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ヒューマン・ラボ

「草葉楽器」

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
熊本市中央区草葉町にある弦楽器専門店「草葉楽器」の
龍野修一さんがゲストでした。

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お名前:龍野修一(たつのしゅういち) 54歳
所属・肩書:スタジオドラゴン代表 兼 草葉楽器見習い店長
 
Q草葉楽器の概要を教えて下さい。
 
☆草葉楽器☆
〒860-0843
熊本市中央区草葉町2-33ドラゴンビル1F
電話 096-355-8139
営業時間11:00~19:00
月曜日定休日
弦楽器専門店
(取扱い商品はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、及びそれらの関連商品)月に一回、福岡から職人さんが来店し、各楽器の調整、修理、相談、弓の毛替え、オーバーホール、等受付けています。(来店日はわかり次第ホームページに掲載)
 
Q地下にあるスタジオについて教えて下さい。
 
平成20年に現ビルを将来音楽関連ビルにしようと思い購入。その際地下1Fが空き店舗だったため、何か面白いスペースを作ろうと家族で知恵を絞った結果、グランドピアノを置き、音楽をやっている人達が色んな形で使える場を作ろう、ということでスタジオドラゴンができました。
利用内容は、コンサート、発表会、ギャラリー、レッスン、教室、練習室としてです。
面白いイベントとしては、ジュエリー展示会でワインを飲みながら生演奏もありというものや、複数のフラダンス教室の発表会を飲食しながらやったこととか、備付け100型スクリーンでサッカーワールドカップ開催時のコートジボワール戦の応援を朝からビールを飲みながらやったことなどです。
 
Q「ドラゴンナイト」というイベントを開催されているそうですが、
概要を教えて下さい。
 
音楽(主にクラシック)をやっている人達の演奏の場として、少しでも利益になれば、というのが一番ですが、聴く側にも飲食をしながら気軽に音楽をたのしんでもらいたいという気持ち、また、演奏者同志の出会いの場となりセッションしてほしいとの気持ちで始めました。
まずプレとして、一昨年(平成25年)10,11月の毎金曜日に開催、本格始動は去年(平成26年)3月から毎金曜日に開催しています。オープンは19時から22時、演奏は20時と21時から各30分程度。料金は中学生以上1500円、小学生1000円、未就学児無料。
 
Q「ドラゴンナイト」では、
これまでにどんなコンサートが行われましたか?
 
弦楽器の色々な組み合わせ、金管6重奏、木管アンサンブル、歌とピアノ(チェンバロ)、フルートと演劇、ピアノとドラムとウッドベースのジャズ、など。
 
Q草葉楽器のホームページでは「ドラゴンナイト」について、
「クラシカルな夜を飲食しながら楽しもう!」と
呼びかけていらっしゃいますが、お客さんの様子はいかがでしょうか?
本当に飲食しながら、クラシックのコンサートを見て大丈夫でしょうか?
 
ドラゴンナイトでは、演奏中でも入場オッケーで、飲食もしていいんですが、いざ演奏が始まると、シーンとなってしまうことが多い現状です。もちろん居酒屋みたいなノリで、演奏中に「すいませーん!」と大声をだすのはNGですが、ナッツをかじりながら、ウイスキー(ワインやソフトドリンク)をちびりちびり飲む風景が望ましいと思います。
 
Q「ドラゴンナイト」で提供されている
飲食メニューをいくつか教えて下さい。
 
FOOD・・・ドラゴンカレー、サンドイッチ、ポテトサラダ、ミックスナッツ、ポテトチップ、など
 
DRINK・・・ビール、ワイン、ウイスキー、グアバジュース、ジンジャーエール、など
 
高校卒業後の喫茶店でのアルバイトが私にとって初めての料理(調理)との出会いです。その後、22歳ごろからの一人暮らしで、その経験を活かして休日などに友人を招いて料理(特にカレー)をするようになりました。
40歳位の頃、情報誌のカレーコンクールに応募、予選を通過し決勝に進出、賞はとれませんでしたが、それが進化して今のドラゴンカレーになっています。
ドラゴンカレーはトマトとひよこ豆と王林(リンゴ)とひき肉が基本ですが、骨付き鶏肉や豚ロースカツ、黒豚塩焼きをトッピングしたものがあります。ドラゴンナイトでのカレーメニューは、基本のドラゴンカレーと、上記3種のうち一つをトッピングしたもの、2種類を出しています。
また、ドラゴンカレーは水道町にあるキッチンスタジオ「ティアラボ」で販売もしています。
 
Q飲食メニューの中で特におすすめは何ですか?
 
ドラゴンカレーとポテトサラダ。
 
Q「ドラゴンナイト」では出演者も募集されているそうですが、
条件や応募方法など教えて下さい。
 
将来プロを目指している演奏家、個人やオーケストラで活動しているプロの演奏家で国内外問わず幅広い演奏家を募集しています。申込書、契約書は草葉楽器にて直接お渡しするか、ホームページからプリントアウトもできます。また、申込時に運営者にて出演の可否を協議しますので、活動内容がわかるものの提示を求める事もあります。
申込後契約を交わして終了ですが、初めての方はまずお電話で相談されてください。
昨年は主催者側から演奏者に積極的に声掛けをして出演して頂く事があったのですが、今年からはあまり声掛けは行わず、演奏者のやる気を待つということで、希望者からの問い合わせを待つことにしました。
 
Qこの後開催される「ドラゴンナイト」の予定を教えて下さい。
 
☆3月6日金曜・・ヴァイオリン/川瀬麻由美、龍野満里絵、ピアノ/藤本史子演奏予定曲ナバラ、他
☆3月13日金曜・ヴァイオリン/中平美紀、ピアノ/宮下結演奏予定曲C.フランク/ソナタ、ジブリ、他
☆3月20日お休み
☆3月27日金曜・フルート/伊藤久美子、ピアノ/小野田美緒、ドラム/西田義伸、ウッドベース/森本克明演奏予定曲クロード・ボリング/フルートとジャズピアノの為の組曲、他
☆4月3日金曜・・佛教合唱団パデティーナ/代表遠山慈水演奏予定曲念仏、あなたであって、他
 
Qその他、PRがございましたら、ご記入下さい。
 
妻が率いる「たつの音し子合奏団」(主に妻のヴァイオリン教室の生徒達)が県内はもちろん、世界中の老人施設や病院や幼稚園などでのボランティア演奏会を行っていますので、ご希望される方(老人施設、病院、各学校)はご連絡をお待ちしています。
連絡先 龍野珠美ヴァイオリン教室
電話096-372-0649
 
草葉楽器 オフィシャルサイト
http://kusabagakki.tyonmage.com/
 
本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
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『ツーリングマップ熊本 阿蘇・菊池』

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
熊本県県北広域本部 総務部 振興課の岩田知恵さんがゲストです。
昨年作成された『ツーリングマップ熊本 阿蘇・菊池』について伺いました。

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Q①ご出演の方のお名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:岩田知恵 (ふりがな)いわたちえ
所属:熊本県県北広域本部総務部振興課
プロフィール:
今年度4月から県北広域本部に勤務し、観光振興や、今回のツーリングマップの作成などを行っている「くまもとライダーズベースプロジェクト」などを担当しています。
ホームページ、ブログなど:
『ツーリングマップ熊本阿蘇・菊池』については県北広域本部で取り組んでいる『九州中部大回廊』のHPに掲載されています。

HPのURLはhttp://kyushu-chubu-daikairo.com/
 
Q②「ツーリングマップ熊本阿蘇・菊池」が昨年作られたそうですが、どんな内容のものですか、具体的に説明お願いします。
 
今回のマップでは、地元のライダーの方達の意見を参考に、表面は阿蘇・菊池地域おすすめの6つのツーリングコースを、裏面にはこれら6つのコースに行くためのルートやその周辺ルートを含む広域マップを掲載しています。
その他、観光情報やツーリングの途中で立ち寄ることのできる物産館や道の駅、ライダー向けの施設等なども紹介しています。
 
Q③今回、「ツーリングマップ熊本阿蘇・菊池」がつくられたきっかけ・経緯などをお願いします。
 
県ではH24年度から「くまもとライダーズベースプロジェクト」の取組みをスタートしました。この取組みは県が進める「大空港構想」にも位置づけられており、全国でも有数のツーリングスポットである阿蘇を中心に、魅力ある阿蘇・菊池地域の自然や観光スポットなどを、多くのライダーに楽しんでいただくため、「ライダーが訪れたい県No.1」を目指し、行政と民間が連携して取り組んでいるところです。
今回のマップはこのプロジェクトのおもてなしの取組みとして、当地域を訪れたライダーの方達のツーリングの参考としていただきたいと思い作成いたしました。
 
Q④今回、「ツーリングマップ熊本阿蘇・菊池」の作成で一番苦労したポイントは何ですか。
 
今回のマップは阿蘇・菊池の大自然の中をツーリングする心地よさや楽しさを感じていただきたいと思い、プロジェクトのメンバー(民間)の方にも撮影に協力いただき、実際にツーリングをしている写真等をできるだけ使いました。
ただ、阿蘇・菊池の自然風景は、四季に応じた違いを楽しむことができますし、毎日の天候や時間帯でも違った表情を見せてくれ、それが魅力でもありますが、撮影時はその天候に左右され、思ったように撮影が進まず、それぞれの撮影ポイントでの一番良い時間帯や天候で写真を撮ることができず、苦労したとい言いますか、阿蘇・菊池地域の魅力を最大限にお伝えできなかったのではないかとの思いがあります。
ですので、皆様には、実際に阿蘇・菊池地域にお越しいただき、その魅力を感じていただくとともに、季節の違いなどを楽しむために何度もお越しいただけると嬉しいです。
 
Q⑤「ツーリングマップ熊本阿蘇・菊池」を今後どんな展開を考えていますか?
 
県内外問わず、多くの人にご利用いただければと思っております。
現在も、東京、大阪、福岡といった都市圏でもツーリングマップを設置しておりますが、来月3月には大阪モーターサイクルショー(3/20~22)や東京モーターサイクルショー(3/27~29)などの機会をとらえ、このマップのご紹介をさせていただくこととしております。
今後、このマップをきっかけとして、県内外からたくさんの人に、阿蘇・菊池地域にツーリングにお越しいただけると嬉しいです。
また、このツーリングマップには、ライダーを歓迎いただける施設やお店を「おもてなし協力店」として掲載しておりますが、まだまだ少ない状況です。
今後はこの「おもてなし協力店」を増やしていくことで、ツーリングがより充実したものに、また、何度も訪れたくなるようなマップにしていければと思っています。
 
Q⑥これまでの活動の中で、最も印象深いエピソードをお願いします。
 
まだ、この取組みを担当するようになって最初の頃に、プロジェクトのメンバーの方達と先進地視察で埼玉県の秩父地方にあります小鹿野町に行って参りました。
小鹿野町ではバイクによる町おこしを進める中で、ライダーへのおもてなしはもちろん、地域全体が来る人みんなを、とても歓迎してくださっている雰囲気が伝わる町でした。
また、バイクによる町おこしを進める一方で、バイクによる交通事故等の防止のための、ライダーのマナー教室の取組みなどにも積極的に取り組んでおられ、今後私たちが取組みを進めていくうえでも学ぶべき点が多いなと思いました。
そして、この取組みをはじめて一番感じたことは、ライダーの方達はとても人と人のつながりが強く、また、口コミによる情報発信の力がとてもあるということです。小鹿野町の方達とは今でも情報交換をさせていただいておりますが、私たちの取組みについても応援いただき、今回のマップのPR等にも協力をいただいているところです。今後もこの様な輪が広がっていくことを期待しています。
 
Q⑦今後の夢、目標などあればお願いします。
 
このプロジェクトの目標でもあります「ライダーが訪れたい県No.1」になることです。
先ほど申し上げましたが、このマップをきっかけに県内外から多くの方にツーリングにお越しいただきたいと思っており、そのためにも、将来的にライダーを歓迎する「おもてなし協力店」が増えていき、最終的にはみんなが自然とその様なことに取り組んでいく雰囲気ができていくのが理想だと思います。
ただ、一方ではバイクは危ない、うるさい、マナーが悪いといった印象をお持ちの方がいるのも事実です。大半のライダーの方はマナーを守り、安全運転でツーリングいただいていると思うのですが、ごく一部でもその様な方がいらっしゃることで、ライダー全体の印象を悪くしてしまいます。
みんなが気持ちよくツーリングできるよう、ツーリングする人、そしてそれを迎える人それぞれが、お互いを思い合った行動をとっていただければと思っております。マナーでもNo.1になれるといいですね。
 
Q⑧熊本県民にPRしたいこと、今後の活動予定、お知らせなどあれば教えてください。
 
先ほど、この取組みは県の「大空港構想」にも位置づけられているというご説明をしましたが、その取組みとして、現在、交通政策課において、バイク輸送付き旅行商品の造成を進めているところです。これは、関東方面からご自身は飛行機を、バイクは陸送を利用して熊本までお越しいただき、ご自身のバイクで熊本をツーリングしてもらおうという取組みですが、その第一弾として、今回、3月12日のくまモン誕生祭のモンキーパレードに合わせて、ツアーが企画されています。
内容としては、くまモンバージョンのモンキーオーナーを対象としたツアーですが、羽田空港を出発し、阿蘇くまもと空港に到着後、肥後大津駅でモンキーを受け取ります。その後、本田技研工業(株)熊本製作所を見学し、モンキーで熊本市内に戻って、誕生祭のパレードに参加するという内容です。翌日は1日自由行動で、帰りも阿蘇くまもと空港から羽田空港に戻るという行程になります。
このラジオをお聞きの皆さまは熊本県民の方がほとんどかと思いますが、関東方面のお友達やお知り合いの方で、ツアーに興味がありそうな方等いらっしゃいましたら、是非、ご紹介いただければと思います。

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計量器の専門店「はかりや」 藤本剛さん

あらゆるジャンルの注目の人にインタビューするヒューマンラボ。
今日は熊本市中央区魚屋町にある計量器の専門店「はかりや」の
代表取締役、藤本剛さんにお越しいただきました。

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Q1、お店は電車通り沿い、西消防署の並びにあって、
ご存じの方も多いと思いますが・・・、結構歴史を感じる建物ですよね?
建物自体はいつ頃立ったものですか?
 
西南の役で燃えた後に建てた家です。明治10数年と思います。
 
Q2、はかりやさんの歴史を教えてください
 
私の曾祖母さんの安政生まれのババさんが枡の製造からはじめ、
はかり(重さ、液量、長さ、温度)の販売をはじめたそうです。
 
Q3、ブログを拝見しますと、藤本さんは
「ひょんなことから熊本に来て15年。。。」とありますが、
なぜ熊本に?なぜ「はかりや」を継ぐことに?
 
(↑Blogは2002年に書いたので15年)
父が数年しか「はかりや」継がず、関東でサラリーマンをしてました。
なので私は東京生まれ、東京埼玉育ちです。
学生時代、バイクで日本一周をしている時に北海道が好きになり、
北海道の牧場で働いていた時に祖父がなくなり、
その時に父から「はかりや」の話があり、
北に居たから南もいいかなぁと気軽にきたのですが、
来た途端に今のカミさんと出会って、
そのまま熊本大好きになり26年(平成元年にきました!)
 
Q4、毎日のように更新されるブログがとてもユニークですね!?
色んな物を計ってみたり、はかりに関係あること、
無いこと・・・今朝の金峰山とか・・・
ブログのファンも結構いるんじゃないですか?
どんなきっかけでブログが始まったのでしょうか?
また、周囲の人の反応はいかがですが?
 
おかげさまでたくさんの人が見てくれて、それぞれの話に
反応してくれてます。ネットショップをしているので
全国の人と交流しています。「今朝の金峰山」は、
金峰山が好きということもありますが、全世界に散らばっている
熊本出身の人や熊本に関係がある人に!
そして以前ガンの患者の会をしていたので毎日ちゃんと散歩して、
コツコツ積み上げて元気にしているよ!
ガンになる前よりも、もっと楽しく元気に生きているよ!との
メッセージです。(肺がん克服16年)
きっかけは、、、もう10年くらい前に始めたので
よく覚えていませんが、ネットショップを繁盛させる為
(はかりやや藤本を知ってもらう)だと思います。。。
 
Q5、普段我々が目にしない、珍しい商品もありますね~!
WEB通販で「温度はかりや」「重さはかりや」という
サイトもありますね、そんな中から、「おススメ」又は、
「役に立つ」といった「はかり」を、いくつか紹介して頂けますか?

 
塩分計、中心温度計、など色々ありますが、
今日スタジオではコーンスープの塩分を測ってみます。

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また、スタジオの気温・湿度など…。

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Q6、とくに売れてるものって何ですか?

上皿計りなど。(デジタルだけでなくアナログなものも売れています)
(量り売り用の検定印つきのもの)
 
Q7、問い合わせ先
 
〒860-0031 熊本市中央区魚屋町2丁目21番地
(呉服町電停目の前)
tel 096-352-3038
 
以上、ヒューマンラボのコーナーでした。
 
●はかりや オフィシャルサイト
http://www.kgmg.jp/

●はかりや Blog
http://www.kgmg.or.tv/

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熊本県臓器移植コーディネーター 西村真理子さん

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
今日は熊本赤十字病院 医療社会事業部 社会課 社会課長で、
熊本県臓器移植コーディネーターの西村真理子さんにお話を伺いました。

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Q①ご出演の方のお名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:西村真理子
(ふりがな)にしむら・まりこ
所属:熊本赤十字病院医療社会事業部社会課社会課長
 
プロフィール:
昭和56年3月熊本県立熊本高等学校卒業
4月熊本大学薬学部入学
昭和60年3月熊本大学薬学部卒業
4月熊本大学大学院薬学研究科入学
昭和62年3月熊本大学大学院薬学研究科博士課程前期修了
4月熊本赤十字病院薬剤部入社
平成10年4月熊本県臓器移植コーディネーター就任
熊本赤十字病院社会課に異動
現在は社会課長、(公益財団法人)熊本県移植医療推進財団事務局も兼務しています。
 
【所属学会等】
日本移植コーディネーター協議会理事
日本組織移植学会評議員
日本移植学会
日本臨床腎移植学会
日本臓器保存生物医学会評議員
ヘルスカウンセリング学会
ABO不適合移植研究会
サイコネフロロジー研究会
 
Q②「臓器移植コーディネート」とは、どんな仕事ですか?
 
臓器の移植に関する法律に基づき、国民の皆様の移植に関する4つの権利(提供する権利、提供しない権利、移植を受ける権利、移植を受けない権利)を尊重し、守るように活動するのが、
移植コーディネーターです。
ドナー(提供者)とレシピエント(受者)の間で、中立な立場を守り、不正を監視して、国民に移植医療を正しく理解してもらう活動も重要です。
 
Q③西村さんが、コーディネーターになったきっかけ・経緯は?
 
私は、薬剤師の国家資格を持っています。日赤病院には、昭和62年に、薬剤師として薬剤部に就職しました。ちょうど当院で、腎臓移植を開始するタイミングであり担当になったので、移植についての勉強にのめりこみ、すっかりはまってしまいました。
平成9年に移植法が施行されるとき、各県にコーディネーターを設置する条件に、医療資格を持っていることがあり、移植の事情にも精通していたので、上司の勧もあり決断しました。
 
Q④日本での「臓器移植」の状況、また海外との違いは?
 
日本の移植医療の現状は、一言でいうと移植を待っている人のほうが、提供者より大幅に多く、かなりのドナー不足といえます。また、海外では、一般的に脳死は人の死と受け止められていますが、日本では臓器を提供される方にとっては、脳死を人の死とすると臓器移植法に明記されています。
その判定法についても海外では、主治医が医師の裁量権として脳死であると、救命不能であることを診断すれば、死亡となります。
その時点で家族に臓器の提供も含めて説明し、可能な症例については、しかるべき機関に通知をすることが求められている国もあります。
日本では、脳死判定は、法律に定められた手順に則って行われ、厳密に判定されますし、脳死下臓器提供症例のすべてを検証委員会で確認しているのが現状です。
かなり、厳しい条件が設定されているので、間違いが起こらないという反面、数は増えにくいと言えます。やはり、脳死は人の死であり、主治医の診断で判定できる
ほどに、一般的なこととして国民が受け入れられるようになれば、日本でも増加していくかもしれません。
 
Q⑤臓器移植といってもいろいろありますが、どういう状況で移植が行われるのか?
「脳死」とか「心停止」などの言葉をよく耳にしますが…。
また、どのような臓器移植が可能なのでしょうか?
 
脳死後:心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球
心停止後:腎臓、膵臓、眼球
以上がなくなった後に提供できる臓器です。
 
また、生体間移植が日本では、多数行われていますが、本来は救命のために緊急避難的に始められたのに、現在では、主流になっています。
健康なご家族から、肺、肝臓、腎臓、小腸を摘出し、移植するのが生体間移植です。
ドナーが不足している現在では、仕方のないことかもしれませんが、提供することによりドナーが死亡するなどの事故が発生しており、問題になっています。
 
Q⑤どのような段取りで、「移植」が行われるのですか?
また、移植コーディネーターの果たす役割は?
 
ほとんどの場合は、突然の事故や発作などで脳に障害が発生し、すべての脳の機能が停止してしまった状態を脳死状態といいます。呼吸しろという脳からの指令もなくなるので、このまま何もしなければじきに、心臓も止まります。
人工呼吸器をつけると脳死状態が保たれますが、成人で大体2週間くらいで心停止を迎えますので、この間に臓器の提供を家族が考え、承諾されると提供に向けた動きが始まります。
もう助からないという診断の際に医師から、提供についての情報提供がなされたり、家族からの申し出があって、説明を聞きたいということになって、はじめて移植コーディネーターが呼ばれるという流れになります。
そして、中立な立場で説明をして、家族の総意により承諾をいただき、法的脳死判定により、脳死であることが決定し、そこから、移植を受ける患者さんを検索していきます。
全国から、各臓器の移植医師グループが提供病院に集合して、確認後摘出が行われますが、心臓は、移植が終了するまでの時間が4時間以内と決められているので、熊本空港まで医療用のヘリコプターで搬送します。そこでチャーターした小型のジェット機に乗せかえて、待っている患者さんのもとへ急いで運ぶのです。
そのほかは、時間に余裕があるので、摘出したドクターたちが、大事に抱えて待っている患者さんのもとに運んで行かれます。
移植コーディネーターは、これらのすべてのプロセスが、間違いなくうまくいくように段取りをしたり、実際に動いたり、支えていきながら、ドナーやドナー家族の心情に配慮して、事を運びます。
当然一人では無理なので、実際の提供の場面では、日本臓器移植ネットワークから、4,5人のコーディネーターが派遣され、ことが進みます。
これまで300件以上の提供が行われてきましたが、日本ほど丁寧にきちんと行われている国はありません。システムがうまく機能している証拠だと思います。
 
Q⑥仕事上のハプニング・トラブル・エピソード等、印象に残っていることは?
 
初期のころ、脳死下の臓器提供を希望されていた方の尊いお気持ちが、カードの記入不備でかなわなかった症例を経験しました。
法律改正により、本人の気持ちが不明でも家族の承諾で臓器提供が可能になりましが、家族が悩まれるので、ぜひ、意思表示をして家族にもそれを伝えておいて頂きたいです。
 
Q⑦移植コーディネーターのやりがいは?
 
移植コーディネーターは、むやみに臓器の提供を増やすことが仕事ではありません。
臓器移植法により明記されている国民の臓器を提供する権利、しない権利をきちんと尊重するために、中立の立場で働くことが求められています。そのためにあらゆることをしますが、臨機応変に日本臓器移植ネットワークとの連携を保ちながら活動し、みんなのチームワークで、患者さんやご家族の希望をかなえられ、移植手術もうまくいったときは、何物にも代えがたい喜びを感じます。
 
Q⑧意思表示する際の注意点は?
 
現在は、意思表示の方法としていろんなやり方があるので、ぜひ、やりやすい方法で意思表示をしてください。
健康保険証や運転免許証の裏面の表示欄、意思表示カードが身近なものです。
また、インターネットで登録する方法もありますので、検索してみてください。
記入法をよく読んで指示通りに書いてください。日付は誕生日ではなく署名の日です。
 
Q⑨提供する側、される側の家族としての心得は?
 
提供したくてもできない場合もあります。したくないのに家族の承諾で提供されることも、法律改正により可能性として出てきます。やはり、日頃からの家族との意思疎通を心掛けておいてください。提供したくない人ほど意思表示をきちんとしよう!
提供される側=移植を受ける側はいつ何時呼ばれてもすぐ返事ができるように、
連絡体制を整えておいてください。そしてせっかくの機会ですから、風邪で受けられないとかいうことがないように日々の体調管理をしっかりしてください。
また、移植後の自己管理が長期正着のカギですから、生活習慣を整えることも、大事だと思います。
 
Q⑩皆さんにメッセージを
 
移植医療にかかわって薬剤師時代も含めると28年くらいになります。
医療従事者としては、健康で明るい日々を皆さんが送ってくださることが望みです。
移植医療は、機能不全の臓器を健康な臓器と置き換えることで生命維持やQOLの
回復を目指します。移植を待っているすべての患者さんが移植を受けられるようで
あればいいのですが、現在は圧倒的に提供が足りません。移植医療に関心を持って
いただきたい。提供するしないの意思表示をお願いします。
 
医療者としては、まずCKD対策等で生活習慣病の予防を進め、それによる腎不全、
臓器不全の患者を減らすことで、移植の必要な患者さんをこれ以上増やさないことが第1だと思います。
熊本市が力を入れているCKD対策会議のメンバーにも入れていただいていますが、腎臓が働かなくなって透析になる患者さんを少しでも減らす努力をしつつ、健康な方からしか臓器の提供はいただけないわけですから、県民の皆様が健康に過ごして結果として、いい人生だったから、何か感謝したいなと考えた場合に、臓器の提供も一つの選択肢として考えてみられてはいかがかなと思います。
やはり、正しい情報を手に入れて自分で、考えて決めることが大事です。
この機会に、免許証の裏、健康保険証の裏面を眺めて考えていただきたい!
 
Q⑪熊本県民にPRしたいこと、今後の活動予定、お知らせなどあれば教えてください。
 
現在、全国で300件を超える脳死下臓器提供が行われました。
熊本県でも体制が整い、県民の皆様の尊い提供意思をかなえる準備ができています。
今後ますます、普及啓発や体制の整備を進めて、皆様の移植に関する権利が尊重できる熊本県として活動していくつもりです。
 
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熊大ラジオ公開授業「知的冒険の旅」 山野ケン陽次郎先生

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
11月から3ヵ月間、「FMK Morning Glory ヒューマン・ラボ
熊大ラジオ公開授業 知的冒険の旅」と題してお送りしています。
 
13回目のゲストは、熊本大学 埋蔵文化財調査センターの
山野ケン陽次郎先生です。
先生の専門は「考古学」。琉球の歴史について研究されています。
どんな研究なのか詳しく伺います。

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Q①お名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:山野ケン陽次郎(やまのけんようじろう)
所属:熊本大学埋蔵文化財調査センター
 
プロフィール
鹿児島県鹿児島市出身。満31歳。
平成14年3月、鹿児島中央高等学校を卒業。
平成14年4月、鹿児島大学法文学部人文学科に入学。
物質文化研究室で考古学を専攻。
平成19年4月、熊本大学大学院文学研究科に入学、
平成21年3月修士課程を修了。
平成21年4月熊本大学大学院社会文化科学研究科に入学、
平成24年3月博士課程を修了。
平成24年4月から古巣の鹿児島大学法文学部に戻り、
日本学術振興会特別研究員PDとして研究に没頭。
平成25年4月には独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所に
特別研究員として入社。平成25年10月から
熊本大学埋蔵文化財調査センターの助教に就任。
以後、熊本大学構内遺跡の発掘調査とその活用、
研究に日々従事している。専門は先史時代の琉球列島における
貝製品からみた人間諸活動および文化の復元研究。
 
「ケン陽次郎」というお名前はたいへん珍しいと思いますが、
由来などあるのでしょうか?
 
私は3人兄弟の末っ子なのですが、一番上の兄は紘太郎という名前です。
彼が小さいころ、母がイギリス旅行に連れて行ったのですが、
海外の方は紘太郎という名前をなかなか呼べなかったそうで、
次に生まれる子供に英語圏の名前を入れることを考えたそうです。
しかし、当時は今と異なり、きらきらネームのようなものはなかったですから、
学校でのいじめも考え、名付けるには勇気が必要だったようです。
すると次の子供はなんと双子で生まれてきたのです。
私と双子の兄です。「双子だったらいじめられても、
なんとか2人で生きていくだろう」という気持ちで「ケン」と名前が付けられました。
ちなみに双子の兄は「ディーン誠次郎」といいます。
子供のころは思いませんでしたが、
今では名前をよく覚えていただけるので大変よい名前だと感じています。
 
Q②山野先生の専門である「考古学」とは、
どんな研究ですか、わかりやすく教えてください。
 
私の専門は「考古学」です。遺跡から出土する、
過去の人間の使用した道具や装飾品といった「遺物」、
あるいは住居や墓といった「遺構」を研究対象としており、
これらを用いて過去の人間の諸活動、つまり狩猟や漁労、
食事や物づくりなどの日常的活動から、祭祀(祭り)や埋葬(お葬式)などの
非日常的活動を復元していきます。ここから文字資料のない
時代の人間の生活や社会、文化、交流などを明らかにする試みを行っています。
私のフィールドは日本列島の南端に位置する琉球列島
(大隅諸島から先島諸島)です。この地域では、黒潮(暖流)により
サンゴ礁地形が発達しており、海産資源として大きく美しい巻貝を
大量に得ることができます。琉球列島の島々では先史時代から
この貝を生活のありとあらゆる場面で使用しており、食料としてだけでなく、
皿やナイフ、アクセサリーなど様々なものに加工、
利用されてきました。そのため、過去の人間の生活を知る上で
遺跡から出土する貝の研究は非常に役立ちます。
私はこれまでに、貝製の道具(貝製品)の加工技術や、
貝の種に注目することで、当時のモノの移動や加工技術の
伝播などに言及してきました。特に弥生時代から古墳時代にかけて行われた、
九州以北と琉球列島(鹿児島・沖縄県の島々)における貝を
交易品とした長距離交易についての研究を行っております。
南の島で取れる貝を当時の九州の権力者が入手して
腕輪などに加工、使用していたのです。私は、遺跡から出土する
貝製品の素材となる、貝の種類の同定(どんな貝種か決定すること)を行い、
その貝がある特定の地域でしかとれないことを確認し、
そこからモノやヒトの移動を検証していきます。
遺物を研究することでヒトやモノの移動が見えてくることは大変面白いです。
しかし、この貝の種類の決定が大変なのです。
貝製品は貝を磨いたり、穴あけたりして作られているため、
元々の形状をしていません。そのために南の島々で
標本集めのため貝拾いを行ったり、実際に貝製品を作ったりもします。
南の島のビーチでみなさんが水着で楽しく泳いでいるところに、
貝の入った重い袋を持って何時間も海岸を歩いているおじさんがいたら、
それは十中八九、私です。
 
Q③山野先生がこの研究に取り組むことになった
「きっかけ」のようなものがあれば教えてください。
 
私は小学生の時分から、学者になりたいという漠然とした夢がありました。
小学生から中学生にかけては、『インディ・ジョーンズ』や
『世界ふしぎ発見』などに多大な影響を受け、高校生になる頃には
考古学者になりたいと考えるようになりました。
しかし、大学生になり、考古学を学び始めると、実測や測量など、
1㎜の誤差を許さないそのあまりの細かさに辟易してしまいました。
しかし、学部3年生のとき、鹿児島県徳之島のトマチン遺跡の
発掘調査に参加する機会を得ました。
遺跡からは縄文時代の終わりから弥生時代の初め頃にかけての
サンゴ石で作られたお墓が見つかりました。
そしてその中からバラバラの人骨と一緒にゴホウラという貝を使った
腕輪やイモガイという貝を使ったビーズ、
さらには翡翠製のアクセサリーが出てきたのです。
私は、この出土した貝製品の見事さに感動し、
誰がどのようにして作ったのか、またどのような過程で
この墓に埋まったのか、想像するだけで楽しくなりました。
また、この時に発掘調査したメンバーは私とほぼ同世代の
沖縄県の考古学徒だったのですが、彼らと1か月半にわたる
発掘調査や共同生活が非常に愉快で、考古学に
どんどん魅了されていったことを覚えています。
この発掘を契機とし、考古学に没頭し、
中でも墓から見つかった貝製品を研究することになりました。
 
Q④山野先生の研究テーマについて、
これまで「琉球列島」を調査してきて、
具体的にどんなことがわかったのでしょうか?
いくつか具体的に説明をお願いします。
 
私は以前、鹿児島県の種子島の遺跡を発掘しました。
広田遺跡といって、砂丘の上に弥生時代の終わり頃から
一部古代にかけての150体以上の埋葬人骨が発見された
全国的に著名な遺跡です。この遺跡のすごいところは、
世界でも類をみない、貝製装飾文化をもつことです。
貝製品には竜のような形をしたものや、
古代中国の青銅器にみられる饕餮文(とうてつもん)のような
素晴らしい彫刻文様が施されていました。
定説では、これらは古代中国の文化の伝播によって
現れたと考えられてきました。私は、広田遺跡でこの他に
中国らしき遺物が出土していないことから、中国説に疑問を持ち、
広田遺跡の埋葬の変遷を再検討し、琉球列島の貝製品と
その貝種や製作技術について研究しました。
すると、広田遺跡の貝製装飾文化が、琉球列島に
もともと存在する貝製装飾文化によって説明できることが分かりました。
種子島よりずっと南で取れる貝殻、
そしてこれら貝殻と交易の対価物として持ち込まれた九州からの
鉄器などの製作道具によって説明できることが分かってきました。
竜の形をしたものも、本来は獣の牙の形をした貝製品が
装飾化していったために変化したのだと示し、彫刻文様についても、
饕餮文ではなく、蝶の形を現したものだと考古学的手法を用いて示しました。
 
Q⑤研究以外での趣味などありますか? 
 
ある時期の趣味は貝殻拾いでした。研究の一環でもありますし、
自分の求めていた貝が見つかると非常に興奮します。
同じ海岸でも、日によってまるで違う貝殻が拾えたりするのが面白いです。
とくに雨が降った跡や台風の翌日などは、
砂が削られて貝殻も砂に映えるので、探しやすくてよいです。
最近は、学生の頃と違って忙しいので行けていません。
近頃の趣味は料理です。得意料理はパスタですが、
日本食も中華料理も他にもいろいろ作ります。
料理は研究とよく似ていると思います。具材をたくさん集めて、
加工して、自分の作りたいものを作ることは、
研究で資料を集めて、分析し、自分の言いたいことを言うことに近いです。
流れよく料理を作れたときは、満足感が高いことも研究に似ていますね。
とくに意味はないのですが、作った料理の写真を撮ったりして楽しんでいます。
 
Q⑥これまでの活動を通じて、最も印象深いエピソードをお願いします。
 
私は、熊本大学の埋蔵文化財調査センターで働き始めて
まだ1年と3か月です。しかし、最初に担当した遺跡の発掘調査で
大きな成果を得ることができました。熊本大学の黒髪南キャンパスは
黒髪町遺跡群と呼ばれ、近世(江戸時代)や古代(奈良・平安時代)、
弥生、縄文時代の遺跡が存在します。
今回、近世や古代の土を掘りきったその下から、縄文時代後期
(約4000~3000年前)の土器が大量に出土しました。
さらに、地表下2.2m程のところからは、縄文時代の人骨が見つかりました。
これには大変驚きました。日本列島は火山が多く、
その土壌の多くは酸性土壌です。そのため、人骨は月日が経つと、
消えてなくなってしまいます。縄文時代の人骨は通常、
貝塚や洞穴遺跡といった、特殊な環境下で、カルシウムなどに
保護されて残ることが多いです。しかし、大学は平野部に位置しており、
縄文時代の人骨が残るような環境ではありませんでした。
人骨の専門家の方からも奇跡的に残ったといわれています。
では、なぜ残ったのか、土のph値を調べて確認しました。
すると、縄文人骨が出てきた土は、酸性ではなく、中性だったのです。
縄文人骨の真上には白川の水性作用に由来すると思われる
硬質の砂層が70~80㎝堆積していました。
この層より上は酸性の値を示しており、硬質の砂層の影響により、さ
らに下の土が中性に保たれ、人骨が残ったのではないかと考えています。
人骨は、2.5×4.5m程の範囲に3体見つかっており、
うち2体を発掘調査しました。縄文人骨のうち1体は
まだ大学内に眠っています。
また、周りを調査するとさらにお墓が発見されるかもしれません。
 
Q⑦今後の活動予定やPRしたいことなどあれば教えてください。
 
熊本大学の構内遺跡は、1993年より、
熊本大学埋蔵文化財調査室によって、私の諸先輩方が
発掘調査を担当されてきました。その間、縄文時代から近代までの
各時期の時代の遺物や遺構が見つかっており、成果を得ています。
これら遺跡の調査成果を発掘調査報告書という形で公表してきましたが、
これは専門家向けであり、一般の方々にはその調査成果が
しっかりとアピールできているとはいいがたいです。
大学の地下に過去の興味深い世界が広がっていることを
ごく一部の専門家が共有しているだけというのは大変もったいないことです。
これからは、発掘調査をしっかりと行うだけでなく、
大学内外にその成果を公表し、地域の方々に還元していきたいと思います。
埋蔵文化財調査センターでは、2013年の11月から展示室を設け、
大学内から出土した遺物を展示し、各時代の説明を行っております。
そして、先ほどご紹介した縄文人骨も、
その一部を期間限定で特別に展示しております。
明日(1月27日)にも午前10時から30分ほどの短い時間ですが、
縄文人骨も含めた展示の説明会を行う予定でおります。
ぜひ皆様にも足を運んでいただき、大学に眠る過去の世界について、
その知識を共有できればと考えています。
 
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熊大ラジオ公開授業「知的冒険の旅」 苫野一徳先生

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
11月から3ヵ月間、「FMK Morning Glory ヒューマン・ラボ
熊大ラジオ公開授業 知的冒険の旅」と題してお送りしています。
12回目のゲストは、熊本大学 教育学部 講師の苫野一徳先生です。
先生の専門である「教育哲学」とはどんな研究なのか、詳しく伺います。
 
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Q①お名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:苫野一徳(とまの・いっとく)
所属:熊本大学教育学部講師
 
プロフィール
1980年兵庫県生れ。哲学者・教育学者。
早稲田大学大学院教育学研究科博士課程修了。
博士(教育学)。著書に、『どのような教育が「よい」教育か』
(講談社選書メチエ)、
『勉強するのは何のため?—僕らの「答え」のつくり方』(日本評論社)、
『教育の力』(講談社現代新書)、
『「自由」はいかに可能か—社会構想のための哲学』(NHKブックス)など。
 
Q②苫野先生の専門である「教育哲学」とは、どんな研究ですか、
わかりやすく教えてください。
 
そもそも教育とは何か、そしてそれはどうあれば「よい」と言いうるか、
底の底から徹底的に明らかにする学問です。
 
Q③苫野先生がこの研究に取り組むことになった
「きっかけ」のようなものがあれば教えてください。
 
子どものころから学校というところになじめず、
そもそも何で学校なんか行かなきゃいけないんだろう、
何で勉強なんかしなきゃいけないんだろうと、
思い悩み続けていたのが大きなきっかけです。
一方で、とりわけこの数十年、日本をはじめ世界の教育は、
その根本や目的を見失い、大きく混乱してきました。
そもそも教育とは何か、そしてそれはどうあれば「よい」と言いうるか。
この問いにできるだけみんなが納得できる指針がなければ、
学校も親も教育行政も、いったいどうやって教育を構想・実践していけば
いいか分からず、時にひどい対立や混乱を生み出してしまうことになります。
 
ところがいざ研究を始めてみると、教育学も教育哲学も、
今やこの根本的な問いに、正面から立ち向かうのを
やめてしまっていることに気がつきました。
だからますます、この問いを探究し、現実の教育に資する
教育哲学を再生させたい、そう思ってこの研究に取り組むようになりました。
 
Q④いま、教育について悩んでいる学生や
親がたくさんいます。苫野先生は、
そういう人たちにどんなアドバイスをしますか?
 
教育の悩みと言っても多種多様なのでお答えしづらいですが、
ひとまず、教育は何のためにあるかをひと言で平たく言いますと、
私たちが「自由」に生きるための力を獲得するためなんですね。
つまり「生きたいように生きられる」ようになるため。
ただ、みんなが「俺は自由だ、自由だ」と素朴に主張し合ったら
争いになりますから、私たちは自分の自由のためにも、
他者の自由もまた承認しなければならない。
これを「自由の相互承認」と言います。
 
自分が、そしてみんなが自由に生きられるようになるためには、
だれもがこの「自由の相互承認」をできるようになる必要があります。
教育は、哲学的に言うと、この「自由の相互承認」の“感度”を
育むことを土台に、すべての人が自由に生きられる力を育むためにあるのです。
教育について考える時、私は、つねにこの原理原則に
立ち返ろうと言っています。たとえば、今受けている教育について、
「これははたして自分を自由にしてくれる学びなんだろうか」と考える。
親は、「自分の子育ては、この子が生きたいように生きられる力を
育むようなものになっているだろうか」と考える。
この原理原則を見失うことがなければ、私たちはいつでも、
「自由」とその相互承認のために、今自分には何ができるかと考えることが
できるようになると思います。迂遠な話に聞こえるかもしれませんが、
教育についての悩みが深ければ深いほど、
こうした「根本」から考えることはとても大切だと思います。
 
Q⑤研究以外での趣味などありますか?
 
ギターとウクレレ演奏が趣味です。
あと、哲学者というのは、オーバーに言うと24時間365日
ものを考えているめんどくさい人間なので、実は頭が疲れて
疲れて仕方ないんです。で、どうすれば頭を休ませられるんだろうと
考えて、また頭が疲れたりします。
それで最近気づいたのが、サウナです。高温のサウナに入ると、
物理的に思考が止まるんです。そんなわけで、
この何年かずっとサウナ中毒です。
 
Q⑥これまでの活動を通じて、最も印象深いエピソードをお願いします。
 
そもそも教育とは何か、そしてそれは、どうあれば「よい」と言いうるか。
この問いに哲学的に「答え」を解明する論文を2008年に発表したところ、
ある自治体の教育委員会に注目いただき、
その教育構想の見直しや指針原理として取り入れられるようになりました。
その後、この論文をさらに展開した本を何冊か出すと、
さらに多くの学校現場や先生方、行政などに、
教育構想や実践の指針原理として取り入れていただくようになりました。
教育の「根本原理」がこれほどにも求められていたのだということ、
また、現実の教育に資する教育哲学を展開するという願いが、
少しは叶いつつあるのかもしれないと嬉しく思いました。
 
Q⑦今後の活動予定やPRしたいことなどあれば教えてください
 
今、これからの社会・世界を構想するための哲学を探究しています。
2014年に、その第一歩として
『「自由」はいかに可能かー社会構想のための哲学』(NHKブックス)
という本を出しましたが、今後はこれをより深めた、
世界・社会構想のための哲学体系を作り上げていきたいと夢想しています。
また、哲学はとても難解なものというイメージがありますが、
実は人生のあらゆるシーンでとても役に立つものです。
そんな哲学の知恵を、もっともっと一般の人たちに
アクセス可能なものにしていくのも自分の一つの仕事と考えています。
ブログには、哲学書350冊くらいの紹介・解説を掲載しています。
また、これまで何冊かの入門書も書いてきましたが、
2015年には、もっと多くの方に親しみを持っていただけるような、
中高生向けの「恋愛の哲学」や「自由の哲学」の本なども
出していく予定です。
 
Q 「恋愛の哲学」はとても面白そうですね。
少しだけでも内容を教えてもらえませんか?
 
恋っていったい何なのか、どうすればステキな恋を味わえるのか、
という問いに答える本です。
ほんの少しだけ言うと、恋の正体は「自己ロマンの投影」です。
どういう意味かは、ぜひ刊行後にお読みいただければ(笑)
で、この恋愛の正体が分かれば、「なぜ恋は狂気なのか」
「恋と愛は何が違うのか」「恋と性欲は何が違うのか」
「どうすれば恋に落ちることができるのか」
「どうすればよりよい恋愛関係を楽しめるのか」といったことも
分かるようになるんです。
 
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「熊大ラジオ公開授業 知的冒険の旅」 大森久光先生

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
11月から3ヵ月間、「FMK Morning Glory ヒューマン・ラボ
熊大ラジオ公開授業 知的冒険の旅」と題してお送りしています。
 
11回目のゲストは、熊本大学 大学院 生命科学研究部
生体情報解析学 教授 大森久光先生です。
先生の専門である「COPD(慢性閉塞性肺疾患)の疫学」とは
どんな研究なのか、詳しく伺います。

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Q①お名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:大森久光(おおもりひさみつ)
所属:熊本大学大学院生命科学研究部生体情報解析学教授
 
プロフィール
 
学歴
1986年(昭和61年)3月産業医科大学医学部医学科卒業
1988年(昭和63年)4月産業医科大学大学院医学研究科博士課程入学
(生体情報系専攻)
1992年(平成4年)3月同修了(医学博士)
 
職歴
1986年(昭和61年)6月産業医科大学病院・臨床研修医
1992年(平成4年)4月産業医科大学呼吸器科助手
1992年(平成4年)7月
米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校
UniversityofCaliforniaSchoolofMedicine,SanFrancisco(UCSF)
心臓血管研究所リサーチフェロー
CardiovascularResearchInstitute,Fellow(Dr.CarolBasbaum研究室)
1994年(平成6年)10月産業医科大学呼吸器科助手
1996年(平成8年)6月日本赤十字社熊本健康管理センター
1997年(平成9年)4月同副部長
2002年(平成14年)4月同部長
2007年(平成19年)10月熊本大学大学院生命科学研究部公衆衛生・医療科学
准教授
2013年(平成25年)1月熊本大学大学院生命科学研究部生体情報解析学
教授
現在に至る
 
免許・資格など
日本呼吸器学会認定専門医、日本内科学会認定内科医、認定総合内科専門医
労働衛生コンサルタント(保健衛生)
日本人間ドック学会人間ドック専門医
 
その他の公的活動
2002年(平成14年)~熊本県健康管理協会評議員
2008年(平成20年)~2014年3月
労働安全衛生コンサルタント熊本県支部副支部長
2009年(平成21年)~熊本産業看護研究会顧問
2011年(平成23年)~熊本産業保健推進センター産業保健特別相談員
2011年(平成23年)~熊本県保健医療推進協議会計画検討専門委員会委員
第6次熊本県保健医療計画の策定
2011年(平成23年)~氷川町国保ヘルスアップ事業評価委員
2011年(平成23年)~熊本市CKD対策推進会議委員
2012年(平成24年)~第2次健康くまもと21基本計画策定委員会(会長)
 
Q②大森先生の専門である「COPDの疫学」とは、
どんな研究ですか、わかりやすく教えてください。
 
・COPDは、Chronic(慢性)Obstructive(閉塞性)Pulmonary(肺)Disease(疾患)の頭文字を合わせたものである。「肺の生活習慣病」として、健康日本21においても、その啓発が求められています。
 
・「疫学」は、「人々の中で起きている健康関連のいろいろな事象の頻度と分布およびそれらに影響を与える要因を明らかにして、健康関連の諸問題に対する有効な対策樹立に役立てるための科学」です。
 
Q③大森先生がこの研究に取り組むことになった
「きっかけ」のようなものがあれば教えてください。
 
以前、産業医科大学病院勤務の折、進行したCOPDの患者さんを診療させていただいた経験から、進行する前に、予防することが大切であることを改めて認識しました。
 
Q④大森先生の研究についてもう少し教えて下さい
 
研究をフィードバックできるようにするために、身近な健康診断とくに人間ドック受診者のデータと生活習慣との関連を主な研究テーマとしています。
特に、呼吸機能検査について、横断的、縦断的検討をおこなっています。
 
・テーマ
・COPD(閉塞性換気障害)の有病率
・COPD(閉塞性換気障害)の罹患率
・COPD(閉塞性換気障害)の併存症
など
 
Q⑤「COPD」とは、具体的にどのような病ですか?
具体的な症状などを教えてください。
 
COPDとは、
有害な粒子やガス主にタバコと言われますが、他には大気汚染や受動喫煙を長期的に
吸入することで生じた肺の炎症性疾患です。
進行性であり、肺胞壁の破壊や末梢の気道が狭くなるなどの気流制限がかかり、息を
吐き出しづらくなります。
COPDの特徴として、
①40歳以上、②喫煙歴(受動喫煙を含む)、③慢性的な咳嗽・喀痰や労作時の呼吸困難
が挙げられます。
COPDは、
知らず知らずのうちに、呼吸機能が低下するため、重症になるまで症状が出現しない
ことが多いです。
また、全身へ影響が及ぶため、心筋梗塞や糖尿病などの併存症を誘発すると考えられて
います。
 
Q⑥「人間ドック受診者のデータと生活習慣との関連を主な研究テーマ」と
されているそうですが、「COPD」に関して、生活習慣のどんな面が
健康に影響を及ぼしているのでしょうか?
 
日本においては、主な原因がタバコであるため、喫煙されている方は早めに禁煙を
おすすめします。
 
Q⑦「COPD」を予防するためには、どんなことが必要ですか?
具体的に教えてください。
 
喫煙しないことあるいは禁煙すること、そして定期的な胸部の健康診断による早期予防
です。
 
美肺延命とは、「美しい肺を保つことは、寿命(健康寿命)を延ばすことに繋がる」
という意味を持っています。
CKD(慢性腎臓病)も同様で、先駆けてのeGFRの導入と啓発の努力により浸透
しつつあります。肺は腎臓と並んで加齢による生理機能の低下が最も生じやすい臓器で
あり、喫煙により生じたCOPDは高齢者の生命を脅かす最大の脅威の1つと考えられて
います。その肺を美しい状態、すなわち機能レベルを正常に保ったまま年を重ねること
ができれば、健康長寿に結びつくと考えられます。
 
 
Q⑧今後の活動予定やPRしたいことなどあれば教えてください
 
・健康のために「美肺延命」(びはい・えんめい)が重要。
 
・COPDに関する啓発を今後も行っていきたいです。
 
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「熊大ラジオ公開授業 知的冒険の旅」 HARI PRASAD DEVKOTA(ハリ プラサデウ デブコタ)先生

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
11月から3ヵ月間、「FMK Morning Glory ヒューマン・ラボ
熊大ラジオ公開授業 知的冒険の旅」と題してお送りしています。
 
10回目のゲストは、熊本大学・大学院先導機構の
HARI PRASAD DEVKOTA(ハリ プラサデウ デブコタ)先生です。
ハリ先生の専門である「薬用植物学」とはどんな研究なのか、詳しく伺います。

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Q①お名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:HARI PRASAD DEVKOTA(ハリ プラサデウ デブコタ)
所属:熊本大学大学院先導機構(大学院リーディングプログラムHIGOプログラム)
プロフィール
2005年ネパールのポカラ大学・薬学部卒業
2005~2007年ネパールのポカラ大学・薬学部助手
2008年4月熊本大学大学院薬学教育部博士前期課程入学
2010年3月熊本大学大学院薬学教育部博士前期課程修了
2010年4月熊本大学大学院薬学教育部博士後期課程入学
2013年3月熊本大学大学院薬学教育部博士後期課程修了
2013年4月~2014年3月武田科学振興財団博士研究員
2014年4月から、大学院先導機構HIGOプログラム特任助教
 
Q②ハリ先生の専門である「薬用植物学」とは、
どんな研究ですか、わかりやすく教えてください。
 
私たちが研究している薬用植物学研究室では、ネパールの薬用植物の成分研究及びネパール・インド・スリランカの伝統医療(アーユルベーダ、チベット医学)の研究を行っています。
具体的には、直接ネパールに赴きフィールドワークを行い、伝統医療で生薬として用いる植物の葉、茎、根などを採取します。日本に帰り成分を抽出し、カラムクロマトグラフィーで分離し、NMRなどで構造解析します。さらに、抗酸化作用などの機能性も研究します。また、調査や研究で得られた知見をまとめてネパールの薬用植物の図鑑やデータベースも作成しています。
また、HIGOプログラムでは日本人、および外国人留学生を受け入れ、学生の活動を支援しています。
 
Q③ハリ先生がこの研究に取り組むことになった
「きっかけ」のようなものがあれば教えてください。
 
2002年、私がネパールの大学一年生の時に、日本の植物研究者と一緒にネパールの植物の調査を行いました。そこでネパールの植物の重要性、研究する価値に気づくことが出来ました。
また、ネパールでは60%以上の国民が植物を使った伝統医療で治療しています。しかしそのほとんどの植物が研究されていないため、この研究を行う必要性を感じました。
 
Q④ネパールから日本に来て研究されているうえで、
一番苦労した点は何ですか?
また、日本に来てよかったことは何ですか?
 
最初、日本に来たばかりのときは、日本語がわからなくてコミュニケーションをとるのが大変でした。また、ネパール人もネパール語をしゃべれる人もいなくて困ることが多かったです。
そして、英語を話せる人も少なくて、研究内容を伝えることも苦労しました。
日本に来てよかったことは治安がよく、人々がやさしくて、よい人が多いことです。そのほかにも、便利なものが多く、おいしいものがたくさんあるのも嬉しかったです。
 
Q⑤研究以外での趣味などありますか? 
 
旅行に行くことが好きです。日ごろから写真をとることも好きで、旅行先でとることも多いです。
熊本は、阿蘇に山があって、天草に海があり自然が多いのでいろんなとこに行くことも楽しみです。あと、映画を観ることも好きで、インド映画を観てリフレッシュしてます。
 
Q⑥これまでの活動を通じて、最も印象深いエピソードをお願いします。
 
私の研究室では、漢方の勉強会や、薬用植物観察会を行っています。そこには、専門家や薬剤師でない多くの一般の方に参加いただいており、日本人の伝統医療に対する関心の高さに驚きました。
また、私や家族が病院で診察を受けたときに、医師が西洋薬と漢方薬の両方を処方することは、とても印象に残っています。ネパールでは西洋的な医療と、伝統医療はそれぞれの資格を持った医師が使うことがほとんどです。
 
Q⑦今後の活動予定やPRしたいことなどあれば教えてください。
 
ネパール・ヒマラヤのことや、ネパールの薬用植物、伝統医療(アーユルベーダなど)に興味がある方はいつでも待っています。
薬用植物園では様々な勉強会を開いています。一般の方を歓迎していますので、気軽においでください。
 
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「熊大ラジオ公開授業 知的冒険の旅」 安部美和先生

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
11月から3ヵ月間、「FMK Morning Glory ヒューマン・ラボ
熊大ラジオ公開授業 知的冒険の旅」と題してお送りしています。
9回目のゲストは、熊本大学政策創造研究教育センターの安部美和先生です。
先生の専門である「地球環境学」とはどんな研究なのか、詳しく伺いました。

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Q①お名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:安部美和(あべみわ)
所属:熊本大学政策創造研究教育センター
プロフィール
熊本総合医療福祉学院救急救命士学科卒業
北九州市消防局(1999~2006)
北九州市立大学卒業
京都大学大学院地球環境学舎(修士地球環境学、博士地球環境学)
(財)地球環境戦略研究機関北九州アーバンセンター、特任研究員
関西大学社会的信頼システム創生センター、PDを経て、2014年1月より現職
 
Q②安部先生の専門である「地球環境学」とは、
どんな研究ですか、わかりやすく教えてください。
 
地球環境となると範囲がとても広いので、私の研究を少し。
環境と聞くと、自然豊かな森や川が思い浮かぶかもしれませんし、
気候変動といった環境問題を思い浮かべる方もいるかもしれません。
環境に関するテーマは実に様々で、環境問題1つとっても、
ある地域に限定されることが非常に少ない。
例えば、河川流域の自然保護を考えるとか、森林管理を考えるときは、
行政区を越えて取り組む必要がありますし、漂着ごみや大気汚染など、
時には国境まで越えて考えなくてはならない課題が多くあります。
研究分野を超えて取り組まなければ解決できない課題の1つが
環境だと思っていますので、よい意味でも悪い意味でも
「何でもあり」なところがあるかもしれません。
中でも私が取り組んでいるのは、自然環境ではなく、
人を取り巻く社会環境になります。特に、集団移転について考えています。
自然災害や過疎対策、気候変動などによって、
生活の場所を変えなければならない状況が多々あります。
その中で、私たちはどのように新しい生活を再建していくのか、
なぜ災害が多い場所に住むのか、その場所にこだわるのはなぜかといった、
「どうやって環境の変化と付き合ってきたのか」について研究しています。
 
Q③安部先生がこの研究に取り組むことになった
「きっかけ」のようなものがあれば教えてください。
 
消防の経験や被災地での活動を通じて、「復興って何だろう」と思ったこと。
移転して嬉しがるスリランカ人と、「先祖代々の土地」に
残りたいという日本人に会ったこと。
自分の移転の経験(集団移転ではありませんでしたが、
地元にしまなみ街道ができる際に、立ち退きになって引っ越しました)
いろんなことが組み合わさって、今に至っているような気がします。
 
Q④「防災」「減災」のため、「想定外を減らす」という
考え方があるそうですが、具体的に説明お願いします。
 
東日本大震災以降、「想定外」という言葉が
独り歩きをしているように思っていました。この言葉を辞書で調べてみると、
「肩すかし」「期待が外れる」「当てが外れる」「突然の」
「不意打ち」「何の前触れもなく」「予告なしの」という意味が出てきます。
「想定外」って本当は、「思ったよりそうでもないんだなぁ」というニュアンスのものと、
「思った以上のことが起こってしまった」という2つの意味があると思います。
しかし、現状ではどうしても私たちは悪いほうの意味でこの言葉を使ってしまう。
ですから、どうしたら一人ひとり、または地域の力で想定外の意味を
変えていくことができるのか、そこを考えたいなと思っています。
災害は、メディアを通じでよく耳や目にする言葉ですが、
実感としてなかなかつかみ難い。
なので、実際に自分が災害の状況に置かれたらどんな判断をするのか、
どんなことを決めていかなくてはいけないのかを目の当たりにして
いただくようなゲームを使ったりして、考える場を作ったりしています。
12月9日の講演では、クロスロードというゲームを使いました。
例えば、「避難所の運営をしていたら、避難者は300人もいるのに、
おにぎりは100人分しか来ませんでした。あなたは、配布しますか?」と
いうような問いに答えていただくものです。正解は無いし、
過去の経験が全て役に立つわけではない。それを知ってもらうことで、
「自分だったらどうするか」考えてもらえれば、
「想定外」自体も変わってくるのではないかと思っています。
 
Q⑤研究以外での趣味などありますか? 
 
錦鯉。中越地震の被災地でいただいてから、マンションで飼っています。
休みの日には水を替えながら話しかけてみたり・・・。
色を綺麗に保つためにお日様があたるように調整したり。
錦鯉の種類を本で覚えたり。いろんな町に行くことが大好きですが、
公園などで見つけるとしばらく年齢とか、
性別とか種類と考えながら見入ってしまいます。
 
Q⑥これまでの活動を通じて、最も印象深いエピソードをお願いします。
 
【嬉しいこと】
スリランカでお世話になった家族、中越地震被災地での
調査でお世話になった家族など、今も交流が続いていること。
始まりは災害でしたが、今は実家がたくさんある感じ。
 
【つらかったこと】
スリランカでの調査の際に、村の人から「あなたのような人
(研究者や支援者)がきている間ずっと、私たちは被災者とよばれる。
いつまで私たちは被災者なの?」と聞かれたこと。
 
Q⑦今後の活動予定やPRしたいことなどあれば教えてください。
 
ガラスおこし
災害を考えたり、自分の地域を考えたりするには、
世代を超えた会話の場が必要だと思っています。
今、有志で行っているのが「ガラスおこし」です。
廃棄ガラスを粒にして焼いて、アートな作品をつくる。
地元の産廃業者さんにご協力いただいたりしながら、
環境学習もしつつ、人をつなげるということをやっています。
一緒に活動をしていただける方だけでなく、窯サポーターさんも募集中です。
ガラスを溶かすわけではないので焼き物をつくる窯でよいのですが、
焼かせていただける場所が少ないので。
楽しみながら、いつの間にか環境について学んだり、
お友達ができる。を狙っています。
↓こんな感じ。

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上記の活動に参加したい人は、どこに問いあわせすればよいですか?
 
若干活動が滞っていますが、活動については
熊本大学政策創造研究教育センターまでご連絡いただければ、
私がいます。または、政創研のFacebookがありますので、
そちらからイベントの情報などを発信しています。

●現在調査中の和歌山県田辺市本宮(水害調査中)
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●スリランカで調査や活動の写真
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詳しくはここ↓
 

「熊大ラジオ公開授業 知的冒険の旅」 藤原章雄先生

あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
11月から3ヵ月間、「FMK Morning Glory ヒューマン・ラボ
熊大ラジオ公開授業 知的冒険の旅」と題してお送りしています。
8回目のゲストは、熊本大学大学院 生命科学研究部 
細胞病理学分野助教の藤原章雄先生です。
先生の専門である「機能性天然薬物学」とはどんな研究なのか、詳しく伺います。

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Q①お名前と職業・所属を教えて下さい。
 
名前:藤原章雄(ふじわら・ゆきお)
所属:生命科学研究部細胞病理学分野・助教
プロフィール
屋久島出身
熊本大学薬学部卒業(薬剤師)
熊本大学大学院薬学研究科博士前期課程修了
熊本大学大学院薬学教育部博士後期課程修了(薬学博士)
2007年より現職
 
Q②藤原先生の専門である「機能性天然薬物学」とは、
どんな研究ですか、わかりやすく教えてください。
 
天然物化学とは、植物・微生物・海洋生物などの生物が
作り出す物質についての研究を行う有機化学の一分野であります。
主に、生物が作り出す物質の単離や構造決定、
その物質の合成を行います。そして、機能性天然薬物学とは、
植物・微生物・海洋生物などの天然資源から医薬品、
医薬品の候補物質や病気の予防に役立つ物資の発見を
目指す研究だと考えています。
 
Q③藤原先生がこの研究に取り組むことになった
「きっかけ」のようなものがあれば教えてください。
 
大学院生の時に、天然物化学を専門とする研究室に所属していまして、
植物から化合物(成分)を単離し、その化合物の化学構造を
決定するという研究を行っていました。
 
その研究過程におきまして、これまでに発見されたことのない
新規の化合物を発見することができ、その化合物の
化学構造だけではなく生物機能性も明らかにしたいと思ったことが
最初のきっかけです。当時の自分が所属する教授にお願いして、
医学部の研究室に実験をしに行かせてもらうようになり、
それがきっかけで今所属する細胞病理学の研究室とのご縁もあり、
現在でも天然化合物の機能性を評価する研究を続けられています。
現在は主に、当研究室の専門とするマクロファージ(白血球の一種)に
作用する天然化合物を探索し、マクロファージが関与する
疾患の治療法の開発を目指しています。
 
Q④藤原先生の研究テーマについて、もう少し教えてください。
 
これまでの興味深い研究成果としましては、一つ目として、
リコピンが多く含まれることで有名なトマト果実から新規成分である
エスクレオサイドを発見しました。そのエスクレオサイドは
リコピンよりも数倍も多くトマトに含まれていまして、
そのエスクレオサイドが細胞実験と動物実験の両方で
抗動脈硬化作用を有することを明らかにしました。
次に二つ目として、現在進行中の研究テーマについて紹介します。
 
現在は血液に存在する白血球の一種であるマクロファージの
活性化を調節することでガンの治療に有効である
天然化合物を探索しています。今のところタマネギに含まれる
オニオニンという成分がマクロファージの活性化状態を
腫瘍抑制性のタイプのマクロファージへ変換することで
ガンを抑制することを動物実験で証明しました。
現在、新たなガン治療への応用を目指して研究を続けています。
 
Q藤原先生の研究では、実験が多いようですが、
具体的にはどんな作業を行うのでしょうか?
また、実験に伴う苦労話や失敗談などもあればお願いします。
 
主に細胞(マクロファージやガン細胞)を用いた実験と
マウスを用いた実験を行っています。マクロファージは
自分達の血液から単離したものを培養して用いておりまして、
そのマクロファージを天然化合物で刺激して、
様々なマクロファージの活性化因子の発現や分泌が変動するかを
評価しています。また、ガン細胞を天然化合物で刺激して
ガン細胞の増殖を抑制するかを評価しています。
そして、効果のあると考えられる化合物については、
マウスの病態モデル(ガンモデル)に投与して、
実際に動物実験にてガンの抑制効果が認められるかを調べます。
 
また、投与したマウスにおける実際のガン組織中の免疫関連細胞の
活性化状態や数を顕微鏡で観察したりもします。
通常、研究は上手くいかないことの方が多いですので、
高頻度で得られる多くの失敗結果を着実に次に活かして
新たな仮説の設定や実験を繰り返し行うことが研究には
重要だと思っています。焦らず粘り強く続けて行くことで、
いつか良い結果が得られた時に喜びがあるのだと思います。
それが故に研究者の多くが研究が楽しくてやめられなくなるのだと思います。
 
Q研究以外での趣味などありますか?
 
近年、リフレッシュするために行っていることは体を動かすことです。
最近は、良くランニングをしています。
テニス(現在休会中ですがテニススクールに通っています)もしています。
あとは、甘いものを食べることだと思います。昔から甘いものは好きです。
 
Q⑥これまでの活動を通じて、最も印象深いエピソードをお願いします。
 
10年程前(大学院生時代)に植物観察を目的にチベットの近くの
中国のシャングリラという場所に行ったのですが、
そこで経験したブルーポピーの花(青いケシの花)をみた時の
感動が今でも忘れられません。
「青い花」自体が自然界においても珍しいものであり、
またシャグリラへむかうまでの道のりも大変でしたので
(行程中標高が2000m〜3000m)、
より一層印象深いものになったのだと思います。
 
Q⑦今後の活動予定やPRしたいことなどあれば教えてください。
 
今後もひきつづき医薬品、医薬品の候補物質や病気の予防に
役立つ物質の同定を目指して、
天然化合物の機能性を明らかにしていきたいと思います。
 
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