企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。
今日は段ボールのトップメーカー「レンゴー」のヒミツについて、
レンゴー株式会社 広報部長・後藤光行さんにお話をうかがいました。
~~~~~レンゴー株式会社 会社概要~~~~
1909年(明治42年)、わが国で初めて段ボール事業を始めました。
1972年(昭和47年)には社名を現在のレンゴー㈱へと変更。
現在、総合包装メーカーとして板紙、段ボール、紙器、軟包装、重包装、
海外の6つのコア事業を中心に多彩な事業を展開しています。
国内に段ボール工場25、紙器工場3、製紙工場5、印刷加工工場1、
化学品・バイオ工場1、セロファン工場1の計36工場を配し、また海外でも
中国・タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・ベトナム・米国に
39工場7拠点を展開するなど、パッケージングのベストパートナーとして、
幅広いサービス体制を整えています。
Q① 「レンゴー」という社名の由来を教えて下さい。
1909年(明治42年)、は三盛舎という名称でした。
1920年、当社創業者 井上貞治郎は、業容を一段と発展させるため、
三成社を株式会社組織にしようと考え、子会社二社、三成社と共同で
電球用段ボールを納めていた栄立社と東紙器製作所という関係の深い
五社合併により「紙を聯(つら)ね合わせて包装容器をつくる会社」の意から
聯合紙器株式会社を創立しました。
その後、従来の「段ボール一筋」から「総合包装企業」へ業容を拡大させた
ことを内外に示すために、 また、「聯」の字が読みづらいといったことから、
1972年元日、社名を現在の「レンゴー株式会社」に改めました。
Q②「レンゴー」は、段ボールの国内シェアトップの企業ということですが、
シェアは何パーセントですか?
段ボール生産量に関しては、経済産業者など公的機関による統計は
ありません。
矢野経済研究所調べによれば、2010年度段ボール生産量の当社シェアは
グループ全体で約28%と、国内で最大手です。
また、段ボールの原料となる板紙の生産においても、国内トップクラスの
規模です。
Q③「段ボール」は、「レンゴー」が日本で初めて開発したということですが、
いつごろ? どんなきっかけで開発することになったのですか?
段ボールが発明されたのは19世紀(1856年)の英国です。
貴族の着ていた服のえり元をヒントに、波状に折った厚紙をシルクハットの
内側に使ったのがそのはじまりで、その後、米国で電球など壊れやすい商品の
包み紙に使われるようになりました。
明治時代、井上貞治郎がこの製品を自らの手でつくることを思い立ち、
1909年、日本で初めて事業化に着手しました。
苦労を重ねやっとの思いで完成させた製品に、「段のついたボール紙」で
語呂も良く覚えやすいとして「段ボール」と命名しました。
Q④「段ボール」開発のポイントはどこでしょうか?
井上貞治郎は、かつて働いていた店で見かけた「綿繰り機のようなもの」から
ヒントを得て、鋳物製の段付きロールと木製の支柱で組立てた製造機を
自ら考案し、段ボールの製造に取りかかりました。
ロールの間に紙を差し込んでハンドルを回すとシワのついた紙が出てくるという
仕掛けでしたが、なかなかうまくいきませんでした。
そこで、ロールの桁に分銅をつけて負荷を均一にする、紙を縁側の下に一晩
おいて湿らせる、機械の下に七輪をおいてロールを熱してアイロンのようにする
など様々な工夫を重ねた結果、ようやく段ボールらしい製品ができあがりました。
Q⑤現在、「レンゴー」が扱っている「段ボール」は何種ぐらいありますか?
また、特色ある製品などありましたらご紹介ください。
段ボールはオーダーメードであり、包む商品によってそれぞれ異なることから、
「何種類」という表現はできません。
当社は、一般的な段ボールはもちろん、耐水・鮮度保持・防錆などの
機能を付加した機能性段ボールから、カラフルな印刷で販売効果を高める
美粧段ボールまで、用途に応じたさまざまな段ボールをご提供しています。
また、封かん時にステープルやテープを使わない、人にも環境に優しい
ノンステープル段ボール箱や、「軽薄炭少」を合言葉に、従来の一般的な
Aフルート段ボール(厚さ約5mm)に較べて厚さが約20%薄く、生産や
輸送などの際のCO2排出も削減されるCフルート段ボール(厚さ約4mm)の
推進に積極的に取り組んでいます。
さらに、大成建設(株)、(株)栗本鐵工所、当社の3社で共同開発した、
アルミニウム箔をラミネートした段ボール製の空調ダクト「コルエアダクト」は、
従来の鉄板ダクトに比べて軽量であり、段ボール特有の中空構造により
保温工事が必要なく、現場での施工性に優れています。
また、鉄板ダクトに比べ生産時のCO2排出量が大きく削減され、
施工現場へは平板状で搬入するため大量輸送が可能となり、
輸送時のCO2排出量削減にも寄与する商品です。
Q⑥「段ボール」は軽くて丈夫で、環境にもやさしいんですね。
段ボールは、軽量ながら強度は極めて高く、段ボールケース4箱の上に
1トン以上ある自動車を乗せても大丈夫なほどです。
また、段ボールは、リサイクル界の代表選手であり、
リサイクル率はほぼ100%に達し、平均すると7~8回も再生されていると
言われています。(当社古紙利用率は、97.8%)
また、段ボールをはじめとするパッケージは、時代の変化とともに「包む」「守る」
という基本機能に、ICタグの活用などを通じて、「装う」「伝える」といった
情報発信機能、すなわちメディアとしての機能を持っており、
コミュニケーションツールとして、さらに進化する可能性を秘めています。
さらに、軽量で扱いやすく加工も簡単、保湿性もあり、人にも優しい、
段ボールのこれらの特長が東日本大震災の救援物資として、避難所の
床敷きや間仕切り、簡易ベッドなどにも大活躍しました。
段ボールが丈夫で保湿性が高いというのは、「ダンボールハウス」でも
証明されています。
Q⑦ 他に、開発秘話などのエピソードがある商品がありましたら教えてください。
段ボールは、国内経済の成長にあわせて様々な変化を見せてきました。
1960年代後半、わが国は高度経済成長の過程で大量生産・大量流通・
大量消費の時代に入り、商品の個装にプラスチックやビニール製品が
使われるようになり、ディスプレー方式が変わりました。
この情勢に対応して、当社は段ボールの材料である板紙に印刷する
(プレ・プリント)方式を開発し「強くて美しい箱」を製品化し美粧化を
さらに促進しました。
一方、積極的に技術革新を進め、1970年代には、
段ボール製造設備(コルゲータ)について画期的な技術を開発、
製品のロット替えのたびに減速または停止していた従来の運転装置を
高速のまま連続運転できる装置に一変させ、段成型と糊接着にも
新機軸を開発しました。
これにともない高速化・品質強化・材料費低減など多様な効果を
もたらしたことが国内外から高い評価を受け、以降の技術輸出の基と
なりました。
1980年代後半から、多品種、小ロットに対応すべく、コンピューターによる
製造管理を行っており、多様化・高度化するユーザーニーズに的確に
応えられる体制を築いています。
当社は主力事業の段ボールのほか、製紙技術を活かした、さまざまな
高機能繊維製品も手掛けています。
1996年には、有害なガスや悪臭を吸着する機能、抗菌機能の高い
ゼオライトをセルロース繊維内部で結晶化させた高機能パルプ
「セルガイア」を開発しました。
従来の製法に比べ、ゼオライトの付着率を飛躍的に高めることに成功した
製品です。
開発にあたり、セルロース繊維の内部にゼオライトを染み込ませようと
試行錯誤を繰り返しましたが、どうしても成分が表面に逃げ出してしまうという
課題がありました。
開発に行き詰まっていたころ、担当していた研究者が実験後の状態のまま
出張に出掛け、後日、戻って何げなく実験器具を見ると、繊維とゼオライトが
反応し、ゼオライトが繊維内部で見事な結晶をつくっていました。
こうした偶然によって生まれた「セルガイア」は、現在では、エアフィルター、
ペット用品、鮮度保持用シート、防錆シートなどに加えて、
インフルエンザ対策用マスク、放射線対策にいたるまで、幅広い用途に
使用されています。
Q⑧ ところで去年の東日本大震災では、レンゴーの工場も被災したそうですね。
昨年の東日本大震災では、当社仙台工場が被災し壊滅的被害を
受けましたが、従業員の雇用の場の確保はもちろん、地元経済と密接な
関係にある段ボール工場のいち早い再建が、被災地の復興、再生への
先駆けにもなればとの思いも込め、新仙台工場建設に鋭意取り組んで
まいりました。
3月15日に同工場の起動式を執り行い、4月1日に正式開業する
運びとなっております。
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