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キネマのススメ

「清須会議」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の
「清須会議」です。
 
日本を代表する脚本家であり、
映画監督としても大成功を収めている三谷幸喜。
 
1980年代、日大の演劇学科に在学中に
劇団 「東京サンシャインボーイズ」を結成。
新進気鋭の劇団として注目を集め、90年代には
テレビドラマの脚本家として多くの作品に関わりました。
田村正和の代名詞ともなった「古畑任三郎」は、
何度もスペシャル番組が作られ、
国民的人気番組となりました。
 
1997年の「ラヂオの時間」では、映画監督に初挑戦。
その後は、舞台にテレビドラマに人形劇にと
多彩な活躍をしていることは、皆さんご存知のとおりです。
 
そんな三谷幸喜監督の6作目となるのが、
今日ご紹介する「清須会議」です。
 
タイトルの「清須会議」とは、
戦国時代に実際に行われた歴史的な会議です。
 
1582年(天正10年)、織田信長が天下統一を前に、
家臣の明智光秀の謀反による「本能寺の変」で
命を絶たれます。それからおよそ1か月後、
信長の後継者問題と、羽柴秀吉によって撃たれた
明智光秀の領地の再分配の取り決めを話しあったのが、
この清須会議なんです。
 
参加したのは、信長の家臣だった柴田勝家、
羽柴秀吉、丹羽長秀、池田恒興の4人。
戦で決着をつけていた戦国時代に、
“初めて話し合いで歴史を動かした“とされる
画期的なもので、三谷監督は10歳ごろに
この会議を知り、それからずっと何らかの
作品にしたいと構想を練っていたそうです。
 
歴史的には、この会議で勝利したのが、
後に天下を取る羽柴秀吉。
しかし三谷監督は、敗者となる柴田勝家の方にこそ
ユーモアがあると、勝家に焦点を当てて
物語を作り上げています。
歴史上は地味な存在の勝家に注目するあたり、
“歴史オタク”を自認する
三谷監督ならではといえるでしょう。
 
勝家を演じているのは「有頂天ホテル」でも
三谷監督と組んだ、役所広司。
対する秀吉には、大泉洋。
丹羽長秀を小日向文世、池田恒興を佐藤浩市、
そのほか、鈴木京香、伊勢谷友介、妻夫木聡、
中谷美紀など、超豪華キャストが出演!
また、小さな役にもビックリするような
大物キャストが登場していますので、
ぜひチェックしてみてください。
 
三谷映画の上手さは、その役者にピッタリの
キャスティングのバランスです。
勝者・羽柴秀吉を演じる大泉洋の勢いは、
ここ数年で大きく伸びてきた彼自身の俳優としての
キャリアと重なるようですし、無名塾から叩き上げて、
いま大輪の花を咲かせている役所広司は、
織田家を支えてきた柴田勝家のような
いぶし銀の渋さがあります。
俳優のイメージに合わせて台詞も
「あて書き」するのが三谷スタイルということで、
台詞の面白さや含蓄の深さが増す仕掛けになったいます。
 
今回の「清須会議」は、史実をもとに
しているだけあって、これまでの三谷作品とは、
大きく違っています。
三谷監督は、歴史の中でも、勝者より敗者の方に
興味があるようで、大河ドラマ「新選組!」でも、
歴史的には敗者となるサムライたちを
丁寧に描いていました。
今回も、いままでは、ドラマや映画で詳しく
描かれることのなかった人物たちにスポットを
当てて描いています。
今回の映画は、これまでの三谷作品のような
コメディというより、大きな歴史を舞台にした
「人間ドラマ」と言えるかもしれません。
もちろん笑いはたっぷりありますが、
最終的には歴史を動かした人間たちの内面を
しっかりと描写した大人の映画です。。
そういう意味では、これまで三谷作品は、
あまり観たことがない人や歴史物は苦手という人の方が、
この作品の魅力をしっかり享受できるかもしれませんね。
 
三谷監督の新たな挑戦は、
この作品から始まるのかもしれません。
是非、劇場で確認してみてください。
 
今日ご紹介した映画「清須会議」は、
■TOHOシネマズ光の森
■TOHOシネマズはません
■TOHOシネマズ宇城
■シネプレックス熊本
■イオンシネマ熊本
で、現在公開中です。
 
「清須会議」オフィシャルサイト
 
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
詳しくはここ↓
 

「スティーブ・ジョブズ」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
11月に入って一気に新作映画が公開になり、
映画ファンはうれしい悲鳴をあげています。

みんな大好きデンゼル・ワシントン兄貴が、
訳ありの銀行強盗を演じる最新作「2ガンズ」、

この番組でも紹介したハリウッド注目の
新星チャニング・テイタムが、
男性ストリッパーを演じる「マジック・マイク」、

黒人初のメジャーリーガーの苦悩とサクセスを感動的に描いた
「42(フォーティ・ツー)~世界を変えた男~」などなど、
紹介したい作品が目白押しなんですが・・・・・・・
 
今日、このコーナーでは、あえてこの作品を選びました。
現在公開中の「スティーブ・ジョブズ」です。
 
昔から、歴史上の人物や有名人の生涯を描いた映画は
多いですが、このところ、記憶に新しい実在の人物の
映画化が目立っていますよね。
先日もこのコーナーで、ダイアナ元皇太子妃を描いた
作品を取り上げましたが、
今日ご紹介する映画の主人公は、2011年10月に急逝した
アップルコンピュータの創始者、スティーブ・ジョブズです。
 
アップルといえば、初期のホームコンピュータである
Apple1(ワン)、やマッキントッシュ、iMac、
最近では、iPodやiPhone、iPadなど、
これまでの常識にとらわれない、
革新的でユニークな商品を世に送り出しています。
ジョブズが亡くなった今でも、アップル=ジョブズという
イメージを持つ人も多いんじゃないでしょうか。
 
映画では、スティーブ・ジョブズが
この「アップル」という会社をどうやって作ったのか。
そして会社が大きくなっていく中で、ジョブズが
味わう数々の栄光と挫折が描かれていきます。
特に前半では、ジョブズが仏教や禅に深く影響を受けている
シーン、アップルという社名をどうやって
命名したのか・・というシーン。仲間たちとガレージで会社を作り、
自分たちでコンピュータのキットを組み立てるなどの
アップル創成期のエピソードが続々描かれ、
かなり興味深いです。
 
ジョブズを演じているのは、アシュトン・カッチャー。
最初に発表された写真があまりに似ていたのでびっくりしましたが、
外見だけでなく、しゃべり方や物腰なども徹底的に研究し、
ジョブズになりきる熱演ぶりを見せています。
特に注目してほしいのジョブズの歩き方です。
猫背で独特の歩き方をするジョブズの姿を完璧に再現。
伝説となったipod発表のプレゼンなどは、
記録映像のようなリアリティがあります。
 
先日紹介した「ダイアナ」もそうでしたが、
20世紀の著名人は、存命中の映像が数多く残されているため、
まったく似ていない人物が演じても、
観客がリアリティを感じられないんですね。
外見的も似せた上に、さらに人物の奥深い部分を演じるというのは、
役者にとって、大きなチャレンジでもあると同時に、
やりがいのある仕事だったでしょうねぇ・・・・。
 
この映画「スティーブ・ジョブズ」では、
主人公ジョブズだけでなく、脇役の登場人物まで
相当似ている人がキャスティングされています。
アップル・ファンならだれでも知る
人物スティーブ・ウォズニアック、
アップルのCEOをつとめたジョン・スカリーなど、
とにかくそっくりです。
映画のエンディングでは、実在の人物と演じた役者さんの
比較映像が出てきますので、お楽しみに!
 
個人的におススメのシーンは、アップルが
成功してから後のジョブズの孤独感を描いたシーンです。
会社は世界的に注目されていくのに、
創成期を戦った友人たちはどんどん彼のもとを去ってゆきます。
成功者の光と影を描いた名シーンです。
最近の作品ですが、フェイスブックを作った
マーク・ザッカ―バーグを描いた「ソーシャル・ネットワーク」
なんかと比較してみると面白いかもしれません。
成功者というのもたいへんなんですねぇ・・・・・。
 
天才的な頭脳とカリスマ性で、
コンピュータ社会に大きな革命をもたらしたジョブズの
人となりにせまった作品。
歴史の教科書には、まだ載っていないけれど、
間違いなく現代を代表する歴史的人物の映画。
アップルユーザーでなくても、ぜひご覧いただきたい1本です。
 
今日ご紹介した映画「スティーブ・ジョブズ」」は、
■TOHOシネマズ光の森
■TOHOシネマズはません
で、現在公開中です。
 
「スティーブ・ジョブズ」オフィシャルサイト
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
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「グランド・イリュージョン」

「FMKMorningGlory」毎週火曜日にお送りしています、
「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の
「グランド・イリュージョン」です。イリュージョンといえば、
ステージで行う大がかりなマジックのこと。
プリンセス天功などがやるマジックですね。
テレビ番組でも良く特集をやってますが、
こういったマジックは、映画やドラマでもよく描かれてきました。
 
この映画「グランド・イリュージョン」に登場するマジシャンは、
“フォー・ホースメン”という4人組。
クローズアップマジック、メンタリスト、脱出アーティスト、
ストリートハスラーという、特別な技能を持った彼らは、
チームを組んである目的を達成しようとします。
まず、ラスベガスで行ったショーの中で、
フランス・パリにある銀行から、
一瞬で320万ユーロという大金を盗み出してみせます。
瞬間移動でもしなければ無理なこの犯罪。
しかも、観客の目の前で実行して見せたのです。
この件を重く見たFBIは、彼らを事情聴取しますが、
なんの証拠もなく釈放。
捜査チームは次の計画を阻止しようと、
マジックの種を暴くサディアスという男に
協力を依頼するのですが、“フォー・ホースメン”はまたも
ショーの中で大富豪から大金を盗み出します。
果たして彼らの本当の目的は・・・?そして、
宿敵サディウスは彼らのトリックを見破ることができるのか?
 
見どころの一つは、映画の中で披露される数々のイリュージョン。
映画なので、どんなマジックでも簡単に作れそうですが、
この作品では、世界的マジシャンの
デヴィッド・カッパーフィールドや
アイルランド人のメンタリスト、
キース・バリーがアドバイザーとして協力。
キャストもプロのマジシャンからテクニックを学び、
カードマジックや催眠術など、さまざまなマジックに挑戦しています。
カードさばきや細かなトリックの動きもマジシャンさながらに
役者さんがこなしているのも見どころです。
 
主演は、「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ。
気弱なモテないキャラの役が多い彼ですが、
今回は自信家のモテキャラにイメージチェンジ!
さらにマーク・ラファロ、ウディ・ハレルソン、
など豪華キャストが共演しています。
フォー・フォースメンを追うインターポール捜査官に
フランス女優メラニー・ロランが起用されています。
 
なんといっても豪華なのは、フォー・フォースメンの
スポンサーを演じるマイケル・ケインとトリックを見破る
サディアスを演じるモーガン・フリーマンの共演です。
ともにアカデミー賞を受賞している
イギリスとアメリカの名優の共演です。

実は、この2人「ダークナイト」3部作にバットマンを支える執事と
武器開発者という役柄で出演はしていたのですが、
直接の共演シーンはなかったということで、
今回、初の共演シーンが見られます。
 
監督は、「トランスポーター」シリーズでヒットメーカーとなった
フランス人監督ルイ・レテリエ。
テンポのよい演出でどんどんストーリーが展開していくので、
あっという間の2時間です。
もちろん、お得意のカーチェイスシーンも
用意されていますので、アクション映画ファンも納得の完成度。
とにかく、様々なトリックと、二転三転するストーリーは、
見終わった後で誰かと話したくなること間違いなし!
デートにお勧めの1本ですよ♪
アメリカ映画なんですけど、イギリスやフランスの俳優も出ていて、
監督はフランス人。
かなりワールドワイドなエンターテイメント作品です。
スカッと騙されたい人は是非劇場に!
 
今日ご紹介した映画「グランド・イリュージョン」」は、
■TOHOシネマズ光の森
■TOHOシネマズはません
■シネプレックス熊本
で、現在公開中です。
 
「グランド・イリュージョン」オフィシャルサイト
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
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「ダイアナ」

「FMKMorningGlory」毎週火曜日にお送りしています、
「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「ダイアナ」です。
ここ数年、イギリスの実在の人物を主人公にした
映画が何作も作られています。
 
ヘレン・ミレンが、アカデミー賞主演女優賞も受賞した
エリザベス女王のお話、2006年の「クィーン」。

「鉄の女」と呼ばれたイギリス初の女性首相をメリル・ストリープが
演じた2011年の「マーガレット・サッチャー鉄の女の涙」。
これらの作品は、大物女優が著名人を演じて話題になり、
あまり劇場に行かない人たちにも支持され大ヒット、
お客さんが劇場に殺到しました。

そして今回、世界で最も注目を集めた女性を描く映画
「ダイアナ」が完成しました。
 
この「ダイアナ」とは、もちろん1997年8月、
36歳の若さで、交通事故で亡くなった、
ダイアナ元イギリス皇太子妃のこと。

1981年、20歳でチャールズ皇太子と結婚したダイアナは、
その可憐さからイギリス国民はもちろん、
世界中から大きな人気を誇り、
日本でも“ダイアナ・フィーバー”を巻き起こしました。

翌82年には長男ウィリアムを、続いて次男ヘンリーを出産。
ダイアナとチャールズ皇太子は「理想のカップル」と言われますが、
やがてチャールズの不倫やダイアナの秘密の恋など
数々のスキャンダルがマスコミを賑わせるようになり、
2人は離婚します。
 
この映画は、彼女の離婚から亡くなるまでのおよそ2年間に
焦点をあて、1人の女性として自立していく
ダイアナの姿を描いています。
その中心となるのは、彼女の恋。
チャールズとの別居中に出会った医師ハスナットに
影響を受けたダイアナは、地雷廃絶運動など
人道支援に力を入れるようになります。
その姿は、世界中から愛と尊敬を集めるようになるのですが、
2人の恋には様々な障害が立ちはだかります。
世界のプレッシャーと戦ったダイアナは、
「ある決断」をすることになるのですが・・・・・。
 
知られれざるダイアナの恋を綿密なリサーチと
重厚な脚本で描き出したこの作品。

脚本家のスティーヴン・ジェフリーズは、
生前のダイアナ妃に会ったことがあるそうで、
その時の彼女との会話が脚本執筆の指針になったそうです。

監督は、「ヒトラー~最期の12日間~」でアカデミー賞にも
ノミネートされたオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督。
イギリス王室に関わる物語を、あえて外国人である
ドイツの監督に任せたのには、プロデューサーの
「これまでのイメージにとらわれない
真実のダイアナ妃像を描きたい」という狙いがあったようです。

実際、自分で車を運転して出かけたり、
変装してお忍びでデートするダイアナの姿など、
驚くような場面がたくさん登場してきます。
 
ダイアナを演じるのは、「21グラム」や「インポッシブル」で
アカデミー賞にノミネートされたこともある演技派・ナオミ・ワッツ。
上目遣いの目線や手の差し伸べ方、柔らかな声と話し方など、
ビデオを参考にしてダイアナの立ち居振る舞いを
完璧に再現しています。

特に、チャールズ皇太子の不倫や自身の自傷行為など
公にした衝撃的なBBCの独占インタビューの再現は神がかっています。
話しながら反射的に顔が左の方に動くというダイアナの表情の
癖をコピーするために、顔に粘着テープを貼って訓練までしたそうです。
その甲斐あって、このシーンの完成度はものすごいレベルです。
本物の映像を使った?・・・・と思うほどの再現度です。
 
そうした「公」のダイアナとは、まったく違った表情を、
プライベートで見せてくれるのもこの映画の見所の一つです。
まるで二人の別の人物を演じているような
ナオミ・ワッツの演技の公私の演じ分けにも
注目してご覧ください。
 
僕たちが知っているダイアナは、ワイドショーなどで
取り上げられていたものだけですが、
彼女がどんな生活を送り、何を考えていたのか。
それが垣間見られる、興味深い1本です。
 
今日ご紹介した映画「ダイアナ」は、
■TOHOシネマズ光の森
■TOHOシネマズはません
■TOHOシネマズ宇城
■シネプレックス熊本
で、現在公開中です。
 
「ダイアナ」オフィシャルサイト
http://diana.gaga.ne.jp/
 
今日はこの映画「ダイアナ」のオリジナル・エアフレッシュナーを
抽選で5人の方にプレゼント致します。
(バラの香りの芳香剤です。)

img131022.JPG

プレゼントご希望の方はメッセージに「プレゼント希望」と
お書き添えの上、お名前・ご住所・お電話番号を忘れずに
お願いします。

アクセスは、メール・FAXで受付中。
メール glory@fmkumamoto.jp
FAX 096-355-5200

応募締め切りは本日中!
皆さんのアクセスお待ちしています★
 
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
詳しくはここ↓
 

「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD 1987」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、
10月26日土曜日から公開される音楽ドキュメンタリー映画
「ベイビー大丈夫かっBEATCHILD 1987」です。
 
「BEATCHILD」と聞いて、
懐かしく思う方も多いんじゃないでしょうか?
「BEATCHILD」は、1987年8月22日から23日にかけて、
南阿蘇村の野外劇場・アスペクタで開催された、
オールナイトの野外ライブです。

出演したアーティストは、佐野元春、BOΦWY、HOUNDDOG、
ザ・ブルーハーツ、尾崎豊、渡辺美里、岡村靖幸、
白井貴子、REDWARRIORS、THESTREETSLIDERSなどなど、
総勢13組。
 
今でこそ、日本各地で夏フェスが行われていますが、
当時は、絶大な人気を誇る大物ミュージシャンを
一つのステージで見られる機会は滅多になく、
大変な話題になりました。

阿蘇の、あのアスペクタになんと全国から7万2千人の観客が
押し寄せたんです。

当時の広告のコピーは、「一生に一度のチャンス」でした。
7万の観客が、その一生に一度のライブを見るために、
アスペクタに集まって来たのです。
 
さらに、この「BEATCHILD」を伝説化したのが、当日の天候。
イベントが始まった当初は晴れていたものの、
次第に雨が降り始め、やがて雷を伴う豪雨になりました。
出演アーティストも観客もずぶ濡れとなり、寒さで体調を崩す人が続出。
ステージ上も雨による機材トラブルが起こるなど、
観客にとっても出演者にとっても過酷な一夜となったんです。
 
この「史上最低で、最高のロックフェス」と語り継がれる
「BEATCHILD」を映画化したのが、
この映画「ベイビー大丈夫かっBEATCHILD 1987」です。
 
最初この映画の実現には、いくつものハードルがあったといいます。
大量の映像をどう編集するのか、楽曲の権利関係の処理だけでも
大変な作業だったと聞きます。

なにより、一番の問題は、劇場の音響に耐えうるサウンドでした。
「伝説の一夜」の熱気をキチンとしたサウンドで観客に届けたい
というスタッフの熱い想いが伝わったのか、
今年、録音状態のいいライブ音源が見つかり、
26年後にして映像化が実現しました!

音楽監督として、映画の音のミックス・ダウンを行ったのは、
BOΦWY、ザ・ブルーハーツのプロデューサーもつとめた
佐久間正英。

当時のアーティストの生の音を知る佐久間さんが
音の責任を持つということで、参加アーティストのゴーサインが
得られたということです。

映画では、ライブ映像だけでなく、観客やスタッフの姿、
関係者のインタビューなどが盛り込まれ、
当時の様子や熱気を感じることができます。
 
豪雨の中で歌うアーティストたちのライブも凄いんですが、
映画のクライマックスで映るズブ濡れの観客たちの映像が感動的です。
もし、当時アスペクタに行った人は映像に写っているかもしれませんよ。
当時は厳しい体験だったかもしれませんが、
あの場所で「BEATCHILD」を見たという経験は
一生の宝になっているんじゃないでしょうか?

いまはお父さんやお母さんになっている人たちが、
子供たちと一緒にこの映画を見るなんて素敵じゃないですか?
 
またこの映画は、DVD化や放送、配信などは一切されず、
劇場のみの公開となります。
その日、その時だけの体験は、まさにライブ!
ぜひ、劇場で実際に確かめてください!
 
今日ご紹介した映画
「ベイビー大丈夫かっBEATCHILD 1987」は、
■TOHOシネマズ光の森
■TOHOシネマズはません
■TOHOシネマズ宇城
■イオンシネマ熊本
で、10月26日・土曜日から公開されます。
 
「ベイビー大丈夫かっBEATCHILD 1987」
オフィシャルサイト http://www.beatchild.jp/

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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
詳しくはここ↓
 

「ランナウェイ/逃亡者」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の
「ランナウェイ/逃亡者」です。
 
俳優として活躍しながら
映画監督に挑戦する人は結構多いですよね。
日本でも、小栗旬や役所広司が映画を撮って
話題になりました。しかしコンスタントに作品を撮り続け、
しかも高い評価を得る人となると、
日本でも海外でも、数はぐっと少なくなります。
今日ご紹介する「ランナウェイ/逃亡者」は、
そんな数少ない役者兼映画監督、
ロバート・レッドフォードの監督・主演最新作です。
 
ロバート・レッドフォードと言えば、
70年代のハリウッドを代表する俳優です。甘いマスクと
素晴らしい演技力で数々の名画に主演しています。
「明日に向かって撃て」、「スティング」、
「追憶」、「大統領の陰謀」、「華麗なるギャツビー」
などなど。華やかなハリウッドを代表する俳優です。
 
1980年の「普通の人々」で監督デビューしてからは、
どちらかというと監督やプロデューサーとしての
仕事を中心に活動するようになりました。
彼が主催する「サンダンス映画祭」などは、
新人の登竜門として世界的に有名な映画祭となっていて、
数々の才能がこの映画祭から旅立っています。
つまり、役者としても裏方としても、
類まれない才能を持った「映画の申し子」、
それがロバート・レッドフォードなのです。
 
今回、レッドフォードが題材に選んだのは、
1970年代、ベトナム戦争反対を訴えて
アメリカで連続爆破事件を起こし、
人々を震え上がらせた実在の過激派組織・「ウェザーマン」。
1975年、ベトナム戦争が終結したのと共に、
組織はバラバラになり、主要メンバーの多くは自首したり、
逮捕されていましたが、一部には行方が
分からなくなったものもいたと言います。
 
レッドフォード演じる主人公は、そんな行方を
くらませた元メンバーのジム。
弁護士として、男手1つで娘を育てながら穏やかに
暮らしていた彼ですが、30年後に元メンバーが
逮捕されたことから、危険を感じ、再び逃亡。
マスコミとFBIがジムを追う中、30年間の逃亡の
裏に隠された驚くべき真実が明らかになっていきます。
 
ジムを追う新聞記者には、「トランス・フォーマー」で
おなじみの若手俳優シャイア・ラブーフ。
爽やかな青年のイメージですが、
今回は、スクープを狙う野心家の記者を好演しています。
また、逃亡の途中、ジムが訪ね歩く元メンバーたちを、
ニック・ノルティやジュリー・クリスティなど、
豪華なキャストが固めているのも見どころ。
最後までドキドキと手に汗握る、見ごたえのある1本です!
 
今回の映画は、キャスティングが素晴らしいです。
往年の名優と若手実力派の俳優をバランスよく配分し、
1970年代のベトナム反戦運動がどういうものか知らない
観客にも、その当時の様子を実感できるように
ストーリーが進行してゆく構成も見事です。
 
「ベトナム反戦の過激派に正義はあったのか?」
 
「彼らは今、何を考え、どう過ごしているのか?」
 
「新しい時代に彼らは何を伝えたいのか?」
 
そんな疑問に映画の登場人物が、様々な立場で
答えていきます。ある視点でみると「正義」なものが、
別の視点からみるとまったく違って見えてくる・・。
いわゆる勧善懲悪のハリウッド映画と違った深みを
持った作品になっていますので、じっくりと鑑賞して
いただきたい作品です。
 
今日ご紹介した映画「ランナウェイ/逃亡者」は、
■シネプレックス熊本
で、現在公開中です。
 
「ランナウェイ/逃亡者」オフィシャルサイト
 
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
詳しくはここ↓
 

「謝罪の王様」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「謝罪の王様」です。
 
これは、「舞妓Haaaan!!」、「なくもんか」で
大ヒットをとばした「クドカン」こと宮藤官九郎 脚本、
阿部サダヲ主演、水田伸生監督のチームが三度目のタッグを
組んだ作品です。
 
朝ドラ「あまちゃん」が大好評の内に
先週終了したばかりのクドカン。
まさに国民的喜劇作家となった彼が、デビュー当時から
必ず組んでいたのが阿部サダヲでした。
あえて「あまちゃん」にキャスティングされなかったのは、
この「謝罪の王様」の公開がすでに決まっていたからかも
しれません。同じ劇団「大人計画」の団員でもある
「クドカン」と阿部サダヲは、互いを最も活かすことが
できるベストパートナーとも言えるぐらい相性のいい
組み合わせなんです。
 
1作目の「舞妓Haaaan!!!」では知られざる舞妓の世界、
2作目の「なくもんか」では下町の人情をコメディ
として描き出してきたこのチーム、
今回のテーマは、なんと「謝罪」!
ケンカの仲裁から国家存亡の危機まで、
謝罪にまつわる大小6つの物語が描かれていきます。
 
阿部サダヲが演じるのは、「東京謝罪センター」の所長で、
凄腕の“謝罪師”・黒島。とにかく土下座をしまくって
物事を解決してしまうという凄い男です。
その黒島のアシスタントで、自らも黒島の
“謝罪テクニック”によってトラブルを救われた
倉持典子を井上真央が演じています。
 
そのほか、謝り・謝られる人々に扮するのは、
岡田将生、尾野真千子、高橋克実、松雪泰子、
竹野内豊など、超豪華なキャスト!
特に、帰国子女であまり謝ることになれていない
女の子を演じる井上真央ちゃんが、かなり面白いです。
彼女は「綱ひいちゃった!」で水田監督の作品に
主演しているので、水田演出との相性もバッチリです。
あえて笑わないで観客を笑わせるツボを心得た演技を
堪能してください。
 
ストーリー的には、全く関係なさそうに見える
6つのエピソードが、様々な伏線からつながっていく
ところは、さすが宮藤官九郎。
 
自分で監督した「中学生円山」では、セリフで
笑わせるギャグを封印して新たな表現を目指したという
「クドカン」は、今回の作品では、その封印を全面解禁。
随所に彼らしいセリフが散りばめられています。
また、映画で描かれる様々なエピソードも、
どこかで見たことがある出来事をユーモアたっぷりに
描き出していて、かなり笑わせてくれます。
 
例えば、政治家の失言がきっかけで自体が
どんどん悲惨な方向に拡大していく展開などは、
どこかの国の実在のお話に見えてきますよ。
 
「舞妓Haaaan!!」から続くこのコメディシリーズを
観ていると、往年の映画ファンは、植木等主演で
何作も作られたクレージー・キャッツ映画を
思いだしてしまいます。
 
「日本一の色男」や「日本一のホラ吹き男」のような
どこまでも突き抜けて明るいコメディ作品は、
いまや日本では絶滅危惧種になっているので、
是非今後も何作もこのチームで作っていってほしいです。
とにかく、思い切り楽しい映画が見たい方には、
おすすめの1本ですよ!
映画のラストには、「土下座」を超える
究極の謝罪方法が登場してきますので、お楽しみに!
 
今日ご紹介した映画「謝罪の王様」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■シネプレックス熊本
■イオンシネマ熊本
で、現在公開中です。
 
「謝罪の王様」オフィシャルサイト
 
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「そして父になる」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、本日から上映スタートの話題作
「そして父になる」です。
 
この映画、国際的に評価の高い是枝裕和 監督と、
俳優としてもミュージシャンとしても超人気者の福山雅治が
タッグを組んだこと。
 
さらに、今年5月に開催された「第66回カンヌ国際映画祭」で
「審査員賞」を受賞し、大変話題になりましたよね。
反響の大きさから、なんと公開日を予定より
繰り上げたというんですから
どれだけ期待されているか、分かりますよね。
 
さて、その内容ですが・・・。
福山雅治が演じる主人公・野々宮は、
大手建設会社に勤め、都心の高級マンションで
妻と一人息子と暮らすエリート。
 
しかしある日、6歳になる息子が出生時に病院で
取り違えられた他人の息子だと判明します。
その、もう一方の夫婦は、
地方で小さな電器店を営む、斎木家。
血のつながりを取るのか、
それとも一緒に暮らした時間を取るのか・・・。
究極の選択に苦悩する2組の夫婦を通して、
親子の絆とは何なのか、じっくりと迫っていきます。
 
是枝監督といえば、ドキュメンタリー出身であることを
生かした自然体の演出が特徴ですが、今回は特に、
主人公のキャラクターや生活に、
是枝監督自身が投影されているんだとか。
 
当初から福山雅治を主演に想定して書かれた脚本は、
撮影に入るまで日々書き直しを重ねて、30回以上にも
改稿されたそうです。さらには、撮影に入ってからも
度々書き直しをしていったそうです。
 
是枝監督の作品では、こういうことが珍しくないそうで、
俳優のフレッシュな演技で役柄がどんどん
膨らんでいくそうです。
ちょっと演劇的な作り方かもしれませんね。
 
是枝監督は、これまでも家族をテーマに作品を
作ってきた監督です。
先日も「許されざる者」で素晴らしい役者に成長した、
柳楽優弥くんが14歳にして、カンヌ映画祭史上最年少の
男優賞を受賞した2004年の代表作「誰も知らない」は、
育児放棄され子供たちだけで暮らす家族の物語でした。
 
2011年の「奇跡」は、この番組でも紹介しましたが、
熊本の川尻が重要な舞台として登場してきます。
九州新幹線でつながる家族の物語でしたね。
どの作品でも家族をモチーフにしながら、
現代という時代を丁寧に描いてきた作家が
是枝裕和監督なんです。
 
今回の「そして父になる」では、ドキュメンタリー的な
手法を存分に活かして、
2つの家族の関係性を見事に描写しています。
福山演じるエリートサラリーマンの野々宮の家族は、
都会の高層マンションで裕福に暮らす家族。
豊かな暮らしなんだけど、どこか寂しい雰囲気です。
 
一方、地方都市で小さな電気店を営む
リリー・フランキー演じるの斎木家は、
貧しいながらも家族を愛する優しい空気に満ちています。
このあたりの空気感は、映画でなければ描けないディテールの
細かさで表現されていますので、細部にも目を凝らして
体感してほしいものです。この2つの家族の格差を描くことで、
現代の日本社会の一面をあぶりだす狙いもあったのかもしれません。
 
子供を持つ方はもちろんですが、そうでない方も、
家族のつながりについて改めて考えさせられる作品。
「そして父になる」というタイトルがとても染みてくる
エンディングになっていますので、
最後まで主人公の気持ちを感じながら見てください。
福山雅治の新たな俳優としての魅力も楽しめる1本ですよ!
 
今日ご紹介した映画「そして父になる」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■シネプレックス熊本
■イオンシネマ熊本
で、本日から上映スタートです。
 
「そして父になる」オフィシャルサイト

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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
詳しくはここ↓
 

「許されざる者」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「許されざる者」です。
 
オリジナルは、1992年、クリント・イーストウッドが
監督・主演し、アカデミー賞の作品賞を含む4部門を
受賞した名作西部劇。
「西部劇の決定版」とも言われ、その後のハリウッド映画の
西部劇にも大きな影響を与えている重要な作品です。
今回は、明治維新後の北海道に舞台を移し、
日本映画として完全リメイクされました。
 
監督は、「フラガール」や「悪人」で日本アカデミー賞の
常連となっている李相日(イ・サンイル)監督。
主演は、クリント・イーストウッド監督の
「硫黄島からの手紙」で主演した渡辺謙、いまや
「世界のケンワタナベ」として、ハリウッド映画から
続々オファーを受けている彼が、オリジナル版で
イーストウッドが演じた主人公を見事に演じています。
 
さらに、主人公と対決する悪役を佐藤浩市が演じる
ということで、公開前からかなり話題になっていましたよね。
 
ストーリーを簡単に紹介しますと・・・、
時代は、1880年。
主人公の十兵衛は、かつて幕末の時代に
「人斬り十兵衛」と恐れられた凄腕の刺客でした。
 
ある理由から、今は刀を捨て、北海道の開拓民として、
幼い子供たちとひっそりと暮らしていました。
そんな十兵衛のもとに、昔の仲間が賞金首の話を持ってきます。
貧しさに苦しむ子供たちのため、
十兵衛は再び刀を手に取ることを決意します!
 
今回の作品で驚かされるのは、映画前半での十兵衛の描写です。
刀を捨て、すっかり農民となって、優しい男になった十兵衛。
地味ですが、この前半パートを丁寧に描いてあるので、
映画後半のある事件をきっかけに凄腕の侍とし復活していく
十兵衛の決意の重さが、観客にもしっかりと伝わってきます。
身のこなしから目つきまで、枯れた植物のような男から、
肉食獣のようなギラギラとした迫力を取り戻してゆく姿は、
まさに「さすが渡辺謙!」という感じの見せ場です。
 
実は、物語の舞台となっている1880年は、
イーストウッドのオリジナルと同じ時代なんです。
アメリカでは南北戦争が終わり、西部への開拓が盛んに
おこなわれていた頃。
そして日本では、幕末の動乱が終わって、
明治という新たな時代へ突入し、
職を失った多くの武士が北海道の開拓を始めたころです。
日本とアメリカという場所は違っても、国の状況は
とても良く似ていたんですね。
そのため、設定を日本に置き換えても全く違和感がなく、
上質の時代劇として描かれています。
 
「西部劇」と時代劇の相性というのは、意外にもよくて、
有名なところでは、黒澤明監督の「用心棒」が、
セルジオ・レオーネ監督によって「荒野の用心棒」
としてリメイクされ、世界中で大ヒットしました。
その「荒野の用心棒」に主演していたのが、
クリント・イーストウッドなんです。
今回の「許されざるもの」のリメイクに対して、
イーストウッド監督は、
「自分の作品の中で最もたいせつなこの作品が、
日本映画としてリメイクされることに、
深い縁や絆を感じずにはいられません。」と
コメントを寄せています。
 
豪華な役者たちの共演も、見どころの1つ。
意外なことに、渡辺謙と佐藤浩市の共演は
これが初めてなんだとか、2大スターのガチンコの
演技対決にも注目してみてください!
クライマックスの対決は、オリジナルとは違った
銃と刀を使ったアクションが見せ場になっています。
 
今回、個人的に注目してほしいのは、
十兵衛たちに無理やりくっついてくるアイヌの若者
沢田五郎を演じている柳楽優弥です。
是枝裕和監督の「誰も知らない」で
カンヌ映画祭史上最年少の14歳で男優賞を受賞した
彼も23歳。野性味あふれる若者役を体当たりで演じています。
顔中ひげだらけで眉毛もつなってるみたいな
野性味あふれる男です。
昨今の日本の若い俳優にはない
「線の太さ」がある彼の今後には期待したいですねぇ。
 
今日ご紹介した映画「許されざる者」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■シネプレックス熊本
■イオンシネマ熊本
で、現在公開中です。
 
「許されざる者」オフィシャルサイト
 
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
 
詳しくはここ↓
 

「サイド・エフェクト」

毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、
現在公開中の「サイド・エフェクト」です。
 
「サイド・エフェクト」とは、「副作用」という意味。
その名の通り、薬の副作用をテーマにした、
心理サスペンスです。
 
そのストーリーですが・・・。
金融マンの夫を持つエミリーは、夫が違法取引で
逮捕されたのをきっかけに以前患ったうつ病を再発。
診察にあたった精神科医のバンクスは新薬を投与し、
症状は快方に向かいますが、
薬の副作用からある事件が起きてしまいます。
 
主治医バンクスは責任を問われることに・・・・。
独自に調査を始めた彼は、
この事件の新たな側面を知ることになるのですが。
 
この映画を楽しむための予備知識として、
アメリカの医療保険制度の現状を知っておくと
いいかもしれません。
 
日本は、国民がすべて健康保険に加入する
国民皆保険の制度ですが、アメリカでは違います。
保険に入っていない人は高額な医療費を払わなければ
いけないので、なかなかお医者さんにもかかれません。
そのためドラッグ・ストアで買える市販薬が
ものすごく発達していて、日本ならお医者さんが
処方するような薬も売っていたりします。
 
製薬会社がテレビでコマーシャルを流すのも
一般的でこの映画で扱われるような「向精神薬」という
種類の薬もテレビでコマーシャルを流すような
一般的な薬として扱われてたりしています。
 
ちょっと怖い感じもしますね。
今回の映画では、そのあたりのアメリカの状況に
たいする風刺的な描写も出てきますので、
注意して見てくださいね。
 
この映画で、主人公の医師・バンクスを演じるのは、
ジュード・ロウ。イギリス人らしい知的な医師の役を
見事に演じています。
 
事件の鍵となるエミリー役には、
「ドラゴン・タトゥーの女」でアカデミー賞主演女優賞に
ノミネートされ、現在のりにのっている
若手女優ルーニー・マーラ。
今回、心の病を持つ繊細な主人公を演じていますが、
表情の微妙な変化で役の内面まで感じさせる
アクティングは確かにアカデミークラスの名演。
別の女優さんがやったらちょっと神経質すぎるような役も、
包み込むような純粋な魂が感じられる深みのある役に
仕上げているとこがポイントです。
彼女の演技力なしには、
この映画は成立しないくらいの演技力ですよ。
今後も期待のできる女優さんです。
 
そのほか、謎の女医役のキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、
先日紹介した「ホワイトハウス・ダウン」でも
注目株とご紹介したチャニング・テイタムが
出演しています。
 
監督は、「オーシャンズ11」や「トラフィック」などで
知られる鬼才スティーヴン・ソダーバーグ監督。
実は、彼はこの作品を最後に監督を引退することを
発表しているんです。映画に詳しい方なら
ソダーバーグ監督についてご存じかもしれませんが、
少し紹介しましょう。
 
ソダーバーグ監督は、1989年、26歳の時に発表した
「セックスと嘘とビデオテープ」で長編映画監督デビュー。
なんとこの作品でカンヌ映画祭の最高賞である
パルム・ドールに輝き、一躍脚光を浴びました。
その後も2000年に発表した「トラフィック」で
アカデミー賞監督賞を受賞。
 
またブラッド・ピットやジョージ・クルーニーなどの
オールスターが参加した「オーシャンズ」3部作が
世界中で大ヒットしています。
今回は、ヒッチコック・タッチのミステリーに挑戦して、
ツイストの効いた素晴らしい作品を生み出しました。
 
ソダーバーグ監督は、ビッグ・バジェットの
エンターテインメントから、
人間の内面に迫った硬派なものまで幅広い作品を作り出せる、
世界でも数少ない守備範囲の広い映画監督なんですね。
しかもまだ50歳という若さ!映像作家として
まだまだこれから!と感じるだけに、
今回の引退発表はとても残念です。
 
先日の宮崎駿監督の引退騒動でもわかるように、
監督というのは、1本の作品に自分のすべてを
注ぎ込んでしまうので、終わった後は、
「もうこれで映画は作らない」という気持ちに
なるもののようです。
ただ、ものを作るという現場からは、
一生引退することはないので、ちょっとしたきっかけで
「また、映画を撮りたい」と思い出すことが
ままあるみたいです。
 
宮崎監督もソダーバーグ監督「長編映画からは引退」と
言っているだけで、創作の現場から
すべて引退する訳ではないとうところが味噌ですね。
宮崎監督は、「ジブリ美術館の仕事をやりたい。」と
言っていましたし、ソダーバーグ監督は、
「TVシリーズやプロデューサーとして活動したい。」と
言っています。
 
なんだか発言が似ていると思いませんか?
数年後には、また彼らの作品が見られるような気がします。
 
そうは言っても、世界中の映画ファンに愛された
ソダーバーグ監督の引退作宣言のこの作品。
ぜひスクリーンでご覧になってください!
 
今日ご紹介した映画「サイド・エフェクト」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
で、現在公開中です。
 
「サイド・エフェクト」オフィシャルサイト
 
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