
「産交の快速あまくさ」
静かな天草の海、特に五橋を渡りながら高い視点で眺めるのがいい。
県外まで考えると
「大分と熊本を結ぶ特急バスやまびこ」
とくに最終便などで大分から帰る際、阿蘇谷に点々と明かりが見える
風景などは個人的に気に入っている。
「産交の高速バスりんどう」
長崎自動車道の最後、長いトンネルを抜けると、いきなり市街地に入り、
路面電車などが行き交うのが車窓から眺められる」のがいい。
港まで山が迫っている長崎の地形が実感できる。
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